国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティックロシア

【1】忘れえぬ女(ひと)

イワン・クラムスコイ 《忘れえぬ女(ひと)》 1883年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

Bunkamura ザ・ミュージアムでは2019年1月27日(日)まで「Bunkamura 30周年記念 国立トレチャコフ美術館蔵 ロマンティック・ロシア」を開催しています。

19世紀後半、革命の足音が迫る帝政ロシアで、郷土愛に目覚めた画家たちが新たな画題として選んだのが、広がる大地、白樺の並木、深い森といったロシアの大いなる自然であり、田園の暮らしであり、市井の美しい女性や子供など、この時代を生き抜いた人々でした。

この展覧会では、ロシア美術の殿堂と言われる国立トレチャコフ美術館が所蔵する豊富なコレクションより、クラムスコイ、シーシキン、レヴィタン、ヴェレシャーギンといった19世紀後半から20世紀初頭の激動のロシアを代表する作家の作品72点を紹介しています。厳冬の張り詰めた空気のなかで見せる微笑みが「ロシアのモナリザ」に喩えられるクラムスコイの《忘れえぬ女(ひと)》は注目作品です。この絵の前でしばし佇むということがよく理解できます。

イワン・クラムスコイ 《月明かりの夜》 1880年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

《月明かりの夜》の女性も妖精のような美しさと透き通るような空気が幻想的です。上記2点ともクラムスコイの作品で、第2章ロシアの人々に展示されています。クラムスコイはロシアの最も重要な画家で、ロシアの著名な文化人の肖像画を数多く描いています。彼は芸術的な課題に没頭し、人間の内面の複雑さ、「人間の意味」を解明しようとしたそうです。

展覧会構成は、第1章のロマンティックな風景、第2章ロシアの人々、第3章子供の世界、第4章都市と生活、となっています。第1章ではロシアの四季が描かれていて、日本から遠くはなれたロシアの大地がそこにあります。

イワン・シーシキン 《正午、モスクワ郊外》 1869年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

イワン・シーシキン 《雨の樫林》 1891年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

ワシーリー・バクシェーエフ 《樹氷》 1900年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

「夏」のコーナーにあるイワン・コンスタンチーノヴィア・アイヴァゾフスキーの《嵐の海》は、日本では見られない風景です。荒れるロシアの海の向こうに雪に覆われた峻烈な山々が印象的です。

ワシーリー・コマロフ 《ワーリャ・ホダセーヴィチの肖像》 1900年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

ワーリャは見つめているだけでしょうか、何か話しかけているのでしょうか。第3章には、ロシアの農民の子供らの生き生きした風情、貴族の子女であろう少女の人形を見つめる愛らしい顔、子供達が好きなものに夢中になる一瞬が情緒豊かに描かれた作品が並びます。

ニコライ・グリツェンコ 《イワン大帝の鐘楼からのモスクワの眺望》 1896年
油彩・キャンヴァス © The State Tretyakov Gallery

第4章都市と生活は、4-1都市の風景と4-2日常と祝祭とに分かれています。私個人としてはウラジミール・エゴーロヴィチ・マコフスキーの《ジャム作り》で描かれた老夫婦の自然な感じが好きです。

ロシア文学者の亀山郁夫氏によると、ロシアの芸術というのは、大地と都会、自然(nature)と人工(art)が水際立ったコントラストをなす世界だと記しています。これは今回の展覧会を鑑賞する上で非常に大切なポイントと思われます。冬の一日を、自然や人物像に内在するロシア的なロマンにぜひ思いを馳せてみてください。

Bunkamura ザ・ミュージアム展覧会ホームページ

開始日2018/11/23
終了日2019/01/27
エリア東京都
時間10:00~18:00(入館は17:30まで)
夜間開館/毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
休日休館日 2018年12月18日(火)、 2019年1月1日(火・祝)
その他備考入館料 一般1500円、大学・高校生1000円、中学・小学生700円
*学生券は要学生証提示(小学生は除く)
開催場所Bunkamuraザ・ミュージアム
アクセス〒150-8507
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
・JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分
・東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
・東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」3a出口より徒歩5分
http://www.bunkamura.co.jp/access/