〜かおりを飾る~ 珠玉の香合・香炉展

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重要文化財 野々村仁清作 「色絵法螺貝香炉」御室窯 江戸時代(17世紀)

香炉、香合の名品が世田谷にある静嘉堂文庫美術館に勢揃いして優雅な世界を醸し出している。6月17日(土)から8月13日(日)までの展覧で静嘉堂所蔵の漆芸香合、陶磁香合から74件、香炉は中国・南宋官窯の青磁香炉、野々村仁清の重要文化財「色絵法螺貝香炉」などの香道具もあわせて28件、総数106件を公開している。また国宝「曜変天目(「稲葉天目」)」もこの展覧会期間中公開され、その美しい天目茶碗の青い曜変を間近に見ることができる。

中国では紀元前よりすでに行われていたとされる“香を焚(た)く文化”は、日本には仏教の伝来とともに6世紀に始まり、それから1400年を経ている。推古天皇の時に淡路島に沈香が漂着したのが始まりらしい。最初は香は仏に供えるために焚かれ、空気を浄化するためのものが、しだいにその香り自体を楽しむものに広がり、部屋や衣服に焚く「空薫(そらだき)」、静かに香りと向き合う「聞香(もんこう)」など貴族文化を彩り、香道として大成していく。

香は大きく分けると、様々な香薬を練り合わせた「練香」と天然の「香木」とがある。

ここからは『これは押し!』という名品の紹介をしていこう。

「青磁香炉」 中国・南宋官窯 南宋時代(12~13世紀)
高13.6cm、径17.6cm

この作品は文献にも名高い「修内司官窯」の作である可能性大で、青磁釉が数回厚くかけられ、それが焼成後の冷却とともに幾重にもヒビ(貫入)が入って完成した姿は、まさしく人と炎が作り上げた「玉」である。じっくり深淵の美を鑑賞してみよう。

「菊蒔絵阿古陀形香炉」 室町時代(15~16世紀)
総高11.7cm、径18.7cm、底径17.8cm

阿古陀とはカボチャのことで、安定感のある六花の裾張りの姿がかわいらしい。別名「火取(母)」(ひとりも)といい、その用途が、火のおこった炭団(たどん)をこの香炉の中の灰に仕込み運んでくることによるとのこと。

重要文化財 野々村仁清作 「色絵法螺貝香炉」御室窯 江戸時代(17世紀)
総高13.2cm、長30.5cm、幅17.7cm

冒頭の「色絵法螺貝香炉」は必見。野々村仁清は轆轤の技のみでなく、具象的な造形制作の才能も発揮しているが、これがその一つで、五色の糸を貝に巻き付けたかのような彩色のうえに金彩を加えて数度低火度で焼き付け、驚くほどの極彩色の法螺貝香炉になっている。実物をみるとその鮮やかな色には驚嘆する。そして想像以上に大きい。

野々村仁清作 「銹絵白鷺香炉」御室羊江戸時代(17世紀)
総高37.7cm、底径10.3cmx12.9cm

形がなんだか可愛い。鷺の伸びやかな嘴と頸、羽根のまろやかな白さが優美である。ぐるりと回ってどの角度からも見てほしい。

「吉野山蒔絵十種香道具」江戸時代(18世紀)
総箱:高17.9cm、横24.7cm

うっとりと眺め時間が過ぎていくのを忘れる品々。「組香」とはいくつかのお香を聞いて、その香りが何か、あるいは他の香りとの区別をあてる遊びだが、この婚礼調度品は十種の組香を催すために整えられた香道具である。まばゆいばかりの金地に金・銀の高蒔絵、金属の薄板を貼付けた金貝技法で、桜花満開の吉野山の景を表している。

「堆朱雲龍文大香合」「大明宣徳年製」銘 中国・明時代・宣徳(1426~35)年間
総高9.7cm、径32.2cm

これは日本伝来の堆朱の合子(ごうす)として貴重で、銘に刻まれているように、明時代、宣徳年間の作で「大香合」として大徳寺塔頭・高桐院に伝わったものである。蓋表と側面に宝珠に戯れる五爪龍と側面の八龍とあわせ「九龍」で中国皇帝を表象する意匠になっている。

「交趾狸香合」中国・漳州窯(田坑窯)明時代(16世紀〜17世紀前半)
総高6.1cm、径5.3m

つい見てほほえんでしまう愛らしい狸の香合。「交趾」とはベトナム北部の古名で、その地域から来る「交趾船」で運ばれたものとの認識だったが、後に産地が中国と判明している。収納する箱や袋物も可愛らしく、持ち主の愛情が伝わる。

「古染付荘子香合」中国・景徳鎮窯 明時代(17世紀前半)
総高3.4cm、蓋径4.6cm

手に取って眺めたくなる小さい香合。白地に青い蝶一頭を浮文様で表した清楚な香合で、「荘子」の名前は中国の思想家荘子が蝶になった夢「胡蝶の夢」からきている。

「形物香合相撲」江戸時代・安政2年(1855)刊

江戸の人々は番付が大好きだったようで、香合にも番付があった。この中に静嘉堂文庫所蔵の香合が35種も入っているのは驚きである。

一品一品が見やすく、ライティングに工夫がある気がする。特に曜変天目茶碗は美しさがどの角度から見てもよくわかる。是非足を運んでみてほしい。

美術館ホームページ

開始日2017/06/17
終了日2017/08/13
エリア東京都
時間10:00~16:30(入館は16:00まで)
7/1(土)~8/13(日)開館時間を延長いたします。10:00~17:00(入館は16:30まで)
休日休館日:月曜日(7月17日は開館)、7月18日(火)
その他備考入館料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料
開催場所静嘉堂文庫美術館
アクセス〒157‐0076 東京都世田谷区岡本2-23-1
・二子玉川駅から
二子玉川駅バスターミナル4番のりばから東急コーチバス「玉31・32系統」 「静嘉堂文庫」下車(所要時間は通常8~10分。運行本数1時間に約3本)。 案内標識に沿って徒歩約5分。
・成城学園前駅から
小田急線成城学園前駅下車、南口バスのりばから二子玉川駅行きバスにて「吉沢」下車。 大蔵通りを北東方向に徒歩約10分。
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