ヌード NUDEー英国テート・コレクションより ART FROM THE TATE COLLECTION

オーギュスト・ロダン《接吻》(部分) 1901-4年
ぺンテリコン大理石 182.2×121.9×153.0cm Purchased with assistance from
the Art Fund and public contributions 1953 image © Tate, London 2017
英国テート・コレクションより「ヌード」をテーマとした絵画、彫刻、版画、写真など約134点を紹介する展覧会です。1790年代から2000年代にかけて、裸の身体をどのように表現されてきたかを検証する内容になっています。
展示は8章に区分けされています。
1 物語とヌード
19世紀の英国、歴史画が唯一、ヌードを描くことができた時代の作品を中心に紹介しています。男性はあくまで逞しい筋肉に覆われ、女性は艶やかで非の打ちどころのない美しい姿で描かれています。アンナ・リー・メリットの《締め出された愛》は国に寄贈された女性画家による最初の作品で、ヌードを描いた作品であるということなので、注意してご覧下さい。
フレデリック・レイトン《プシュケの水浴》1890年発表
油彩/カンヴァス 189.2 × 62.2cm Tate: Presented by the Trustees
of the Chantrey Bequest 1890 image © Tate, London 2017
2 親密な眼差し
19世紀から20世紀初頭、歴史主題のヌードと並び、同時代の女性をモデルにした描いたヌードが描かれるようになりました。親密な眼差しとタイトルにあるように、モデルが画家の妻であったり、画家自身のアトリエの中で街を見下ろす裸体のモデルが描かれています。
ピエール・ボナール《浴室》1925年 油彩/カンウヴァス 86×120.6cm
Tate: Presented by Lord Ivor Spencer Churchill through the Contemporary
Art Society 1930 image © Tate, London 2017
アンリ・マティス《布をまとう裸婦》1936年 油彩/カンヴァス 45.7×37.5cm
Tate: Purchased 1959 image © Tate, London 2017
3 モダン・ヌード
ヌードがひとつのジャンルとして確立するとともに、身体を新たな視点でとらえ、造形的な可能性を追う作品が生まれてきました。ウィン・ルイスやウィリアム・ロバーツなど、今まで目にする機会がなかった作家の力強く、躍動感あふれる作品が印象的でした。彫刻では簡素化したフォルムの中に血の通う人間の息づかいと温もりを感じます。
4 エロティック・ヌード
この章では愛と性をテーマにした作品が並びます。中でも日本初公開となるオーギュスト・ロダンの大理石彫刻《接吻》は必見です(冒頭の写真)。ぐるりと作品を巡りながらじっくりと観ることができ、写真撮影も許可されています。抱き合う2人の姿はどの角度から見ても完璧に美しく圧倒されました。
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》
「スイス人物」スケッチブックより1802年 黒鉛、水彩/紙 16.3×19.8cm
Tate: Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856 image
© Tate, London 2017
風景画で有名なターナーが描いた貴重なヌード作品が展示されています。彼の制作の中でもあまり知られていない側面です。ターナーの名声を守るため、多くは処分されたと言われていますが、その真偽については諸説あるとのことです。その他、同性愛をテーマにしたホックニーの作品など、愛と性という、避けては通れない人間の営みを考えさせられました。
5 レアリスムとシュルレアリスム
6 肉体を捉える筆触
7 身体の政治性
バークレー・L・ヘンドリックス《ファミリー・ジュールス: NNN(No Naked Niggahs
[裸の黒人は存在しない])》》 1974年 油彩/麻布 168.1×183.2cm
Tate: Lent by the American Fund for the Tate Gallery, courtesy of the North American
Acquisitions Committee 2011 image © Tate, London 2017 ©Estate of Barkley L.
Hendricks. Courtesy of Jack Shainman Gallery, New York
8 儚き身体
写真という新たな表現方法も加わり、「ヌード」という概念が時代と共に変容していくことを実感できる展示です。
本展覧会を見たあとは、同時時開催されている横浜美術館コレクション展2018年度第1期「コレクションをつくる。未来へつなぐー近世の収蔵品より」も是非ご覧下さい。「ヌード」展に展示されていたジョン・エヴァレット・ミレイの《ナイト・エラント(遍歴の騎士)》を下山観山が明治37年に模写した作品や、岸田劉生、河野通勢、村山槐多らの自画像など、ヌード=身体を意識したかのような展示になっています。
横浜美術館コレクション展「コレクションをつくる。未来へつなぐー近世の収蔵品より」
開始日 | 2018/05/24 |
終了日 | 2018/06/24 |
エリア | 神奈川県 |
時間 | 10:00-18:00。 ただし、5月11日(金)、6月8日(金)は20:30まで(入館は閉館の30分前まで)。 |
休日 | 木曜日、5月7日(月)。5月3日(木・祝)は開館 |
その他備考 | 入場料 一般¥1,600、 大学・専門学校生¥1,200、 中学・高校生¥600、 小学生以下無料 |
開催場所 | 横浜美術館 |
アクセス | 〒220-0012
横浜市西区みなとみらい3-4-1 ℡:045-221-0300 みなとみらい線(東急東横線直通)「みなとみらい」駅〈3番出口〉から、マークイズみなとみらい〈グランドガレリア〉経由徒歩3分、または〈マークイズ連絡口〉(10時~)から徒歩5分。 JR(京浜東北・根岸線)・横浜市営地下鉄「桜木町」駅から〈動く歩道〉を利用、徒歩10分。 http://yokohama.art.museum/visit/access.html http://yokohama.art.museum/eng/visit/access.html |