京都・醍醐寺 ー真言密教の宇宙ー

4sc如意輪観音坐像

重要文化財「如意輪観音坐像」平安時代、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:森村欣司

自分が、今、まさに京都のお寺の中に居ると思わせる展覧会が、東京ミッドタウンのサントリー美術館で開催されています。京都の山科盆地にある醍醐寺は、真言密教の拠点として、古くから歴史の表舞台で重要な役割を果たしてきた名刹です。展覧会では国宝・重要文化財に指定された仏像や仏画を中心に、普段は公開されない貴重な史料・書跡を通じて、平安時代から近世にいたる醍醐寺の変遷をたどります。また安土桃山時代に豊臣秀吉が行った「醍醐の花見」に関する品々や、三宝院の襖絵、俵屋宗達による絵画など、醍醐寺をめぐる華やかな近世美術も鑑賞できる貴重な機会となります。巨大な薬師如来坐像、迫力ある五大尊像など、千年の時を経て伝えられた名宝が醸し出す濃密な宇宙が六本木に出現しています。

展示構成は4章に分かれています。

第1章     聖宝、醍醐寺を開く

真言密教は、弘法大師空海が中国・唐にて学び、そのすべてを伝授されて日本に戻り大成させた当時最新の教えです。聖宝(832~909)はその孫弟子にあたり、醍醐寺を開いたことで真言宗に新たな展開をもたらします。平安時代の貞観16年(874)、天智天皇の流れをくむ聖宝は東大寺において諸宗を学んだ後、醍醐味の水が湧き出る笠取山を見出し、草庵を結んで准胝(じゅんてい)・如意輪の両観音菩薩像を安置したのが醍醐寺の始まりです。この章では聖宝の肖像や伝記、縁起をはじめ、上醍醐の薬師堂本尊の国宝《薬師如来および両脇侍像》や、日本における如意輪観音像の代表作の一つである重要文化財《如意輪観音坐像》の名品によって、醍醐寺の草創期を概観します。

「聖宝坐像」吉野右京種久作、江戸時代、延宝二年(1674)、醍醐寺蔵

国宝「醍醐寺縁起」乗淳筆、江戸時代、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔

国宝「薬師如来坐像」平安時代、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔

入館した時点から空気が変わります。特に階段を降りていくと薬師如来坐像が荘厳な雰囲気と共に現れ、感動がわきます。自然と有難く感じられます。

第2章     真言密教を学び、修する

加持祈祷や修法(儀式)などの実践を重視した醍醐寺は、その効験によって多くの天皇や貴族たちの心をとらえました。真言密教の二大流派のうち小野流の拠点となり、多くの僧が集まる根本道場と位置づけられ、修法の本尊として欠くことのできない彫刻や絵画、仏具、修法の手順や記録などを記した文書や聖教が蓄積されていきました。この章では、千年以上もの間、修法を続けて来た醍醐寺のいまに伝わる様々な寺宝を展示しています。

重要文化財「不動明王図像」信海筆、鎌倉時代、弘安五年(1282)、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔(展示期間:10月17日~11月11日)

重要文化財「五大明王像のうち不動明王」平安時代、醍醐寺蔵

この章では多様な不動明王を比べて見るのも一興かもしれません。仏像、絵画、白描図と様々に明王があらわれます。その力強い様が時代を反映しているのでしょう。曼荼羅図も圧巻です。

第3章     法脈を伝えるー権力との結びつきー

修法が多く行われるようになると、各密教僧の間で異なる修法次第が生まれ、醍醐寺内でもいくつかの流派が形成されました。その中心は第十四代座主の勝覚が創建した醍醐寺三宝院を拠点とする三宝院流です。三宝院の院主は醍醐寺座主を兼ねることも多く、足利尊氏の政権における賢俊や、足利義満以下三代に仕えた満済など、彼らが座主として時の為政者から帰依を受けることで、寺は繁栄していきました。この章では祖師像や、師から弟子へ伝えられる諸尊の修法についての記録、時の為政者の文書・書跡などから、法脈の相承と繁栄の歴史を伝えます。夥しい書簡に時代と権力を感じます。

「満済像」土佐行広筆、室町時代、永享六年(1434)、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔(展示期間:10月17日~11月11日)

重要文化財「理趣経」足利尊氏筆、南北朝時代、延文二年(1357)、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔(展示期間:10月17日~11月11日)

第4章     義演、醍醐寺を再びおこす

16世紀末に第八十代座主になった義演(1558~1626)は、豊臣秀吉などからの保護を受け、戦乱により荒廃した伽藍の復興整備を進めました。秀吉最晩年の慶長3年(1598)春に催された「醍醐の花見」は、桃山時代の華麗な文化を象徴するものです。

「金天目および金天目台」安土桃山時代、醍醐寺蔵、
画像提供:奈良国立博物館、撮影:佐々木香輔

重要文化財「醍醐花見短冊」安土桃山時代、慶長三年(1598)、醍醐寺蔵

重要文化財「三宝院障壁画 柳草花図(表書院上段之間)」安土桃山~江戸時代、醍醐寺蔵

本当に秀吉は豪華で派手好みだったのだと実感します。しかし作品一つ一つは当時の最も優れた工芸士達の手によるものです。見たこともないほど大胆で斬新な品々は、驚きとともに繁栄と権力、文化と美意識を示したことでしょう。

美術館ホームページ

展覧会ウェブサイト

開始日2018/09/19
終了日2018/11/11
エリア東京都
時間開館時間:10時~18時
*金・土は20時まで開館
*いずれも入館は閉館の30分前まで
休日休館日:火曜日(ただし11月6日は18時まで開館)
*shop × cafeは会期中無休
その他備考入館料:一般1500円、大学・高校生1000円、中学生以下無料
開催場所サントリー美術館
アクセス〒107-8643
東京都港区⾚赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
☎03-3479-8600
https://www.suntory.co.jp/sma/map/
*10:00〜11:00は、1Fの「GALLERIA (ガレリア)」入口からご入館ください。
https://www.suntory.co.jp/sma/map/1100.html