生誕120年 東郷青児展 抒情と美のひみつ The 120th Anniversary of the Birth of Seiji Togo A Retrospective of Togo’s Depiction of Women

《サルタンバンク》

《サルタンバンク》 1926年 油彩・キャンヴァス 114.0×72.5cm
東京国立近代美術館

19才のイケメンに東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で会える!「生誕120年 東郷青児展」で19才の時に撮られた東郷青児の写真を見て驚いた。若き時の美輪明宏に負けていない。これはいろいろあったのではと作品を見る前に余計な事を思ってしまった。

独特な美人画であまねく知られている東郷青児(1897-1978)の全貌を紹介する展覧会である。活動時期に合わせて第1章から第4章までに分け、社会的背景や藤田嗣治との競作とともに画風の変遷を追う。

第1章「内的生の燃焼」では、冒頭にある《サルタンバンク》のほか、18才で画壇デビュー、二科展での受賞、フランス滞在時におけるピカソとの交流時などの作品が紹介されている。美人画の前はかなり前衛的で、幾何学的な構成と抒情性を統合した画風だった。

《パラソルさせる女》 1916年  油彩・キャンヴァス  66.1×81.2cm
一般財団法人 陽山美術館

《コントラバスを弾く》 1915年 油彩・キャンヴァス  153.0×75.4cm
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

7年間滞在したフランスから1928(昭和3)年に帰国した東郷は、震災から復興する東京を彩るモダニズム文化に受け入れられたと始まる第2章「恋とモダニズム」では、メランコリックで洗練された油彩画と、シンプルで洒落た装丁や挿絵、室内装飾や舞台装置などデザインの仕事が紹介されている。

《超現実派の散歩》 1929年 油彩・キャンヴァス 64.0×48.2cm
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

このブルーの夜空が不思議で美しい。また川端康成や宇野千代との交流を示す資料が盛り沢山あって目を引く。

《手術室》  1930年   油彩・キャンヴァス  194.0×112.0cm  大分県立美術館

《山の幸》 1936年   油彩・キャンヴァス  173.0×173.8cm     
シェラトン都ホテル大阪

藤田嗣治の《海の幸》と東郷の《山の幸》を見比べることができるのは幸せである。藤田嗣治と東郷青児が競作して
いたとはこの展覧会で知り興味深く見た。

第3章は「泰西名画と美人画」でこの章から東郷の戦前の繊細、可憐な少女の小品や気品のある美人画が連なる。

《紫》 1939年 油彩・キャンヴァス 129.6×79.7cm
損保ジャパン日本興亜

第4章「復興の華」からは終戦直後からの二科展再開、同時に復興期の装飾壁画の第一線に立つなど、東郷の活躍を示す作品が展示されている。華やかで優美な「東郷様式」の確立である。

《バレリーナ》 1957年 油彩・キャンヴァス 161.0×128.9cm
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館

《平和と団結》 1952年 油彩・キャンヴァス 99.0×79.0cm  
朝日新聞社

《裸婦》 1952年 モザイクタイル絵 164.0×121.0cm
INAX ライブミュージアム(PART OF LIXIL)

東郷作品の特徴をまとめると、
・日本最初期の前衛的絵画群
1916年(大正5年)、キュビズムや未来派を取り入れ、大胆な絵筆で二科展デビューした作《パラソルさせる女》やパリでの重厚な代表作《サルタンバンク》
・フランス仕込みのしゃれたデザイン
アール・デコの全盛期でのフランスで仕込まれたセンスを活かした装丁本、雑誌の表紙絵、舞台装置の写真などの昭和モダン文化を彩ったデザインの仕事
・芸術家たちの華やかな人間関係
山田耕筰、有島生馬、古賀春江、宇野千代、川端康成、藤田嗣治などの著名芸術家たちとの交流

といえる。「東郷様式」とは、評論家・植村鷹千代によると、戦後に広く知られた東郷のスタイルで、
(1)誰にでも判る大衆性、(2)モダーンでロマンチックで優美、華麗な感情と詩情、(3)油絵の表現技術にみられる職人的な完璧さと装飾性
(『回顧 東郷青児展』東郷青児美術館1979年)の3点になる。

美人画を探求するにも、東郷の優美な作は自身が美しく華やかであることによって到達した画風であるように思う。優美、耽美、抒情、と日頃の生活では接しない情感に浸って幸せな時間を紡げる機会である。

展覧会ホームページ

美術館ホームページ

《バイオレット》 1952年 油彩・キャンヴァス 108.4×80.0cm
損保ジャパン日本興亜

開始日2017/09/16
終了日2017/11/12
エリア東京都
時間午前10時から午後6時まで(入館は午後5時半まで)
休日月曜日休館(ただし10月9日は開館、翌火曜日も開館)
その他備考一般1200円、大学・高校生800円、65才以上1000円、中学生以下無料
開催場所東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
アクセス〒160‐8338 東京都新宿区西新宿1-26-1 
損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
http://www.sjnk-museum.org/access