オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代 OTTO NEBEL and His Contemporaries – Chagall, Kandinsky, Klee

01_ムサルターヤの町 ㈿ 景観B

オットー・ネーベル 《ムサルターヤの町 Ⅳ 景観B》1937年、
グアッシュ・紙、ベルン美術館

日本ではほとんど知られていないオットー・ネーベルの日本初の回顧展です。ベルリンに生まれ育ったネーベル(1892-1973)は、はじめ建築家を学び、のちには演劇も学び1914年に入隊する前は俳優でもあったそうで(その頃の写真を見ると確かにハンサムです!)、二度の大戦を経てスイスに亡命するという波乱の前半生を過ごしました。その後バウハウスでカンディンスキーやクレーと出会い、長きにわたる友情を育み、スイスの首都ベルンで後半生を過ごします。

オットー・ネーベル 《輝く黄色の出来事》1937年、油彩・キャンヴァス、
オットー・ネーベル財団

作品には、マルク・シャガール、パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキーの影響が色濃く見えます。彼らの影響や、自身の建築や演劇の経験、音楽への親しみ、文字への興味や詩人としての制作など、多様な要素が独自の画風を展開しています。見た目の構図は軽やかですが、描かれたものに表される重層な背景が、それはネーベルの人となりとも言えるかもしれませんが、人々が共感する豊かな作品を生み出しているように思えます。

オットー・ネーベル 《コン・テネレッツァ(優しく)》1939年、
テンペラ・紙、オットー・ネーベル財団

オットー・ネーベル 《叙情的な答え》1940年、テンペラ・紙、
オットー・ネーベル財団

一見して印刷物ではクレーを思わせますが、実際に見るとずっと緻密で複雑です。クレーの作品が線と色彩の面で構成されているのに対して、ネーベルの場合は無数の点や細かい線でできていて、色と形が積み上げられています。クレーもネーベルもマチエールを大切にしていますが、支持体と画面が一体になっているクレーに対し、ネーベルの筆は何層にも重ねられていたり、油彩の表面が盛り上がっていたり、膨らんでいたりします。絵の具もつややかで、まるで先週完成した作品のようです。メモやスケッチからとても几帳面な人であるのがわかりますが、クレーの孫であるアレクサンダー・クレー氏によると作品の中にある何千という点の数を言えたほどだそうです。

オットー・ネーベル 《聖母の月とともに》1931年、グアッシュ・紙、ベルン美術館

緻密な技法とは別に、第二次世界大戦前に旅したイタリアに3ヶ月滞在した際に制作した『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』を始め、後に船でイタリア―ドゥブロヴニク―イスタンブール―黒海への旅行で制作された〈近東シリーズ〉の作品群、また北斎漫画を思わせる《11人の子どもたちが「日本」ごっこ》など、海外からインスパイアされた作品も多く、新しいものもどん欲に作品に取り入れ、展開していったことがうかがえます。

オットー・ネーベル 《ナポリ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、
1931年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団

オットー・ネーベル 《ポンペイ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、
1931年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団

1973年まで存命であったにも関わらず、日本で知られていないのは、やはり同時代に活躍したマルク・シャガール、パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキーに隠れてしまったのでしょう。会場にはこれらの作家の作品も数多く展示されていますので、この時代の作品を合わせて見るとともに、その中でのネーベルの創作活動を展観することで、20世紀美術の豊かな流れを確認することができます。

オットー・ネーベル 《アスコーナ・ロンコ》1927年、
水彩、グアッシュ・紙、厚紙に貼付、ベルン美術館

2018年4月28日(土)~6月24日(日) 京都文化博物館へ巡回します。

In cooperation with Otto Nebel Foundation, Bern

展覧会ホームページ

ネーベルの肖像写真 1937年 (オットー・ネーベル財団提供)

開始日2017/10/7
終了日2017/12/17
エリア東京都
時間10:00-18:00、毎週金・土曜日は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休日10/17(火)、11/14(火)
その他備考一般 ¥1,500、大学・高校生 ¥1,000、中学・小学生 ¥700
開催場所Bunkamura ザ・ミュージアム
アクセス〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
・JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分
・東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分
・東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」3a出口より徒歩5分
http://www.bunkamura.co.jp/access/