御即位記念特別展 「正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-」

14s. 正倉院

正倉院正倉

東京国立博物館平成館にて、御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」(会期:2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日))が開催されています。正倉院宝物は、光明皇后が聖武天皇の御遺愛品をはじめとした品々を東大寺大仏に捧げられたことに由来し、およそ1260年にわたり守り継がれてきた世界的にも類稀な文化財です。今回は正倉院宝物を中心として、東京国立博物館が所蔵する法隆寺献納宝物なども合わせて展示しています。この法隆寺献納宝物は明治時代に法隆寺から皇室に献納され、その内容は飛鳥・奈良時代の美術を代表するものとして正倉院宝物と双璧をなすものです。令和元年にふさわしい、ご即位の記念として刮目すべき展覧会になりました。

また明治時代以降の正倉院宝物に関する保存、修理、調査、復元模造などの活動についても光をあて、正倉院宝物が現在までどうまもり伝えられたかの側面もわかります。

第1章     聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物

展示は「国家珍宝帳」に記された宝物を中心に、聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物で始まります。この珍宝帳には光明皇后の言葉として「右の件(奉納した宝物のこと)は、皆これ先帝(聖武天皇)翫弄(がんろう)の珍(たから)、内司(天皇に近侍する司、つかさ)供儀(供給)の物なり。疇昔(ちゅうせき、昔)を追感(思い出すこと)し、目に触れなば崩催(崩れ落ちること)す。謹みて以って廬舎那仏に献じ奉る」と記されています。目に触れなば崩催するという言葉に大きな悲しみと深い夫婦愛を感じます。

平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)
唐時代・8世紀 正倉院宝物[後期展示 11月6日〜11月24日]

国宝 海磯鏡(かいききょう)唐または奈良時代・8世紀
東京国立博物館(法隆寺献納宝物)[通期展示]

第2章 華麗なる染織美術

正倉院宝物には膨大な数の染織品があります。「正倉院裂」としても有名です。色糸で文様を織り出した「錦」のほか、表面に見える織り糸の長短で文様を表した「綾」、経糸を左右に絡ませながら網目状に文様を表した「羅」などの織りの技法に加え、文様を刻んだ板に絹を挟んで染め上げた「夾纈(きょうけち)」、蝋で文様を防染したあとに染める「﨟纈(ろうけち)」など、絞り染めの「纐纈(こうけち)」など、染めの技法の多様さも正倉院裂の特徴です。それにしても難しい文字です。

紺夾纈絁几褥(こんきょうけちあしぎぬのきじょく)
奈良時代・8世紀 正倉院宝物 [後期展示11月6日〜11月24日]

第3章 名香の世界

仏教において香木を焚くことは、仏に対する最上の供養の一つです。東大寺や法隆寺などの大寺院においては、法要に用いる貴重な香木が保管されていました。今回展示されている黄熟香は「蘭奢待」の雅名によって知られ、足利義政や織田信長、また明治天皇が一部を切り取った事績はあまりに有名です。香を焚く道具も一緒に展示されています。

黄熟香(蘭奢待) 東南アジア 正倉院宝物 [通期展示]

第4章 正倉院の琵琶

琵琶はペルシャに起源がある楽器で茄子形をした胴部と後方に曲がった頸部か構成され、4本の絃が張られるもので、それは現代に至るまで、その形式にあまり変化はありません。展示されている紫檀木画槽琵琶(したんもくがのそうのびわ)は胴部の背面に木画という嵌装(がんそう)技法で花喰鳥文様を表し、撥(ばち)をうける悍撥部には狩猟図を描いた皮を貼っています。それに対して前期展示の螺鈿紫檀五絃琵琶はインドに起源がある楽器で、ペルシャ起源の琵琶と比べると、胴部が細く、頸部も曲がっておらず、5本の絃が張られているという違いがあります。この五絃琵琶は現在では失われてしまった楽器であり、正倉院宝物に伝わるものが唯一の実物です。この章では心ゆくまで五絃琵琶の美しさを堪能することができます。広い空間に置かれた五絃琵琶、唯一無二の物を目でみることが出来る幸福を味わってください。

紫檀木画槽琵琶(したんもくがのそうのびわ)
唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物
[後期展示 11月6日〜11月24日]

第5章 工芸美の共演

推古天皇15年に創建された法隆寺は天智天皇9年に全焼してしまいますが、7世紀末から8世紀初頭に再建され、天平10年頃には東院が建立されました。法隆寺献納宝物には同寺の創建時や再建時に遡りうる品々が伝わっており、飛鳥、奈良時代の美術工芸を代表するものです。また、東大寺では廬舎那仏が造立され、天平勝宝4年の大仏の開眼会には正倉院宝物が用いられており、それらの宝物も奈良時代の美術工芸を代表しています。このように法隆寺献納宝物と正倉院宝物には、若干の時代的な前後関係がありますが、それぞれの内容を比べると同じ用途のために製作されたものが少なからずあります。この展覧会では両宝物を同時に展示して、飛鳥時代から奈良時代にかけての美術工芸の形式や装飾の違いを比べ、美意識の変化を見ることができます。

漆胡瓶(しっこへい) 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物
[後期展示 11月6日〜11月24日]

国宝 竜首水瓶(りゅうしゅすいびょう) 飛鳥時代・7世紀
東京国立博物館(法隆寺献納宝物)
[後期展示 11月6日〜11月24日]

第6章 宝物を守る

宝物の中の染織品や漆工芸品など朽ちやすい作品を1260年以上にわたりまもり続けることは容易なことではありません。皇室の保護を中心に、人から人へ守り伝えてきたことこそが、世界の文化史上にかけがえのない意義を持っています。皇室が守り伝えていた貴重な日本の美、今後も受け継がれゆく悠久の美がここに表されています。今回の展覧会では江戸時代から現代にわたる宝物の調査と修復作業に焦点をあて、あわせて帝室博物館時代以来の東京国立博物館と正倉院の繋がりも紹介されています。

正倉院御物修理図 稲垣蘭圃筆 明治22年(1889)
東京国立博物館[通期展示]

展覧会公式サイト

開始日2019/10/14
終了日2019/11/24
エリア東京都
時間開館時間 午前9時30分~午後5時
*金曜・土曜、11月3日(日・祝)、4日(月・休)は午後9時まで
*入館は閉館の30分前まで
休日休館日 月曜日、11月5日(火)
その他備考観覧料 一般1700円、大学生1100円、高校生700円、中学生以下無料
* 障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください
開催場所東京国立博物館 平成館
アクセス〒110-8712
東京都台東区上野公園13-9
☎03-5777-8600(ハローダイヤル)
*JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
*東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分