六本木開館10周年記念展 天下を治めた絵師 狩野元信

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重要文化財 四季花鳥図 狩野元信筆 八幅のうち一幅
室町時代 16世紀 京都・大仙院(展示期間:10/18~11/5)

日本画にくわしくなくても狩野派の名前は知られています。室町時代より約400年にわたり「天下画工の長」として画壇の頂点に君臨した「狩野家」を核とする絵師の専門家集団です。狩野派が日本絵画史上最大の画派へと成長した理由のひとつは、始祖・正信(1434-1530)、その息子・元信(1477?-1559)、元信の孫・永徳(1543-1590)、永徳の孫・探幽(1602-1674)と血縁関係でつながった天才絵師が相次いで登場したことにあります。本展は卓越した画技を持ち、工房の主宰者としても優れた能力を発揮し、それ以後の狩野派の礎を築いた元信にスポットライトをあてます。

もともと足利将軍家とは縁のなかったものの、始祖の正信が50歳で初めて御用絵師となって以来、二代目の元信が歴代の狩野派絵師の中で最も高く評価される卓越した画力を持っていたこと、そして物事を俯瞰的かつ冷静にとらえ、自身が率いる工房の経営について優れた能力を発揮したことによって、狩野派の大躍進は始まります。

重要文化財 瀟湘八景図 
狩野元信筆 四幅
室町時代 16世紀
京都・東海庵
(展示期間:10/4~10/16)

展示されている正信と元信の山水図は、どちらのものか区別がつきません。元信は父から絵師としての英才教育を受け、早いうちから技巧上の成長を遂げていたのでしょう。正信は中国絵画を規範とする漢画系の絵師でしたが、元信はその後半生には日本の伝統的なやまと絵の分野にも乗り出します。濃彩の絵巻や、金屛風の伝統を引き継ぐ金碧画(きんぺきが)など、形状・技法の導入に加えて、風俗画や歌仙絵など、やまと絵の画題にも積極的に挑戦しました。

重要文化財 酒伝童子絵巻 画/狩野元信 詞書/近衛尚通・定法寺公助・青蓮院尊鎮
三巻のうち巻三(部分)室町時代 大永2年(1522) サントリー美術館
(全期間展示、ただし展示替あり)

とくに、それまでやまと絵系の絵師や町絵師が主導していた扇絵制作には熱心に取り組んでいます。元信は扇絵制作について土佐派作品を学習したと考えられ、土佐光信の娘を妻にしたとも伝えられています。不特定多数に販売できる扇は工房の経営を支える柱となりました。

京都市指定有形文化財 月次風俗図扇面流し屛風 「元信」印 六曲一隻
室町時代 16世紀 京都・光圓寺(展示期間:10/11~11/5)

狩野派が組織として大きく発展を遂げた背景には「画体(がたい)」の確立があります。従来の漢画系の絵師たちは、中国絵画の名家(めいか)による手本に倣った「筆様(ひつよう)」を巧みに使い分けましたが、元信はそれを再構成して、緻密な構図と描線による真体、最も崩した描写である草体、とその中間にあたる行体の、真・行・草(しん・ぎょう・そう)の三種の「画体」を生み出します。そして、元信の血族や門弟たちにこの「型」を学ばせることで、元信スタイルで描くことのできる絵師が複数生まれ、集団的な作画活動を可能にしました。襖や屛風などの制作時には弟子たちが元信の手足となって動き、様式として揺るぎ無い、質の高い大画面作品を完成させました。

重要文化財 禅宗祖師図 狩野元信筆 六幅
室町時代 16世紀 東京国立博物館 Image:TNM Image Archives
(展示期間:9/16~10/23、ただし展示替あり)

和漢の両分野で力を発揮し、襖や屛風などの大画面から絵巻や扇絵といった小画面にいたるまで、多様な注文に素早く対応することで、元信工房は多くのパトロンを獲得していきました。

元信本人の作と認められる現存作例は多くはないようですが、元信が学んだ先人たちや、元信の組織による作品も展示されていて、元信が生きた時代の状況をとらえることができます。自ら他の追随を許さないほどの卓越した画技を持ちつつも、レパートリーを広げ、和漢融合を打ち出すアイディアマンでもあり、「画体」という一種のマニュアル化によって制作・供給体制を整えることで、顧客層を拡大した優れた経営者でもあります。傍流にすぎなかった画派を中央へと押し上げ、以後幕末までの400年間、幕府御用絵師として画壇の覇者の地位を保ちつづけ、そのブランド力は今日も輝いています。

重要文化財 四季花鳥図 狩野元信筆 八幅のうち四幅 室町時代 16世紀
京都・大仙院(展示期間:9/16~10/2、10/18~11/5、ただし展示替あり)

展覧会ホームページ

開始日2017/9/16
終了日2017/11/05
エリア東京都
時間10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)
※金・土、および9月17日(日)、10月8日(日)、11月2日(木)は20時まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
※shop×cafeは会期中無休
休日火曜日(10月31日は開館)
その他備考入館料:一般 ¥1,300、 大学・高校生¥1,000
※中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの方は、ご本人と介護の方1名様のみ無料
◇100円割引
・ホームページ限定割引券提示
・携帯/スマートフォンサイトの割引券画面提示
・あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケット提示
開催場所サントリー美術館
アクセス東京ミッドタウン ガレリア3F
都営地下鉄大江戸線 六本木駅出口8より直結
東京メトロ日比谷線 六本木駅より地下通路にて直結
東京メトロ千代田線 乃木坂駅出口3より徒歩約3分
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