奥能登国際芸術祭 2017 Oku-Noto Triennale|SUZU 2017

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能登半島の最奥、石川県珠洲市で初めてとなる「奥能登国際芸術祭 2017」が、11の国と地域から39組のアーティストが参加し、10月22日まで開催されている。

「さいはて」と言える。輪島や氷見などよりずっと先、日本海に大きく突き出た能登半島の、さきっちょである。県庁所在地である金沢からでも特急バスで2時間半かかる。珠洲市を知る人はどれだけいるだろう。人口は1.7万人。同じ能登半島にある輪島市は3.153万人、七尾市の5.82万人と比べても少なく、本州で最小の市である。

その地で、国内外の第一線で活躍する39組ものアーティストが、市内全域に豊かな感性による独自の作品を展開している。その作品は、土地の文化や特徴、生活や歴史、人々の魅力などに気づかせてくれる。

秋祭りのキャラゲ

例えば、ベネチア・ビエンナーレの金獅子賞(グランプリ)を受賞しているドイツのトビアス・レーベルガーは、草むらの中にカラフルなフレームが、小さい方から徐々に大きくなるにつれて色も変化してゆく作品である。小道から作品の中に入り蛇行したフレームの中にある望遠鏡を覗くと、彼方に設置されたメッセージを読むことができる。戻って小道を渡るとそこには突如線路が現れ、フレームはこの線路に向かって開かれていたことに気づく。振り返れば、濃い草むらの彼方に古い車両が見える。平成17年に廃線となったのと鉄道で、望遠鏡からみたメッセージは終点の蛸島駅に立てられている。過去の残骸である線路に立ち、作品タイトルにもなっているメッセージの意味を考える。

ドイツを拠点に、ベネチア・ビエンナーレの日本館をはじめ多数の国際展に出展している塩田千春の作品は、外浦にある旧清水保育所にある。部屋の中央に砂を載せた船が密集した無数の赤い糸で絡められている。海と山が接近して原料が豊富な能登は瀬戸内海とともに塩の産地で、なかでも最大産地であった珠洲では、人力で海水を汲み上げる「揚げ浜式」という古い製塩法が守られている。実際に使われていたという砂取り船と空間に隙間無く絡んだ赤い糸は、塩が貴重であった頃や保育所に子供が遊んだ頃を重ね、時の記憶をよみがえらせようという試みだろうか。市内の小中学校では、作家の名前にもちなみ、給食に地元の塩を使ったメニューが出されたそうだ。なんと素敵なことだろう。

塩田千春《時を運ぶ船》

インドのニューデリーを拠点に活動する3人ユニットのラックス・メディア・コレクティブの作品は、田園風景のなかの旧上戸駅にある。駅舎を実物サイズで枠組のみ構築し、駅舎の上に傾いて置かれているのは、まるで駅舎のスカルのようである。夜になると駅舎にはぼんやりとあかりが灯り、フレームが青白く光って暗闇に浮かびあがる。人々が駅に行き交ったころの亡霊を思わせる。

ラックス・メディア・コレクティブ《うつしみ》

ひびのこづえ《WONDER WATER》(写真: 石川直樹)

今「さいはて」の地は、かつては最先端の地であったと思う。位置を思えば大陸から日本に渡る人が上陸する場所のうちの一つであったろうし、近世では北前船の航路上にある。

美しい自然景観、つややかな黒瓦と板壁の家が軒を連ね、往時の繁栄を示す街並。「さいはて」と言われる一見寒く厳しそうな土地は、今はインフラが整い、受け継がれるDNAなのかおだやかな人々がいる。

2日あれば全ての作品を見学しつつ、「さいはて」の地を体感できる。道の駅すずなりからツアーバス「すずバス」が地元ガイドさん付きで4方向に運行され、午前便と午後便があるので、2日間でコンプできるようになっている。道路がよくサインも親切なので、運転して回ることもおすすめできる。石川県、富山県でレンタカーする場合は宿泊費が補助される制度もうれしい。

外浦の奇岩(ゴジラ岩)

<参加作家>

浅葉克己  KATSUMI ASABA
アテル・アフテスメッド  ADEL ABDESSEMED
麻生祥子  SHOKO ASO
アローラ&カルサディージャ  Allora & Calzadilla
EAT&ART TARO
石川直樹  NAOKI ISHIKAWA
井上唯  YUI INOUE
岩崎貴宏  TAKAHIRO IWASAKI
ONGOING COLLECTIVE
鬼太鼓座  ONDEKOZA
角文平  BUNPEI KADO
金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム [スズプロ]
KANAZAWA COLLEGE OF ART “ART PROJECT TEAM [SUZU-PRO]“
エコ・ヌクロホ  EKO NUGUROHO
河口龍夫  TATSUO KAWAGUCHI
キシマ真紀  MAKI KIJIMA
キム・ ホンソック  GIM HONGSOK
鴻池朋子  TOMOKO KONOIKE
小山真徳  MASAYOSHI KOYAMA
アレクサンドル・コンスタンチーノフ  ALEKSANDER KONSTANTINOV
坂巻正美  MASAMI SAKAMAKI
さわひらき  HIRAKI SAWA
ウー・ジーツォン+チェン・シューチャン  Wu Chi-Tsung + Chen Shu-Chiang
塩田千春  CHIHARU SHIOTA
竹川大介  DAISUKE TAKEKAWA
田中信行  NOBUYUKI TANAKA
トヒアス・レーヘルガー  TOBIAS REHBERGER
中瀬康志  KOJI NAKASE
南条嘉毅  YOSHITAKA NANJO
Noto Aburi Project
バスラマ・コレクティブ  Basurama-collective
ひひのこづえ  KODUE HIBINO
深澤孝史  TAKAFUMI FUKASAWA
眞壁陸二  RIKUJI MAKABE
村尾かずこ  KAZUKO MURAO
よしだぎょうこ+KINOURA MEETING
吉野央子  OHJI YOSHINO
ラックス・メディア・コレクティブ  Raqs Media Collective
リュウ・ジャンファ  JIANHUA LIU
力五山  RIKIGOSAN

海の向こうに妙高連山が見える

奥 能登国際芸術祭 2017 ホームページ

Oku-Noto Triennale 2017 Homepage

開始日2017/9/3
終了日2017/10/22
エリア石川県
時間9:30-17:00 (イベント、屋外展示を除く)
休日会期中無休
その他備考パスポート:一般 ¥2,500、高校生¥1,000、小中学生¥500、詳しくは
http://oku-noto.jp/ticket/
http://oku-noto.jp/en/ticket/
開催場所石川県珠洲市全域
アクセスhttp://oku-noto.jp/access/
http://oku-noto.jp/en/access/