特別展「大哺乳類展2ーみんなの生き残り作戦」

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展覧会メインビジュアル

9年前に好評を博した「大哺乳類展」から、さらにスケールアップした「大哺乳類展2」が国立科学博物館で始まりました。今展覧会のテーマは《生き残り作戦》です。地球上に生き残るためにどのように適応してきたかを、最新映像も含め、剝製、骨格標本500点以上のボリュームで展示しています。

アフリカゾウ(全身骨格)

会場に入ると、先ず、陸棲哺乳類最大のアフリカゾウの骨格標本と、哺乳類最大のシロナガスクジラの巨大な下あごの骨が目に入ります。とにかく大きい。何故これほどまで巨大化したのか、どう動いていたのかなど、スタートからワクワク、ドキドキの気分が盛り上がります。いざ、今回のテーマである《生き残り作戦》をロコモーション(移動運動)を軸に「食べる」「産む・育てる」の順で展示を見ていきましょう。

チーターの疾走を再現した3D骨格モデル連続画像
©Animal System Physiology, Yamaguchi Uni. (Prof. Wada)

ロコモーション(移動運動)の基本である立ち方、歩き方の違いが骨格標本や写真などにより解説されています。また陸上最速のチーターの疾走を再現した3D骨格モデル連続画像がモニターに映し出されています。

オオカミ(剝製)

会場を右に曲がると、なんと分類別に約200種の動物の剝製が並んでいます。それも全部同じ方向に並んでいます。こちらを見ています。圧巻です。ほとんどが科学博物館所有の剝製とのです。中には上野動物園で命を終えた動物の剝製もあるそうです。死んだのちも後進の動物たちの研究のために、ここで頑張っているのですね。動物たちの大きさや形態の驚くほどのバリエーションは時間をかけてじっくりご覧下さい。

マントヒヒ(剝製)

次に展示されているのは、棲息する環境で生き抜くために、さまざまな形態に変化した動物たちの骨格標本です。動物たちは進化の過程で、樹上、水中、地下などに生活する場を広げていきました。そしてその場所に適応するために体の形や機能が変化しました。その特徴が骨格標本でより鮮明にわかります。

マッコウクジラ ©国立科学博物館/画・渡辺芳美

近くにゴマフアザラシとトラの触ることのできる剝製が展示されています。触感の違いを体験して下さい。見上げると大きなマッコウクジラが泳いでいます。体の構造がわかるように、半身の模型付きの全身骨格です。大きなマッコウクジラの下を、往復しながらマッコウクジラの巨大な体の仕組みを見るには最適な展示方法だと思いました。

ライオン(頭骨)

次のコーナーは食べることについてです。動物たちの歯やあごは食性によりさまざまに変化しました。食物をすりつぶして食べる動物には臼のような歯とアゴ。切り裂いて食べるものにはナイフのような歯という具合です。ちなみに、このコーナーには絶滅したニホンオオカミの頭骨標本が展示されていますので、興味のある方は見落とさないようにご注意下さい。また小さな動物の標本のために拡大鏡が用意されていますので、利用することをお奨めします。極小ながらも、緻密に造形された歯やアゴに驚愕します。続いて、摂食した食物を消化する消化管の展示が続きます。

イッカク(頭骨)

最後は「産む、育てる」のコーナーです。哺乳類のオスが繁殖行動を成功させるために、さまざまな作戦をたてていることに驚嘆しました。イッカクの突き出たものはツノではなく前歯が発達したものだそうです。2m近くまで成長するとのこと。これは立派な牙を持つオスだけがメスへの求愛を許されているのかもしれない、と解説されていました。交尾する際の主導権と選択権は圧倒的にメスにあるので、どうしたらメスが自分を選んでくれるのかがオスにとり大問題です。また、ようやく訪れた交尾の機会に、確実に自分の遺伝子を残すために工夫されたオスの生殖器の標本にも驚きます。子どもを育むメスの子宮の標本や、生まれた子どもたちの生き残り作戦も剝製標本により解説されています。

第2会場には2018年8月に鎌倉由比ヶ浜の海岸に漂着したシロナガスクジラについての調査概要が多くの写真と標本により解説されています。過去に数例の報告はあるものの、事実確認できる写真や映像が揃った事例としては国内初とのことです。国内外から駆けつた研究機関の方々で調査チームが構成され、現在も科学博物館を中心に研究が続いているそうです。また、クジラの胃にプラスチックごみが見つかったことから、神奈川県知事が「かながわプラごみゼロ宣言」をしました。博物館がリアルタイムで研究に取り組む姿を知る素晴らしい展示です。図録に記載された詳細な記録も興味深いです。

公式サイト

開始日2019/03/21
終了日2019/06/16
エリア東京都
時間午前9時~午後5時(金曜・土曜は午後8時まで)。ただし、4月28日(日)~5月5日(日・祝)は午後8時まで、5月6日(月・休)は午後6時まで
• 入場は各閉館時刻の30分前まで
休日月曜日および5月7日(火) 。ただし、3月25日(月)、4月1日(月)、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)、6月10日(月)は開館
その他備考当日券/一般・大学生1,600円、小・中・高校生600円
金曜・土曜限定ペア得ナイト券/2名1組2,000円(会場で当日午後5時以降販売。2名同時入場限定)
※未就学児ならびに障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
※本展を鑑賞された方は、同日に限り常設展(地球館・日本館)も入場可
開催場所国立科学博物館
アクセス〒110-8718
東京都台東区上野公園7-20
ハローダイヤル:03-5777-8600
・JR「上野駅」(公園口)から徒歩5分
・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」(7番出口)から徒歩10分
・京成線「京成上野駅」(正面口)から徒歩10分
館内に駐車場および駐輪場はございません。
http://www.kahaku.go.jp/userguide/access/index.html