マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展 All About MARIANO FORTUNY

12s:デルフォス(石見美術館)

マリアノ・フォルチュニ《デルフォス》1910年代 絹サテン、トンボ玉
島根県立石見美術館 (展示期間8/20~10/6)

日本では初の開催となる「マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン」展が三菱一号館美術館で開催中です。マリアノ・フォルチュニ(1871-1949)はグラナダで生まれ、ローマ、パリで育ち、ヴェネツィアで制作し、パリとニューヨークで作品を世に送り出した服飾・染織デザイナーです。それだけでなく、フォルチュニは、画家、版画家、舞台芸術家、写真家、そして作品を自ら世界に送り出すプロデューサー、というマルチな才能を持つ芸術家でした。有名な「デルフォス」という繊細なプリーツを施した、軽やかでしなやかなドレスは20世紀初頭の服飾界を席巻しました。テレビドラマの「ダウントン・アビー」で主人公のメアリーがとても美しくこの「デルフォス」を着こなしていたのを覚えている方もおられるでしょう。展覧会では、そのメアリー役のミシェル・ドッカリーがデルフォスを着ている写真も展示されています。

マリアノ・フォルチュニ《室内着》1910年代
絹タフタにステンシル・プリント
公益財団法人 京都服飾文化研究財団 撮影:リチャード・ホートン

マリアノ・フォルチュニの父はスペインやフランスで有名な画家であり、また母は祖父と父がプラド美術館の館長であったという芸術家一族で、幼い頃から両親が収集した異国の芸術品に囲まれて育ちました。

マリアノ・フォルチュニ《テキスタイルのための下図》1907年以降
プリントした絹タフタ、厚紙に貼り付け フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia – Museo Fortuny

フォルチュニは若くして亡くなった父から受け継いだ才能を、まずは絵画から発揮していきます。ヨーロッパの長い伝統を重視し、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレゴや色彩を重視したヴェネツィア派の巨匠達について学び、彼らの作品を模写することから始めています。

マリアノ・フォルチュニ《タチアオイ》1923年
テンペラ/板 フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia – Museo Fortuny

フォルチュニは10代でリヒャルト・ワーグナーの歌劇に魅せられ、舞台照明、劇場設計、舞台衣装など舞台関係の仕事を手がけるようになりました。フォルチュニが開発した「クーポラ」と呼ばれた円形パノラマに拡散光と間接照明を用い、舞台上の演者を美しく見せ、機械的なシステムが朝から夜までの光の変化を表すことを可能にしています。多才な人物であることがよく解ります。

マリアノ・フォルチュニ《ワーグナーのオペラ『パルジファル』
よりクンドリ》制作年不詳 テンペラ/板 フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia – Museo Fortuny

両親が世界中から集めた染織品に囲まれていたフォルチュニは、舞台衣装を手掛けたのを機に、染織の世界に身を投じます。日本から輸入されたといわれる最高級の絹地を鮮やかな色彩に染め、繊細なプリーツを施したドレス《デルフォス》、そして絹ベルベットにエキゾチックな模様をプリントしたマントやジャケットなどを制作しています。ことに《デルフォス》はシンプルなデザインのドレスでありながら優美な線をつくり、腹部を強く締め付けるコルセットで体型を整えた女性達を、その矯正下着から解放しました。デルフォスは、女性本来の丸みを帯びた体型を美しく見せて、20世紀のファッションの先駆けとなる画期的なドレスでした。とても繊細なプリーツで、色彩も上品な鮮やかさです。

マリアノ・フォルチュニ《フード付きケープ》1930年代
絹ベルベットにステンシル・プリント 神戸ファッション美術館

あらゆる芸術に関心を持ったフォルチュニは写真の領域にも足を踏み入れています。

マリアノ・フォルチュニ《雲の習作、ヴェネツィア》1915年頃
銀塩ネガプリント フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia – Museo Fortuny

フォルチュニの両親は様々な地域の、また広い時代の品々を蒐集して、邸内はそれらの芸術品にあふれていたそうです。その中には日本の甲冑や能面、絵画、着物も含まれていました。着物はフォルチュニの妻、アンリエッタが室内着として使用するなどして、身近に日本美術を感じていたようです。フォルチュニは日本の染織にも興味をもち、その模様などもテキスタイルのための下図や作品にそのまま取り入れたりしています。一度も日本を訪れていないフォルチュニですが、日本の文化、芸術についての書籍も多数所有し、深く理解していたようすがうかがえます。

マリアノ・フォルチュニ《アンリエット・フォルチュニ、
芸術家の妻》1915年 テンペラ/厚紙 フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia – Museo Fortuny

ファッションの世界は目まぐるしく変わり、流行したものは忘れられますが、フォルチュニの《デルフォス》は登場から100年経った現在もセレブリティーが参加するパーティーなどで着用されています。

作者不詳《マリアノ・フォルチュニ》制作年不詳 フォルチュニ美術館
© Fondazione Musei Civici di Venezia – Museo Fortuny

三菱一号館美術館ホームページ

開始日2019/07/06
終了日2019/10/06
エリア東京都
時間開館時間 10:00~18:00 
入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、8/12~15,会期最終週平日は21:00まで)
休日休館日 月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、9/30とトークフリーデーの7/29、8/26は開館)
その他備考入館料 一般1700円、高校・大学生1000円、小・中学生500円
開催場所三菱一号館美術館
アクセス〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-6-2
☎03-5777-8600ハローダイヤル
・JR「東京」駅(丸の内南口)徒歩5分
・JR「有楽町」駅(国際フォーラム口)徒歩6分
・東京メトロ千代田線「二重橋前〈丸の内〉」駅(1番出口)徒歩3分
・東京メトロ有楽町線「有楽町」駅(D3/D5出口)徒歩6分
・都営三田線「日比谷」駅(B7出口)徒歩3分
・東京メトロ丸の内線「東京」駅(改札口・地下道直結)徒歩6分
https://mimt.jp/access/