ギュスターヴ・モロー展 ーサロメと宿命の女たちー

11s_一角獣

《一角獣》 1885年頃 油彩/カンヴァス 115x90cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/René-Gabriel Ojéda/distributed by AMF

実に幻想的な絵画です。特に《一角獣》の色彩の美しさにはため息がでます。ギュスターヴ・モロー(1826-1898)は、独自の理念や内面世界を表現した象徴主義を代表する画家で、神話や聖書をテーマにした作品で知られています。産業の発展とともに、現実主義的、物質主義的な潮流にあった19世紀後半のフランスにおいて、幻想的な内面世界を描くことで、真実を見いだそうとしました。

モローが描く妖艶で魅惑的な女性像は、当時の批評家や愛好家を魅了しました。本展は、女性が主題の作品を集め、実生活での最愛の女性から、神話や聖書に登場するファム・ファタル(宿命の女)としての女性、誘惑され破滅へと導かれる危うい存在としての女性まで、女性像にフォーカスしてモローの芸術の魅力を紹介しています。

《セイレーン》油彩/カンヴァス 38x62cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/Philipp Bernard/distributed by AMF

第一章   モローが愛した女たち

《アレクサンドリーヌ》インク・鉛筆/紙 22.5×16.7cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/René-Gabriel Ojéda/distributed by AMF

モローにとって「世界で一番大切な存在」であったという母ポーリーヌや、結婚はせずとも30年近くもモローに寄り添い続けた恋人アレクサンドリーヌ・デュルー。モローの実生活において身近な女性たちを描いた親密さ漂う作品や資料などから画家の素顔が垣間見えます。

生涯独身だったモローは、母親ポーリーヌと58年間共に暮らしました。母親を描いた素描は40点を数え、自邸を改築したギュスターヴ・モロー美術館に残る寝室には、今も彼女の肖像が数多く飾られているそうで、この母親のイメージの過剰さは、彼の人生において彼女が中心的役割を果たしていたことを示します。また、母親と同様、穏やかで高潔な精神をもった女性だったというアレクサンドリーヌをモデルにした素描には、彼らの仲睦ましさを示す戯画的スケッチも残っています。

第二章   《出現》とサロメ

《出現》1878年頃 油彩/カンヴァス 142x103cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/René-Gabriel Ojéda/distributed by AMF

洗礼者ヨハネの首を所望するヘロデ王の娘サロメを描いた《出現》はモローの代表作として有名ですね。ヨハネの首の幻影が現れるというユニークな発想、どことも限定できないエキゾティックな建築・装飾で描かれた背景など、幻想的なモロー作品の魅力が詰まっていて、19世紀末の芸術家たちに多大なインスピレーションを与えたと言われています。《出現》を中心に、モローが描いた「サロメ」のさまざまな側面をとりあげています。

《サロメ》1875年頃 油彩/カンヴァス 80x40cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/Christian Jean/distributed by AMF

第三章   宿命の女たち

《エウロペの誘拐》1868年頃 油彩/カンヴァス 175x130cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/René-Gabriel Ojéda/distributed by AMF

モローは、男性を誘惑し、翻弄し、命すら奪うファム・ ファタルを数多く描く一方で、男性からの誘惑の標的となり、数奇な運命をたどった女性もしばしば主題としています。そうした作品においても彼女たちの妖しく艶やかな姿態は魅惑的です。輝く色彩と、想像力をかきたてるドラマティックなイメージで、女性の複雑で多面的な性質を浮き彫りにするモロー作品に迫ります。

《ヘラクレスとオンファレ》 1856-57年油彩/カンヴァス 104.5x65cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/Christian Jean/distributed by AMF

第四章   《一角獣》と純潔の乙女

《一角獣》 1885年  油彩/カンヴァス 78×40cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/Christian Jean/distributed by AMF

幻の動物一角獣は、純潔の乙女にだけは従順になるといわれ、貞節の象徴とされていました。モローは美しくたおやかな女性に抱かれた姿で描き、汚れなき女性のイメージは憧れの具現化であるとともに、その冒しがたい清らかさゆえに男性を惑わせ狂わせるものでもあったと言います。そうした女性像にひそむ抗いがたく残酷なまでの魅力を通じて、モローにとってのファム・ファタルのイメージ形成を問います。

《24歳の自画像〉》1850年頃  油彩/カンヴァス  41x32cm
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo ©RMN-Grand Palais/René-Gabriel Ojéda/distributed by AMF

美術館ホームページ

開始日2019/04/6
終了日2019/06/23
エリア東京都
時間開館時間 午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで) *5月10日と6月7日は午後8時まで(ご入館は午後7時30分まで)
休日休館日 水曜日(但し5月1日、6月5日、12日、19日は開館)
その他備考入館料 一般1000円、65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円 小学生以下無料
開催場所パナソニック汐留美術館
アクセス〒105-8301 東京都港区東新橋1-5-1
  パナソニック東京汐留ビル4階  
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