カルティエ、時の結晶 Cartier, Crystallization of Time

6sc.《ネックレス》

《ネックレス》カルティエ ロンドン、特注品、1932年
プラチナ、143.23カラットのクッションシェイプ エメラルド 1個、ダイヤモンド
カルティエ コレクション Nils Herrmann, Cartier Collection © Cartier

カルティエといえば、美術ファンには日本人のアーティスト作品も収蔵されている現代美術のコレクションでよく知られ、その展示は世界中で行われているのですが、今回は本丸のジュエリーの展示です。

《パンテールパターンウォッチ》カルティエ パリ、1914年
プラチナ、ピンクゴールド、オニキス、ダイヤモンド、モアレストラップ
カルティエ コレクション Nils Herrmann, Cartier Collection © Cartier

輝く物には縁がなく、たまに銀座のお店のウィンドウを覘くのが関の山。お店に足を踏み入れる勇気は出そうにありません。美術館で宝石の展示ということに違和感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、カルティエの作品は世界中の主要美術館などにおいて展示、紹介されてきたそうで、日本でもこれまでに3回開催されています。

《イヤリング》カルティエ、2005年
ホワイトゴールド、ルビー、ダイヤモンド
個人蔵 Katel Riou © Cartier

担当された主任研究員さんの言葉によれば、今回のテーマは、カルティエの20世紀初頭から現代に至るハイジュエリーを、イノヴェーションに満ちたデザインの世界を探求することで、宝石自体の価値や作品の背後にあるストーリーに焦点をあてるのではなく、「デザイン」を軸に俯瞰するという、学術的観点によるとのことです。

《ブルドッグ》カルティエ、1907年頃
彫刻を施したスモーキークォーツ、ダイヤモンド、浮彫を施したゴールド
カルティエ コレクション Katel Riou © Cartier

特にこれまで国内外で行われた展覧会と異なり、1970年代以降の現代作品に焦点を当て、その創作活動における革新性、現代性、独自性を、メゾンが築き上げてきた創作の歴史を背景に表現する初めての試みだそうです。

《「ミステリアス ダブルトゥールビヨン」ポケットウォッチ》カルティエ、2016年
ホワイトゴールド、スティール、サファイア、半透明ブラックエナメル(ポケットウォッチ)、
ミステリアス ダブルトゥールビヨン コンプリケーションロッククリスタル、
黒翡翠、スターリングシルバー(台)個人蔵 Amélie Garreau © Cartier

それにしても国立新美術館の展示室は8mの天井高を誇り、ジュエリーの多くは手のひらサイズで、どのような展示になるのだろうと思っていたら、これがすばらしい。序章「時の間」は、作品(ミステリークロック、プリズムクロック)が天井から下がる羅という日本古来の織り方の布に囲まれ、スポットライトを浴びて、まるで神殿に隠された秘宝のようです。天井の高さは、地上まで、発見されるまで、を暗示するようで、展覧会タイトルにふさわしい導入部となり、期待をさせる幕開けとなっています。

展示風景 序章「時の間」 新素材研究所
© N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida Photo: Yuji Ono,

第2章「フォルムとデザイン」では、長方形の大谷石を交互に重ねたしつらえで、その上に展示ケースに入った作品が展示されています。まるで洞窟の中か採石場にいるかのようで、これらの輝く宝石が人知れない場所で生成され、またその時間の気の遠くなるような長さがうかがえます。

展示風景 第2章 新素材研究所
© N.M.R.L./ Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida Photo: Yuji Ono

海外の博物館では鉱物のセクションに貴石とそれが使われたジュエリーが、その大きさ、希少性やそれを身につけた人などのストーリーとして展示されることが多いのですが、この会場はまさに地球が生み育て、メゾンによって最良、最高のデザインがなされた貴石の空間だと思います。

会場構成は新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之。練りに練られたと思われる会場構成に関心します。

《ブレスレット》カルティエ、2018年
ホワイトゴールド、ダイヤモンド
カルティエ コレクション Vincent Wulveryck © Cartier

目を奪われるのはやはりまばゆい宝石。その石がどこで奇跡的に見いだされたのか、どんな方の手を渡ってここにやって来たのか、どういうコンセプトに基づいて作られたのか、どなたの身を飾ったのか、ストーリーはいろいろとあるのでしょうが、様々なカタチを得た石は輝き、これからも時代をこえて輝き続けることを想わないわけにいきません。

《「ヒンドゥ」ネックレス》カルティエ パリ、特注品、1936年(1963年に改造)
プラチナ、ホワイトゴールド、計146.9カラットのブリオレットカット サファイア 13個、
計93.25カラットの葉型に彫刻を施したサファイア 2個、エメラルド、
サファイア、ルビー、ダイヤモンド
カルティエ コレクション Nils Herrmann, Cartier Collection © Cartier

展覧会ホームページ:https://Cartier2019.exhn.jp

開始日2019/10/02
終了日2019/12/16
エリア東京都
時間10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
休日毎週火曜日休館
※ただし、10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館
その他備考観覧料(税込):1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)
※中学生以下は入場無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
※11月2日(土)~4日(月・休)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)。
開催場所国立新美術館 企画展示室2E
アクセス〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
・東京メトロ千代田線乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
・東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分
https://www.nact.jp/information/access/