みんなのレオ・レオーニ展

Tomas Pochmarsky

「スイミー」1963年 水彩、モノタイプ 54.5×72.5cm
スロバキア国立美術館 Swimmy ©1963 by Leo Lionni, renewed 1991/
Pantheon On Loan By The Slovak National Gallery

日本で世代を超えて愛されている絵本作家、レオ・レオーニ(1910-1999)。出会いは小学校の教科書に載っていた『スイミー』でしょうか。1910年オランダのアムステルダムで生まれ、25歳の時イタリアでデザイナーとして出発したレオ・レオーニは、第二次世界大戦時にはユダヤ系のためアメリカに亡命帰化し、グラフィックデザインの世界で成功します。
絵本を描きはじめたのは、50歳近くになってからです。展覧会は、制作年順ではなく、4つのキーワード(Chapter1〜4)でテーマと人生を重ね合わせる構成になっています。

以下の作品はすべて
Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family

「フレデリック」1967年 水彩、パステル、コラージュ、紙
51×63.6cm Frederick ©1967, renewed 1995 by Leo Lionni / Pantheon

<Chapter 1 レオとアート>

モダンアートのコレクターだった叔父たちや、母親も有名なオペラ歌手という幼い頃から周りに芸術が溢れていた環境に育ったレオーニは、小さい頃から自分のことを「アーティスト」と答えていたそうです。『フレデリック』は、レオーニの分身として描かれているねずみの話。彼の絵本は動物が主人公であることが多いのですが、それは、子供達が感情移入しやすいからだといいます。技法はほとんどの場合コラージュですが、「黒いテーブル」シリーズは印象深い油彩画です。
「黒の上ではすべての色が美しく見える」と9歳の誕生日に叔父からプレゼントしてもらった黒いテーブルの思い出から生まれたシリーズです。「これは、わたしの秘密の日記です。」とレオーニは言っていたそうですが、彼の子供時代の記憶がテーブルの上に描かれています。

《ジプシー》1945年 不透明水彩、キャンバス 57×45.5cm

<Chapter 2 自分探し>

両親の都合で欧米諸国を転々とし、多様な文化に触れながら成長したレオーニ。自分とは何だろう、人と違ってもいいんだ!!、ということを、絵本を通して伝える5作品が展示されています。それぞれの絵本にあった描き方がされていて、見比べるのも面白いです。
スロバキア国立美術館の協力で紹介されている『スイミー』の原画は、比較のため絵本と並べて展示されていますが、絵本と同じものではないことが分かり、なかなか見ることのできない貴重な体験です。

「アレクサンダとぜんまいねずみ」1969年 コラージュ、紙
51×63.6cm Alexander and the Wind-up Mouse ©1969,
renewed 1997 by Leo Lionni / Pantheon

<Chapter 3 平和を求めて>

亡命先のアメリカでアートディレクターとして活躍した頃のグラフィックデザインのコーナーです。そのデザインセンスは今見ても素晴らしく、彼の人柄も感じられます。

「ザ・ファミリー・オブ・マン(人間家族)」表紙 1955年

1958年、ブリュッセル万国博覧会でアートディレクターとして手がけたアメリカのパビリオンは、最後に様々な人種の子供達が輪になって遊ぶ写真が飾られ、人種差別や環境などの問題を取り上げ展示したものでしたが、政治的圧力で数週間で閉鎖されてしまいました。
1959年には、電車の中で孫たちをおとなしくさせておくために即興的にできたと言われている初めての絵本『あおくんときいろちゃん』を出版します(原画は残されていない)。お孫さんのアニーさんが、そのパビリオンの子供たちの写真と絵本の構図がそっくりなことを指摘され、レオーニの“より良い社会”を目指すという考えを示したものではないかとのこと。
この絵本を境に軸足をイタリアに移し、毎年一冊のペースで絵本を出版、油絵や彫刻も手がけていきます。

「あいうえおのき」1968年 水彩、紙 51×63.6cm
The Alphabet Tree ©1968, renewed 1996 by Leo Lionni / Pantheon

<Chapter 4 リアル?フィクション?>

絵本だけではないレオーニの多彩な面がみられる今回の展覧会で、特に
『はまべにはいしがいっぱい』は、たくさんの石を鉛筆のみで描いたとても興味深い絵です。一度見たものは忘れずに描くことができるというレオーニが、実際に見たものを頭のなかで思い描きながらオリジナリティを加えて描いたものです。

「想像肖像」シリーズの中には本物の人もいるらしいのですが、想像して描いた人の顔。記憶から描き出したらしい顔、まさにリアルとフィクションがないまぜになっていて、レオーニってなんて面白い人なんでしょう!
極め付けは、平行植物の油彩画と彫刻。「平行植物」という空想の植物を、さも本物のような体裁で描いた本ですが、そこに描かれていたイラストの実物を見ることができ、感動しました!ブロンズの彫刻「幻想の庭」も楽しいです。映画監督にもなりたかったというレオーニ自身が監督したインタビューも上映されているのですが、
病気をおしての撮影に初めは車いすだったのが、杖をついて立ち上がり説明している姿はとても楽しそうです。

「平行植物」シリーズ:《向月葵》1971年
油彩、キャンバス 150×200cm

たとえ人と違っていても自分は自分なんだ、ということや、平和を求めたレオーニ。国境という境界線を軽く越えて生きたレオーニは、今という時代に、彼の生き方や絵本は指針になるのではないでしょうか。
いろいろなレオーニを体験できる今回の展覧会は、アニメの作品とその制作技法なども展示してあって、大人も子供も楽しめる内容になっています。

「ぼくのだ!わたしのよ!」1985年
水彩、コラージュ、紙 51×63.6cm
It’ s Mine ©1985 by Leo Lionni / Knopf

9月29日までマロニエゲート銀座で「レオ・レオニカフェ」がオープンしています。

東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館ホームページ

「レオ・レオーニ展」公式サイト

「マシューのゆめ」1991年 鉛筆、水彩、コラージュ、紙
51×63.6cm Matthew’ s Dream ⓒ1991 by Leo Lionni / Knopf

開始日2019/07/13
終了日2019/09/29
エリア東京都
時間10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休日月曜日 7/15日、 8/12日、 9/16、23日 は開館。翌火曜日も開館
その他備考一般 1,300円 、大学生 900円、高校生以下:無料 
※学生証、生徒手帳をご提示ください
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示のご本人とその付添人1名は無料。被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料。
開催場所東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
アクセス東京都新宿区西新宿1-26-1
損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://www.sjnk-museum.org/