特別展 仁和寺と御室派のみほとけ -天平と真言密教の名宝ー Treasures from Ninnaji Temple and Omuro

3ss.阿弥陀如来坐像(文字なし)

国宝「阿弥陀如来坐像」平安時代・仁和 4 年(888) 京都・仁和寺蔵 撮影=小野祐次

東京国立博物館 平成館で開かれている特別展「仁和寺と御室派のみほとけ」には貴重な必見の仏像等が数多く展示されている。さすがに天皇家ゆかりの寺である。2月14日からの後期展示ではあるが”天平の秘仏“と称される大阪の葛井寺(ふじいでら)の国宝「千手観音菩薩坐像」は江戸時代の出開帳以来初めての東京お出ましとあり、これを拝観できるのはまたとない機会と思うので是非上野に足を運ぶことをお勧めする。

みどころは各章にあるが、まず秘仏や本尊などを含む彫刻66体が一堂に展示されることと、空海自筆の国宝「三十帖冊子」の公開、そして仁和寺の観音堂を展示室に再現しているところである。

5章に分かれた展覧会構成は以下となっている。

第一章    御室仁和寺の歴史

国宝「高倉天皇宸翰消息」高倉天皇筆 平安時代・治承 2 年(1178)
京都・仁和寺蔵 展示期間:  1 月 16 日~2 月 12 日

「宇多法皇像」室町時代・15 世紀 京都・仁和寺蔵
展示期間:  2 月 14 日~3 月 11 日

国宝「宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱」平安時代・10 世紀
京都・仁和寺蔵 展示期間:  2 月14 日~3 月 11 日

国宝「三十帖冊子」空海ほか筆 平安時代・9 世紀
京都・仁和寺蔵 通期展示、帖替あり

仁和寺は、光孝天皇(830‐887)の発願により造営が始まり、仁和4年(888)、宇多天皇(867‐931)により創建された。宇多天皇は譲位後に出家し、延喜4年(904)、仁和寺に御室(僧坊)を造営、隠棲する。その後、仁和寺は宇多法王の法流を受け継ぐべく歴代門主は親王・法親王が相丞し、御願寺(皇室の私寺)として歴代天皇から崇敬されてきた。如実に表わされているのが国宝「高倉天皇宸翰消息」を始めとする仁和寺に伝わる天皇直筆の書(宸翰)の数々である。

夥しいほどの宸翰には圧倒されると同時に一瞬にしてその時代に連れて行かれるような感覚になる。

第二章 修法の世界

国宝「孔雀明王像」中国 北宋時代・10~11 世紀 京都・仁和寺蔵
展示期間:  1 月 16 日~2 月 12 日

密教の教えでは、修行者が仏と一体の境地に達するとき、仏の知恵を悟り、その力(加持力)によって人々を救うと説かれている。その具体的な形として、仏の力をもって現実世界に様々な影響を与える「修法」という儀式がある。天変地異や災いを除き、幸福をもたらすためそれを密教に期待され、平安時代には国家的行事として行われた。仁和寺では空海を宗祖と仰ぎ、また皇室とのゆかりが深いことから修法に関わる多くの名宝が伝えられている。本章では天皇の病気平癒や皇子の誕生を願う孔雀経法の本尊である国宝「孔雀明王像」や、仏舎利を納める容器などが展示されている。

第三章 御室の宝蔵

承平元年(931年)宇多上皇が崩御された際に膨大な数の御物が仁和寺の管理下に置かれることになり、宝物殿が造営され、以降厳重に管理され火災や戦火から守られてきている。その中に国宝「医心法」など、中国・日本の医学史上重要な物がある。また御室派の関係寺院にある様々な寺宝から、これまでまとまって紹介される機会がなかった仁和寺と御室派寺院に伝わる絵画・書跡・工芸の名品が出展されている。個人的には重要文化財「承久三、四年仁和寺日次記」や重要文化財「方丈記」、重要文化財「貞観寺根本目録」などがおもしろい。また「彦火々出見尊絵」が江戸時代の物であるが彩色が美しく残っている。

第四章 仁和寺の江戸再興と観音堂

観音堂内部 撮影:  横山健蔵

広大な寺域を誇った仁和寺も応仁の乱のさなかの応仁2年(1468)で焼失し、現在のような伽藍に再建されたのは江戸時代で、寛永11年(1634)覚深法親王が将軍家光に働きかけて造営された。その際に紫宸殿、清涼殿、常御殿も移築された。本展では、この観音堂の内部が圧倒的な形で再現されている。2時間でも3時間でも敬虔な気持ちでここに居られると思ってしまうほどだ。観音堂の須弥壇正面壁をはじめ、内陣の板壁や柱は極彩色の壁画の高精彩画像で彩られている。本堂の中央には「千手観音菩薩立像」を始め、「不動明王立像」、「降三世明王立像」、「二十八部衆立像」が所狭しと並んでいてその場にひれ伏してしまいたい。言い方が不遜かもしれないがゴージャス!と思うこの観音堂の再現空間は撮影可能となっている。

第五章 御室派のみほとけ

重要文化財「馬頭観音菩薩坐像」鎌倉時代・13 世紀 福井・中山寺蔵

重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」平安時代・10 世紀 兵庫・神呪寺蔵

国宝「十一面観音菩薩立像」平安時代・8~9 世紀 大阪・道明寺蔵

重要文化財「降三世明王立像」平安時代・11 世紀 福井・明通寺蔵
撮影:  武藤茂樹

重要文化財「千手観音菩薩坐像」経尋作 平安時代・12 世紀 徳島・雲辺寺蔵

さて何と言ってもこの章は壮観の一言!仁和寺は、今から1100年あまり前の平安時代に開創され、それ以降の長い歴史で、仁和寺と御室派諸寺院とはさまざまな縁が結ばれ、現在は約790箇寺を数える。本展では普段公開されていない秘仏を含めて、全国各地の御室派寺院から貴重な仏像などが集まった。なかでも仁和寺創建当時の本尊、国宝「阿弥陀如来坐像および両脇侍立像」は真に優美であり、ここからが和様彫刻のはじまりだったらしい。また葛井寺(ふじいでら)の秘仏、国宝「千手観音菩薩座像」は千の手、千の眼、十一のお顔を持つ現存最古の千手観音像である。その他にも道明寺の国宝「十一面観音菩薩立像」、中山寺の重要文化財「馬頭観音菩薩坐像」、神呪寺の重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」、雲辺寺の重要文化財「千手観音菩薩坐像」等々、普段は公開されていない”秘仏“がずらりと並んでいる。 仏像に興味のあるなしに関わらず、必見の展覧会である。

特設サイト

東京国立博物館ホームページ

Exhibition Homepage

 

開始日2018/01/16
終了日2018/03/11
エリア東京都
時間午前9時30分~午後5時、毎週金・土曜日は午後9時まで 
*入館は閉館の30分前まで
休日休館日 月曜日 ただし2月12日(月・休)は開館、2月13日(火)は休館
その他備考観覧料 一般1,600円、大学生1,200円、高校生900円
開催場所東京国立博物館 平成館(上野公園)
アクセス〒110‐8712 東京都台東区上野公園13-9
・JR上野駅公園口、または鶯谷駅南口下車 徒歩10分
・東京メトロ 銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅下車 徒歩15分
・京成電鉄 京成上野駅下車 徒歩15分