パリ♡グラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展 Prints in Paris 1900: From Elite to the Street

Divan Japonais

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》1893年
多色刷りリトグラフ  三菱一号館美術館

展覧会カタログの帯には、

・・・19世紀末
・・・パリ、
・・・猫も杓子も
・・・踊り子も、
・・・みんな
・・・版画に
・・・恋をした。

と書かれています。19世紀末は、まさにフランス版画の黄金時代と言えるのでしょう。

エドゥアール・ヴュイヤール《街路(風景と室内)》1899年
多色刷りリトグラフ  アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館

19世紀のパリは、産業化を背景にパリの大改造*によって近代都市へと生まれ変わり、都市文化が花開きます。美術はあらゆる分野において、それまで根幹をなしていた重厚で壮大な内容と様式が、急速により軽快なものへと変貌を遂げます。

* <中心街では貧民窟が一掃され、多くの労働者層は家賃の安い近郊地へ住み着くことになりました。パリ外縁の小高い丘にあったモンマルトルは彼らの移住先のひとつとなり、また彼らを相手として、そこにカフェ・コンセール(演芸喫茶)やキャバレー、ダンスホールといった遊興施設が次々と誕生。中でも1889年に開店した「ムーラン・ルージュ」は名物店となり、モンマルトルはパリ随一のデカダンな歓楽街として人気を博しました。(参考:「19世紀パリ時間旅行」2017年4月16日〜6月4日 練馬区立美術館)>

モーリス・ドニ《『ラ・デベッシュ・ド・トゥールーズ』紙のためのポスター》
1892年 多色刷りリトグラフ  アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館

平面の美術は18世紀末に発明された石版画の技術によって、容易にそのイメージが複製され、多くの人の手に渡るようになりました。技術は急速に変化し、19世紀末になると、それまで単に複製や情報伝達のための手段でしかなかった版画は、前衛美術家たちにより絵画と同じく芸術の域まで高められます。

表現の可能性を広げるこの新しいメディアに夢中になり、とくにリトグラフ(石版画)*で自らの線描と多彩な色を用いた美しい作品を生み出したのが、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec)*をはじめ、ピエール・ボナール(Pierre Bonnard)、モーリス・ドニ(Maurice Denis)といった、「世紀末パリ」を代表する画家たちです。

*<18世紀のおわりに開発されたリトグラフは、水と油の反発する性質を利用して刷る平版形式の版画技法です。19世紀になると、紙に描くのと同じように自由に描写ができるこの技法は、最先端の表現メディアとして、ロートレックを始め印象派やナビ派など多くの画家たちを魅了しました。>

*<トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)は、南仏アルビの名門貴族の家に生まれ、モンマルトルの歓楽街や娼館など、パリに生きる市井の人々の姿を鋭い観察眼により描き出した、19世紀末フランスを代表する画家です。とりわけポスターや版画制作はその真骨頂とも言え、卓越したデッサンと鮮やかな色彩、斬新な構図や新たな技法への挑戦により、ポスターを芸術の地位にまで高め、後世のグラフィック・アートにも大きな影響を与えました。>

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》
1891年 多色刷りリトグラフ  三菱一号館美術館

19世紀末から20世紀初めはジャポニスムの時代でもあります。彼らの創作意欲はヨーロッパの美術の伝統にはない日本美術によっても多いに刺激されたでしょう。

美しい版画を芸術作品として収集する愛好家も出現する一方、19世紀末は、消費や歓楽、遊興といった大衆文化が大都市パリで花開いた時代でもあります。大衆文化とともに、街中や劇場内のポスター、本の挿絵など、かつてないほど多くの複製イメージが都市に溢れ、美術は人々の暮らしにまで浸透しました。英語のタイトルの「From Elite to the Street」とはまさに、室内で持ち主だけに鑑賞される美術品ではなく、不特定多数の目にさらされるグラフィック・アートの始まりです。

目の肥えた世紀末の愛好家・収集家たちの要請に応えた精緻で高品質の作品と、高まる商業的受容の中でパリの街角や劇場、キャバレーなどで輝いたポスターやパンフレットなど、異なる背景をもつ作品が展示されていますが、それはそのまま今日まで続く平面芸術の原点と言えるでしょう。

ヨージェフ・リップル=ローナイ《村の祭り(画家=版画家集)》1896年
多色刷りリトグラフ  アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館

美術ファンの方の中には「三菱一号館美術館でロートレックはすでに・・・」と思われたかもしれません。ちょうど6年前の2011年10月に「トゥールーズ= ロートレック」展が開催され、約180点のロートレック作品が出展されていました。三菱一号館美術館は、ロートレックが生前アトリエに保管し、画家の親友で、ゴッホの弟テオの画廊を後継したモーリス・ジョワイヤンが引き継いだ250点余りを所蔵しています。

今回は、この時代のグラフィック作品の見事なコレクションを持つオランダのファン・ゴッホ美術館との共同開催であり(オランダ、アムステルダムでは2017年3月3日~6月17日開催)、ベル・エポック(良き時代)の時代を代表する画家たちのポスターやリトグラフを中心に、計約140点の作品でフランス版画の黄金時代を展観展示します。

展覧会公式サイト

フェリックス・ヴァロットン《お金(アンティミテⅤ)》1898年
木版  三菱一号館美術館

<ナビ派の画家ヴァロットンは、シニカルな観察眼を発揮して男女のドラマティックで秘密めいた怪しい情景を10点の連作に描きました。白と黒のみで表現された木版の斬新なデザイン性も見どころのひとつです。この連作は3 0 部限定で制作され、ヴァロットンは刷りの希少性を高めるために版木を破棄しました。>

開始日2017/10/18
終了日2018/01/08
エリア東京都
時間10:00~18:00(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで)
※ 入館は閉館の30分前まで
休日月曜休館(但し、1月8日と、「トークフリーデー」の10月30日(月)、11月27日(月)、12月25日(月)は開館)
年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日
その他備考観覧料:一般 ¥1,700、高校・大学生 ¥1,000、小・中学生 ¥500
※障がい者手帳をお持ちの方と介添人の方1名まで半額。12月5日(火)〜10日(日)」「思いやりウィーク」期間中は、障がい者手帳をお持ちの方と、介添人の方1名が無料になります。
*アフター5女子割
第2水曜17時以降/一般(女性のみ) 1,000円。他の割引との併用不可
開催場所三菱一号館美術館
アクセス〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
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