至上の印象派展 ビュールレ・コレクション Impressionist Masterpieces from the E.G. Buehrle Collection, Zurich (Switzerland)

ピエール=オーギュスト・ルノワール
《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》1880年
「絵画史上、最強の美少女(センター)」とキャッチなコピーでこの展覧会のアイコンとなっているのは、ルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》。わたしたちの誰もが教科書かどこかで見ているセザンヌの《赤いチョッキの少年》、スイス国外に初めて貸し出されることになった4メートルを超えるモネの睡蓮の大作《睡蓮の池、緑の反映》、さらにゴッホの《花咲くマロニエの枝》などなど、などなど・・・息を飲む印象派の名作の数々です。
フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲くマロニエの枝》1890年
ルノワール4点、セザンヌ6点、ゴッホ6点、モネ4点、マネ4点、の他にドラクロワ、ドガ、ファン・ゴッホ、ゴーギャン、マティス、ピカソ…、それもそれぞれの巨匠を語る印象派・ポスト印象派の傑作が、一人の個人コレクションにあったのかということに驚きます。
ポール・ゴーギャン《贈りもの》1902年
この世界最高峰と言われる印象派のコレクションは、スイスの実業家、エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)さんが築き上げた主に17世紀のオランダ絵画から20世紀の近代絵画に至る作品約600点の一部とのこと。全ての作品がチューリヒ美術館に移管されることになり、コレクションの全体像を紹介する最後の機会として、日本での展覧会が実現することになったそうです。
エドゥアール・マネ《ベルヴュの庭の隅》1880年
本展の白眉の一つと言えるのが、セザンヌ。6点の出品作は、暗い情念を感じさせる初期のバロック的宗教画から、印象派の筆触を独自に展開させた風景画、最盛期の妻の肖像と自画像、キュビスムの先駆を思わせる最晩年の作品まで、この画家の作風の変遷を明らかにしています。そして、《赤いチョッキの少年》は、左に《扇子を持つセザンヌ夫人の肖像》と右に《パレットを持つ自画像》、要は近代美術の金字塔ともいえる《赤いチョッキの少年》がセザンヌ夫妻にはさまれて一室に3点ならぶという心憎い展示となっています。
ポール・セザンヌ《赤いチョッキの少年》1888-90年頃
《赤いチョッキの少年》他、本展出品作のドガの《リュドヴィック・ルピック伯爵と娘たち》、モネの《ヴェトゥイユ近郊のひなげし畑》、ファン・ゴッホの《花咲くマロニエの枝》の4点は2008年に盗難に遭ったという生々しい事件も世界が傑作と認めるからこそでしょう。
エドガー・ドガ《リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち》1871年頃
近代美術の精華といえるコレクションは目が覚めるようです。作品数は64点、その半数は日本初公開だそうです。じっくりご堪能ください。
アルフレッド・シスレー《ハンプトン・コートのレガッタ》1874年
福岡と名古屋に巡回します。
2018年5月19日(土) ~ 7月16日(月・祝)九州国立博物館
2018年7月28日(土) ~ 9月24日(月・祝)名古屋市美術館開館
カミーユ・ピサロ《ルーヴシエンヌの雪道》1870年頃
エミール=ゲオルク・ビュールレ、1950年頃
*作者、作品名、制作年、技法、サイズ、所蔵、photo クレジット 上から順に、
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》 1880年 油彩、カンヴァス65×54cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲くマロニエの枝》1890年 油彩、カンヴァス 73×92cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
ポール・ゴーギャン《贈りもの》1902年 油彩、カンヴァス 68.5×78.5cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
エドゥアール・マネ《ベルヴュの庭の隅》1880年 油彩、カンヴァス 91×70cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
ポール・セザンヌ《赤いチョッキの少年》 1888-90年頃 油彩、カンヴァス 79.5×64cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
エドガー・ドガ《リュドヴィック・ルピック伯爵とその娘たち》1871年頃 油彩、カンヴァス 65×81cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
アルフレッド・シスレー《ハンプトン・コートのレガッタ》1874年 油彩、カンヴァス 46×61cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: Dominic Buettner, Zurich
カミーユ・ピサロ《ルーヴシエンヌの雪道》1870年頃 油彩、カンヴァス 43.5×65.5cm ©Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
エミール=ゲオルク・ビュールレ、1950年頃 Photo: Foundation E.G. Bührle Collection, Zurich (Switzerland)
開始日 | 2018/02/14 |
終了日 | 2018/05/07 |
エリア | 東京都 |
時間 | 10:00-18:00 ※毎週金曜日・土曜日、4月28日(土)~5月6日(日)は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
休日 | 毎週火曜日休館 ただし5月1日(火)は開館 |
その他備考 | 観覧料(税込) 当日 1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生) 中学生以下および障害者手帳をご持参の方(付添いの方1名含む)は入場無料。 |
開催場所 | 国立新美術館 企画展示室1E |
アクセス | 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 ・東京メトロ千代田線乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結) ・都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分 ・東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から 徒歩約5分 http://www.nact.jp/information/access/ (English) http://www.nact.jp/english/information/access/ |
4 月 8 日(日) ~15 日(日)の来場者全員に、モネ「睡蓮の池、緑の反映」特製ポストカード(非売品)がプレゼントされるそうです!第1回印象派展が1874 年 4 月 15 日に行われたことを記念して。
2018 年 3 月 19 日(月)、開幕から30日目で累計入場者数が10 万人に達したそうです。会場は広いですし、作品数64点とゆとりのある展示ですが、会期後半は混雑するかもしれないので、お早めに行かれることをおすすめします。
楽しみにしていましたイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢とても素敵でした。
ほかに陽を浴びるウォータールー橋、ロンドンも印象的でした。
5/2(水)の15時くらいに見に行ったのですが、
20分の入場待ちで、中も混雑していて
じっくりとは鑑賞出来ませんでした。
個人的にはモネのヒナゲシ畑の絵が気に入りました。
GW期間中は20時まで実施している日があるので、
ゆっくり見るには遅めの時間が良いと思われます。
先日『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』に行って参りました。
ゴールデンウィーク中だったからか入館まで1時間ほど並びましたが、それを補ってなお大いに余りある素晴らしい作品達に出会えてとても幸せです。
展示のテーマでもある「印象派」を中心に、19世紀から20世紀のフランス絵画の歴史を、一人ひとりの画家の作風の変遷とともに有機的に展示してあってとても見やすい展覧会でした。
個人的には、対象的なカナレット《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂、ヴェネツィア》とシニャック《ジュデッカ運河、ヴェネツィア、朝》や、マネ・セザンヌの作品たちとそのタッチの変化が観ていて楽しかったです。
印象的だったのは、写真撮影もできるモネの”大睡蓮”《睡蓮の池、緑の反映》の光と水の揺らぎの繊細さ、睡蓮の色使いの優美さと、本展示会の目玉で少し”残念な”コピーをつけられたルノワール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢》の磁器のような艶のある顔の可憐さです。
館内は展示スペースが広く作品数が絞られているので、人が多いながらも作品ごとにじっくり快適に鑑賞することができました。
開催時期が5月7日までと残り少ないですが、興味のある方には絶対オススメです。
ゴールデンウィーク中に観に行ったので、会場は入場待ちでかなり混雑していました。
1人のコレクターが求めた作品たちをこのようなかたちで観ることができる良い機会で、彼の収集方針や嗜好性などを思いながら回りました。
みなさま、コメントありがとうございます。
会期終わりの頃に行かれた方は混雑にあったようですね。
それでもどの作品も素晴らしく、目を引かない作品はないというくらいで、待つ甲斐のある展覧会だったと思います。
自分でも展覧会はなるべく早く行こうとは思うのですが、結局最終日になったり、今年のGWは行けなくなったものがいくつか。。。でした(悲)。