特別展 「縄文ー1万年の美の鼓動」

国宝 火焰型(かえんがた)土器(どき)
新潟・十日町市蔵(十日町市博物館保管) 写真:小川忠博
新潟県十日町市 笹山遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年
わたしが子どもの頃は、縄文時代といえば狩猟採集の原始的な生活、弥生時代には稲作によって共同体が形成され、その後の日本の社会の始まりということで、縄文というとエキゾチックなイメージがあり、どこか距離を感じていました。
国宝 土偶(どぐう) 縄文(じょうもん)のビーナス
長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管) 展示期間:7月31日(火)~9月2日(日)
長野県茅野市 棚畑遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年
最近は縄文が脚光を浴び、弥生時代の影が薄くなっていますね。縄文時代に注目が集まるのは、時間の長さと文化的特徴の二つの特異性によるものではないでしょうか。世界の研究者によると1万年も続く時代は他にないのだそうです。また、「芸術は、爆発だ!」の芸術家、岡本太郎(1911~1996)が、1950年代に東京国立博物館で出会った縄文土器によって、それまで考古学者くらいにしか知られていなかった縄文の魅力を衝撃的に発見したことは、よく知られるようになりました。
顔面(がんめん)把手(とって)
東京国立博物館蔵 山梨県韮崎市穂坂町出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年
縄文時代の遺跡は、これまでに9万件を超える数が確認されているそうですが、数ある縄文時代の出土品のなかでも国宝はたったの6件。造形の極みともいえるこの6件すべてが、本展で初めて勢揃いします(6件がすべて揃うのは7月31日~)。太郎さんが生きていらしたら何と言うでしょうね。
国宝 土偶(どぐう) 仮面(かめん)の女神(めがみ)
長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管) 展示期間:7月31日(火)~9月2日(日)
長野県茅野市 中ッ原遺跡出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年
国宝に加え、教科書でもおなじみの「遮光器土偶」(横広がりの大きなサングラスをしたような土偶)や、温かみを感じさせる「木製編籠 縄文ポシェット」、縄文時代の人びとの身を飾った色鮮やかで優美な「土製耳飾」などの重要文化財をはじめ、縄文時代を代表する優品揃いです。
重要文化財 遮光器(しゃこうき)土偶(どぐう)
東京国立博物館蔵 青森県つがる市木造亀ヶ岡出土 縄文時代(晩期)・前1000~前400年
重要文化財 木製編(もくせいあみ)籠(かご) 縄文(じょうもん)ポシェット
青森県教育委員会蔵(縄文時遊館保管) 写真:小川忠博
青森市 三内丸山遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年
重要文化財 土製(どせい)耳飾(みみかざり)
江戸東京たてもの園蔵 東京都調布市 下布田遺跡出土
縄文時代(晩期)・前1000~前400年
展示は、東西3,000kmを超える日本列島で広範囲に展開した縄文を、1万年に渡って紹介しています。時期や地域を超えて総覧し、どっぷり縄文に浸り、移り変わりや広がり、そしてその奥深さを感じることができます。縄文人が生き抜くために生み出した簡素ながらも力強いカタチ、自然への感謝と畏怖、命の引継のなかで作り出された神秘のカタチに文句なく圧倒されます。
重要文化財 猪形(いのししがた)土製品(どせいひん)
青森・弘前市立博物館蔵 写真:小川忠博
青森県弘前市 十腰内2遺跡出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年
それにしても、不必要と思われるほどの過剰な飾りのついた土器や、一つ一つが個性的な土偶にしろ、どうして縄文はこうもダイナミックで独創的な造形を発展させたのでしょう。現代の日本人の特質からすると時空をこえた驚きに満ちています。わたしたちが縄文に魅せられるのは、現代の日本人が失ってしまったものを見つけたり、眠っている特質に気づいたり、あるいは本来あるところに回帰する希望などによるものかもしれません。はるか昔のご先祖さまの生活に想いをはせつつ、乾杯と感謝をしたいと思います。
重要文化財 ハート形(がた)土偶(どぐう)
個人蔵 群馬県東吾妻町郷原出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年
開始日 | 2018/07/03 |
終了日 | 2018/09/02 |
エリア | 東京都 |
時間 | 午前9時30分~午後5時 ※金曜・土曜は午後9時まで、日曜および7月16日(月・祝)は午後6時まで ※入館は閉館の30分前まで |
休日 | 休館日: 月曜日(ただし7月16日[月・祝]、8月13日[月]は開館)、7月17日(火) |
その他備考 | 観覧料:一般1,600円、大学生1,200円、高校生900円 ※中学生以下無料 ※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳などをご提示ください) |
開催場所 | 東京国立博物館 平成館 |
アクセス | 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 お問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル) ・JR上野駅公園口、鶯谷駅南口より徒歩10分 ・東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分 |
昨日行ってきました。
上野は人が多いですね。
縄文展も沢山の家族連れで賑わっていました。
感想は、「国宝は別格の迫力があって、美しい」
一番のお気に入りは、以前見たことがあった山梨県所蔵の重要文化財指定の深型土器なのですが、展示場入ってすぐのところ、目立つ場所に展示されていた意味がわかりました。「見て!」の存在感です。
メインの国宝は、学問的意味よりも、均整の取れた美しさ、人の感触が伝わる感動。少しの解説で十分満足できました。
チケット1枚を送っていただいたので二人分を半額で見ることができました。ありがとうございました。
記念に土産店で発掘用軍手を購入しました。
山梨県所蔵の深型土器は水煙文のある方でしょうか。ほっそりとして美しいですね。新潟の火焔型土器を「ますらお」とすると、こちらは「貴婦人」のよう。プロポーションといい、渦巻きの装飾といい、パーフェクトな美しさです。
土器や土偶もモノとして見ればオタクでもない限り、ふーん、で終わっちゃうのですが、文字もない一万年もの昔に、本来の用途をなさないほど飾り立てたり、カタチを過剰に強調した作り手がいたことが衝撃です。衣食住や安全の確保されていない世界からの遺産は、人間は芸術なしには生きられないと語っているようです。
次回は一緒に行かれる方も登録してそれぞれ一枚応募してくださいね。
人形装飾付有孔鍔付土器のデザインがとても可愛らしく印象に残りました。
チケットをいただきありがとうございました。昨日、行ってきました。
土器も土偶も驚きながら見ました。
土器の縄文初期とされる時代から、すでに完成度の高いものばかりで驚きました。陶芸教室に少しだけ通い、いくつか食器をつくった経験があります。粘土で成形した後は完全に乾かしてから焼くわけですが、その間の数日ないし数週間の間に元の形が重さで変形していくのです。それを焼くとまた数%は縮むわけです。そのような訳で、意図した形を思い通りに作るのは本当に大変です。ですから土器の形の完璧さには縄文人の技術の高さを感じました。特に火焔型土器の破たんの無さは見事です。当時も名人と言われる人がいたのだろうと想像しました。反面、みみずく土偶とか、小さなお守りのようなものは、きっと工房の隅で誰かが、見よう見まねで作ったのかななどと思いながら見ました。
一番強く感じたのは、一万年という時間の長さでした。キリスト誕生から2000年、その5倍の年月とは・・・・は~歴史とはなんなんだ、進歩とはなんなんだ、そのことが頭の中をぐるぐる、ひたすらぐるぐるしていました。そういう意味でも、とても面白い展覧会でした。
動物の土器が可愛かったです