入門 墨の美術 -古写経・古筆・水墨画ー

③_寸松庵色紙

「寸松庵色紙」平安時代(11世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

静嘉堂文庫美術館の一つの楽しみは饒舌館長として知られる河野元昭館長のお話です。今回の「入門 墨の美術」に私見ではあるがと前置きされ、墨は東洋美術の根幹で、同じ墨というマテリアルで書と絵は一致するとのこと。書画一致の中に”墨“の存在、マテリアルとしての存在が大きいということです。確かに一つの道具で書も絵画も、というのは墨だけですね。

重要美術品 前島宗祐筆「高士観瀑図」
室町時代(16世紀)静嘉堂文庫美術館蔵

展覧会の作品は全て静嘉堂が所蔵している作品で展開し、多彩で奥深いモノクロームの世界を味わうことがコンセプトでもあります。奈良時代は古写経、平安時代は古筆、室町時代は水墨画というように時代の象徴を作品で展示しています。

奈良時代には仏教の広がりとともに、国家事業としても写経が盛んに行われ、それは明確な役割分担をした写経所のスタッフが担いました。平安時代、貴族は手習い(=習字)を大事な教養として学び、その和様の書は美しく装飾した料紙の上に流れるような線で書写されます。鎌倉時代にその萌芽がみられ、室町時代の禅宗文化や唐物の流行を象徴する水墨画は、墨のトーンを巧みに用い、鑑賞者を絵画空間へいざないます。

第一章    祈りの墨 ―古写経―

「華手経 巻第四」(五月一日経) 奈良時代 天平10年(738)
静嘉堂文庫美術館蔵

仏教が政治にも深く関与した奈良時代の古写経「五月一日経」や「善光朱印経」などを展示しています。古写経の謹直な書からは仏教への真摯な信仰心が見て取れます。

第二章    雅なる墨―古筆―

国宝 「倭漢朗詠抄 太田切」平安時代(11世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵

この章では平安時代から鎌倉時代の和様の名筆が展示されています。きらびやかな料紙と筆墨のコラボレーションはシンプルではありますが、当時の貴族の教養と美意識が表れています。国宝「倭漢朗詠抄 太田切」は静嘉堂コレクションの白眉であり修理後初公開になります。

第三章    墨に五彩ありー水墨画―

上)重要文化財 伝周文筆「四季山水図屏風」(右隻)
下)重要文化財 伝周文筆「四季山水図屏風」(左隻)
ともに、室町時代(15世紀)静嘉堂文庫美術館蔵

水墨画は鎌倉時代の絵画にその萌芽がみられ、室町時代の禅僧による「詩画軸」や画僧が描く大画面形式の山水画などに展開してきます。重要文化財・伝周文筆「四季山水図屏風」は成熟した周文様式の山水画で、修理後初公開です。ほかには前島宗祐や雪村の作品も展示されています。

ややもすれば堅いと思われる古筆や水墨画の世界をカンザンくんが優しくいざなってくれます。

展覧会案内役・カンザンくん

静嘉堂文庫美術館ホームページ

開始日2019/08/31
終了日2019/10/14
エリア東京都
時間開館時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休日休館日 毎週月曜日(ただし9月16日・9月23日・10月14日は開館)、9月17日(火)、9月24日(火)
その他備考入館料 一般1000円、大高校生及び障害者手帖をお持ちの方(同伴者1名を含む)700円、中学生以下無料
開催場所静嘉堂文庫美術館
アクセス〒157-0076
東京都世田谷区岡本2-23-1
☎03-5777-8600(ハローダイヤル)
・東急田園都市線二子玉川駅から
駅バスターミナル4番のりばから東急コーチバス「玉30・31・32系統」 「静嘉堂文庫」下車(所要時間は通常8~10分。運行本数1時間に約4本)。 案内標識に沿って徒歩約5分。
・小田急線成城学園前駅から
南口バスのりばから二子玉川駅行きバスにて「吉沢」下車。 大蔵通りを北東方向に徒歩約10分。
http://www.seikado.or.jp/guide/access.html