特別展 「顔真卿 王羲之を超えた名筆」

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祭姪文稿(さいてつぶんこう)(部分) 顔真卿筆
唐時代・乾元元年(758) 台北 國立故宮博物院蔵

東京国立博物館で「顔真卿 王羲之を超えた名筆」展が2月24日まで開催されています。書の愛好家や学習者にとり垂涎ものの展覧会です。顔真卿(がんしんけい)の真筆はもとより、虞世南、欧陽詢、褚遂良(ぐせいなん、おうようじゅん、ちょすいりょう)ら初唐の三大家と呼ばれる3人の書、同じく唐時代の懐素(かいそ)の自叙帖や空海の金剛般若経開題残巻などが並び、書の奥深さや、美しさが満喫できる内容です。また、李宗瀚(りそうかん)の四宝といわれている弧本(原碑がすでに失われていて、拓本が一つしか存在していないもの)も鑑賞できます。貴重な機会ですので、ぜひじっくりとご覧下さい。

展示は6章に分かれ「書体の変遷」「唐時代の書 安史の乱まで」「唐時代の書 顔真卿の活躍」「日本における唐時代の書の受容」「宋時代における顔真卿の評価」「後世への影響」と展開されています。

第1章      書体の変遷

書体の変遷を解り易く展示しています。骨に刻まれた甲骨文は前13世紀のものですが、彫り跡もくっきりし、当時の人々がどのような思いでこの文字を刻んだのかなど、想像が膨らみます。漢字はその後、社会の変化に伴い篆書から隷書、楷書へと進化を遂げました。

第2章      唐時代の書 安史の乱まで

黄絹本蘭亭序(こうけんぽんらんていじょ)(部分) 褚遂良模
原跡:王羲之筆 唐時代・7世紀 台北 国立故宮博物院寄託

唐王朝の基礎を築いた第二代皇帝・太宗は、王羲之(おうぎし)の書を大変愛しました。太宗に仕えた虞世南、欧陽詢、褚遂良は王羲之書法を学び、楷書の典型を完成させました。書を学ぶ人ならば必ずこれらの作品を臨書した経験が有ることでしょう。筆の機能を熟知した、完成された美しさを堪能して下さい。

第3章      唐時代の書 顔真卿の活躍

千福寺多宝塔碑(せんぷくじたほうとうひ) 顔真卿筆
唐時代・天宝11年(752) 東京国立博物館蔵

本展の大きな見どころである顔真卿の「祭姪文稿」(冒頭の写真)は第3章に展示されています。展示室には現代語訳が掲示されていますので、先ずそれを読んでからの鑑賞をお奨めします。文の内容を知ることにより、いっそう深くこの作品を理解することができるでしょう。草稿なので、文章は途中で消されたり、書き加えたりされています。そこに哀しみと怒りの心情が渦巻いているかのようです。字は読めなくても、筆の跡を目で追うと、徐々に顔真卿の運筆の速度や筆先の動き、微妙なうねりや沈みなど、印刷されたものでは分からななかったものが見えてきました。
この書を所蔵している台北 國立故宮博物院では作品保護のため、数年に一度しか公開していません。また、海外での公開は今回で2度目。日本では初公開となります。1260年の時を経た真筆を目にできる貴重な機会です。

第4章      日本における唐時代の書の受容

国宝 金剛般若経開題残巻(こんごうはんにゃきょうかいだいざんかん)(部分)
空海筆 平安時代・9世紀 京都国立博物館蔵

平安時代初期の空海、嵯峨天皇、橘逸勢、中期の小野道風、藤原佐理、藤原行成らは唐時代の書を通じて王羲之の書法を学びました。後期には日本独自の書風が完成されていきました。後の仮名文字へと続く、日本での書の変容を感じます。

第5章      宋時代における顔真卿の評価

重要文化財 行書李白仙詩巻(ぎょうしょりはくせんしかん)部分
蘇軾(そしょく)筆 北宋時代・元祐8年(1093) 大阪市立美術館蔵

宋時代になると、情感の発露としての書が発展しました。顔真卿の書が評価され、個性的な書が尊ばれるようになりました。この章の見どころの一つに、歴代の皇帝、名だたる文人に愛された稀代の名品と言われながらも長くその所在が不明だった「五馬図鑑」李公麟筆、や自由闊達な筆遣いが見事な「草書李伯憶旧遊詩巻」黄庭堅筆など、筆と墨が織りなす美を楽しめます。

第6章 後世への影響

行書五言聯(ぎょうしょごごんれん) 趙之謙(ちょうしけん)筆
清時代・咸豊 8年(1858) 個人蔵

19世紀になると、真跡が存在しない王羲之の書法を学ぶより、青銅器や石碑の文字を学ぶようになります。野趣に富み、個性の発露を重視した書は、現在の書にも影響を与えているようです。

東洋館で「王羲之書法の残影」展も開催中です。本展と合わせてご覧になると、一層、中国における書の歴史がよくわかります。

展覧会公式サイト

東京国立博物館ホームページ

開始日2019/01/16
終了日2019/02/24
エリア東京都
時間9:30~17:00
※金曜・土曜日は午後9時まで
※入館は閉館の30分前まで
休日月曜日
※ただし2月11日(月・祝)は開館、翌12日(火)は休館
その他備考一般1600円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料
* 障がい者とその介護者一名は無料。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください
開催場所東京国立博物館 平成館
アクセス〒東京都台東区上野公園13-9
03-5777-8600(ハローダイヤル)
・JR上野駅公園口、または鶯谷駅南口下車 徒歩10分
・東京メトロ 銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅下車 徒歩15分
・京成電鉄 京成上野駅下車 徒歩15分 https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=113