企画展 酒呑童子絵巻 鬼退治のものがたり

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酒呑童子絵巻(部分) 住吉弘尚筆 8巻 絹本着色・紙本墨書
日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵

日本には、桃太郎伝説など鬼退治の物語がありますが、なぜ鬼になったのかという出生の物語が加えられた珍しい絵巻が、2月17日まで根津美術館で展覧されています。渡辺綱が茨木童子の左手を切り取る話も知る人ぞ知るお話でしょう。その茨木童子の親分にあたる酒呑童子の絵巻です。

都の貴族の娘たちを次々に略奪する酒呑童子という鬼を、源頼光・藤原保昌および、渡辺綱や坂田金時ら四天王が退治する物語は14世紀には成立しており、多くの絵巻物や奈良絵本に描かれて普及しました。鬼の住みかによって、大江山系と伊吹山系の2系統に分類されています。根津美術館が所蔵する3種類の「酒呑童子絵巻」はいずれも16世紀以降の伊吹山系の作品ですが、それぞれ画風も制作年代も異なります。なかでも19世紀の住吉派の絵師が描いた8巻本は、前半の4巻に酒呑童子の生い立ちの物語を加えているのが特徴で、今回はじめてその全貌、全8巻を展示しています。

酒呑童子絵巻(部分) 1巻 紙本着色・墨書
日本・室町時代 16世紀 根津美術館
(画像をクリックすると拡大します。以下の画像も同じ)

この1巻は御伽草子絵巻と呼ぶにふさわしい稚拙でユーモラスな表現がなんともいえずほほえましい作品です。頼光らが迫りくるのも知らず、多くの女房たちを侍らせて高いびきをかいて熟睡する酒呑童子です。大きな口を開けた寝顔がかわいらしく、日本における鬼の存在は何かしら親しまれる様に描かれています。

酒呑童子絵巻(部分) 伝狩野山楽筆 3巻 紙本着色・墨書
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵 茂木克己氏寄贈

17世紀の伝狩野山楽筆3巻本は同系統の最古本である狩野元信の「酒呑童子絵巻」(サントリー美術館蔵)を踏襲しながらも随所に改変が見られ、元信本とは違った魅力があります。酒呑童子の住む岩屋の庭は、春夏秋冬が東南西北に配された四方四季の庭だったようです。画中画を含め、花鳥表現が入念に描かれているのが特徴です。さすがに狩野派ということでしょうか。

酒呑童子絵巻(部分) 住吉弘尚筆 8巻 絹本着色・紙本墨書
日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵

こちらも冒頭の画像と同じく19世紀の住吉派の絵師が描いた8巻本の一部です。前半の4巻に酒呑童子の生い立ちの物語を加えていて、今回初めて全貌の紹介になります。

近江の郡司の娘と伊吹明神との間に生まれた子(後の酒呑童子)は、3歳から酒を飲んだため比叡山に修行に出され、伝教大師の指導で酒を断つのですが、宮廷の慶事に鬼舞を舞った褒美に酒をふるまわれて本性がよみがえり、山を追われました。真っ赤な仮面で舞うのが童子です。(巻第3、第3段)父の伊吹明神は実はヤマタノオロチということです。そうなると巻第1から見たくなりますね。

日本での鬼は悪さをする恐ろしい存在だけではなく、災害から人を守る神だったり、孤独で人と親しくしたい者とか、様々な形で広くあちこちで言い伝えられています。とても身近な異形の者です。

同時に、展示室5では百椿図、展示室6では初釜を主題にした作品が展示されています。

百椿図(部分) 伝狩野山楽筆 2巻 日本・江戸時代
17世紀 根津美術館蔵 茂木克己氏寄贈

江戸初期の椿ブームに文芸趣味が加わって生まれた「百椿図」。今回は本阿弥光悦書の詩歌集などと一緒に展示されています。沢山の椿の種類がありますが突然変異的にでるものがあって次の世代に続かず、もう現在にはない椿も描かれているそうです。

錆絵富士山図茶壷 野々村仁清作 1口 施釉陶器
日本・江戸時代 17世紀 根津美術館
蔵

展示室6の初釜とは新年に初めて釜を掛け、茶会を催すことです。新しい年を寿ぐ、晴れやかな茶道具25件が展示されています。この壺の富士山は素敵ですね、一筆、二筆でさっくり山を描いたのに富士山としっかり判りますし、その端正さが表れています。富士山と三保の松原が描かれた絵画的な文様の壺は茶席では床飾りに用いられるそうです。

根津美術館展覧会ホームページ

開始日2019/01/11
終了日2019/02/17
エリア東京都
時間開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休日休館日 毎週月曜日(1月14日、2月11日は開館)、1月15日(火)、2月12日(火)
その他備考入館料 一般1100円、学生800円
開催場所根津美術館
アクセス〒107-0062
港区南青山6-5-1
☎03-3400-2536(代表)
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線〈表参道〉駅A5出口(階段)より徒歩8分、B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分、B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/access/index.html