特別展 典雅と奇想 明末清初の中国名画展

1.s徐渭「花卉雑画巻」(部分)

徐渭「花卉雑画巻」(部分)明・万暦3年(1575)東京国立博物館
画像提供:東京国立博物館 Image: TNM Image Archives

徐渭(じょい、1521-1593)は浙江省の出身で詩画書や戯曲で活躍したが、
不遇で失意と狂気の放浪生活を送り、妻を殺害して投獄された。
「花卉雑画巻」(かきざつがかん)が得意で、泉屋博古館所蔵の後年の
明・万暦19年(1591)の作と並んで展示されるのが、本展注目の一つである。

住友寛一氏逝去の後、米国の複数の美術館や大学から同氏蒐集の画冊の一図でも譲り受けたいとの意向があったそうです。住友寛一氏蒐集中国絵画の中心は、明末・清初(17世紀)に活躍した、個性的な画風を持つ通常遺民画家と呼ばれる画人の作品と、18世紀に江蘇省楊州の富裕な塩商を背景に制作を行った「楊州八怪」と呼ばれる個性的な画家たちの作品で、伝統尊重の傾向が強い中国では長い間充分な尊敬と注目が払われなかったものです。これらの作品は、住友寛一氏が優れた作品を発掘し、図録として配布したことで研究者や鑑賞者の目にとまり、やがて世界的に注視されることになりました。近年は研究が進んでいますが、最優の基準作品は住友家蒐集品中にあるそうです。

(画像はクリックすると拡大します)

重要文化財 石濤 「黄山図巻」(部分)清・康煕38年(1699)泉屋博古館

重要文化財 八大山人 「安晩帖」 第10図 清・康煕33年(1694)泉屋博古館

中国の明時代末期(16世紀後期-17世紀前期)は、反乱や飢饉など政治的経済的混乱から不安な時代が続き、ついには北方の異民族であった清の支配へと大きく社会が変動しました。明に仕えた画家たちは追われる中で絵を描く者や新たに清朝に仕えるなど、先の見えない時代の中で創造力を発揮したのです。

漸江 「江山無尽図巻」(部分)清・順治18年(1661) 泉屋博古館

この明末清初(16世紀後期~18世紀初)の中国には、主流となった呉派を発展させた正統派の画家が活躍する一方で、彼らの典雅な山水表現に背を向けた異端の画家たちが現れます。呉彬はじめ徐渭や石濤、八大山人から清初の惲寿平など、これらの画家たちは非常に個性的で、人目を驚かすような奇想的ともいえる造形を生みだしました。

米万鍾 「柱石図」明・17世紀 根津美術館

政治的、経済的、社会的に大変動のあった時代、過去の規範に束縛されない、中には狂人と言える人もいたようで、正統派に対して個性派、奇想派と分類されるアヴァンギャルドな絵画が生まれます。全体を見渡して21世紀の中国絵画初心者の目には、さほど奇抜とは思われませんが、新しいことにチャレンジし、実験的で、またそれぞれに個性的ですので、当時の人の目には驚きだったでしょう。中国絵画らしい精緻でフラジャイルな、計算された山水画です。いろいろある作品の中で優品だけが蒐集されたということもあるでしょうし、中国ではどれだけ伝統的技法が根強かったのかとも思います。どうぞ皆さんの目でもご覧になってみてください。

呉彬 「渓山絶塵図」 明・万暦43年(1615) 橋本コレクション
画像提供:東京国立博物館 Image: TNM Image Archives

本展は静嘉堂文庫美術館で開催中の「あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~」との連携企画で、どちらも明末・清初の画人、作品を紹介しています。静嘉堂文庫美術館では、日本人があこがれた先進国中国の絵画、泉屋博古館分館では先の見えない時代に生まれた新しい作品となっています。あるいは、三菱vs住友、二大財閥による明末・清初コレクション、とも言えます。見比べてみると面白いと思います。

龔賢 「山水長巻」(部分)清・17世紀 泉屋博古館

会期中、静嘉堂文庫美術館との連携企画講演会が催されます。詳しくは、展覧会ホームページ をご覧ください。

開始日2017/11/03
終了日2017/12/10
エリア東京都
時間会期は
前期 11/3(金・祝)-11/19(日)  後期 11/21(火)-12/10(日)
どちらも
午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)
休日休館日:月曜
その他備考入館料 一般 800円 / 学生600円 / 中学生以下無料
*静嘉堂文庫美術館の本展覧会招待券または会期中の使用済みチケットをご持参で2割引(他の割引との併用不可)
開催場所泉屋博古館分館 SEN-OKU HAKUKOKAN MUSEUM, TOKYO
アクセス〒106-0032 東京都港区六本木1-5-1
03-5777-8600(ハロ-ダイヤル)
東京メトロ
南北線 六本木一丁目駅下車 徒歩5分
日比谷線 神谷町駅下車 徒歩10分
銀座線 溜池山王駅下車 徒歩10分