第11回 shiseido art egg 展

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これからの活躍が期待される新進アーティストが公募によって選出され、資生堂ギャラリーで個展の機会を得るという企画も11回目となりました。まだ発表の場が限定的なものの、力のある作家と作品が選ばれ、毎年楽しみな展示となっています。

今年は279件の応募から、吉田志穂(よしだしほ)さん、沖潤子(おきじゅんこ)さん、菅亮平(かんりょうへい)さんが入選されました。おめでとうございます!

トップバッターは写真の吉田志穂さん(2017年6月2日~6月25日)です。階段を下りて行くと、このギャラリー特有の、作品世界へのプロローグとなっている踊り場で、壁の角にスライドがいびつな四角で映し出されています。山を背景にした風景や、道がくねくねした雪の季節の航空写真や、クジラのような巨大な生き物がはみでている写真など、人がいない、どれも少しボケたモノクロ写真であるという以外に、特に共通性や関連性を見つけられないまま、きっちり定期的にスライドを送り出す乾いた音にうながされるように入り口へと進みます。

展示室内は大小の写真とこちらは四角く投影されたスライドですが、やはりどこかの土地の、人や人工物のない山の風景です。風景の一点に焦点を合わすということがなく、写っているもののエッジも取り除かれています。写真と同じように、会場全体でもどこかに重心があるというわけではなく、会場全体が穏やかな一つの諧調、一つの音、一つの風景をつくっているように思えます。

説明によると、撮影する前にネットでリサーチした撮影地の地図や画像と、実際に撮影による写真とを複合的に組み合わせているとのこと。単に複製とオリジナルの対比や差というのではなく、作家によって解釈された風景が展示されていると言えばいいでしょうか。

スライドショーといえば、トヨダヒトシさんの日常の風景が終わることなく続く作品では、観る者は作家の見ていたものを追うことで、作家の視点や心持ちを推察するのですが、吉田志穂さんの作品では、感情のない風景の写真が作家の解釈によって編集され、ドライに連続することで、写真そのものの存在と物質性を問うているようです。

(以下、資生堂ギャラリーホームページより)

■吉田志穂展 <写真>
2017年6月2日(金)~6月25日(日) 21日間

吉田志穂は、WEBやスマホによってデジタルイメージが日常の身近な存在になった現在における写真の可能性を探究します。画像検索やグーグルマップなどを利用した撮影地のリサーチを元に現地へ赴き実際に撮影するという行為を複合的に組み合わせた独自の撮影プロセスで作品を制作します。撮影地に赴いて撮影したオリジナルのイメージとWEB上のイメージをモニターから再撮したイメージを取り混ぜることで、写真を撮るという行為とプリントという写真の物質性にこだわります。撮影プロセスが生みだす複数のイメージは、ギャラリー空間の中で溶け合い、一つのイメージ世界へと変容します。今日の私たちの視線とイメージのあり方に問いを向けます。

1992 千葉県生まれ 東京在住
2014 東京工芸大学芸術学部写真学科卒業
主な活動
2014 「第11回写真1-WALL」展 グランプリ受賞
2016 個展「測量|山」Yumiko Chiba Associates

「測量|山」 2016 ラムダプリント サイズ可変

■沖潤子展 <刺繍>
2017年6月30日(金)~7月23日(日) 21日間

沖潤子は、個人的な、あるいは何らかの物語が垣間見える古布に、自己流で始めた繊細な刺繍を施します。布が経てきた時間とその記憶に沖の針目が重ね合わされることで、偶然性をも含んだオブジェが立ち現れます。布は皮膚であり、針を刺すのは記憶を留めるためという沖の創作行為は、まるで古布に新たな生を与えているように感じられます。本展では、蛹(さなぎ)をイメージとして重ね合わせた刺繍作品を中心に据え、針を題材とした作品、および映像作品も展開する予定です。人間が持つ創作活動への根源的な欲求と転生といった主題を取り上げることで、既存の刺繍や工芸といったジャンルに捉われない独自の表現を探求します。

1963 埼玉県生まれ、鎌倉市在住
セツモードセミナー卒業
2002 企画会社勤務を経たのち、自己流の刺繍を始める
主な活動
2016 金沢21世紀美術館コレクション展「NOUSぬう」参加
2017 4-5月 個展 Office Baroque(ブリュッセル)にて開催

「midnight」 (部分) 2016 絹 木綿布 絹糸 木綿糸 120 × 130 × 10cm
金沢21世紀美術館蔵

■菅亮平展 <インスタレーション>
2017年7月28日(金)~8月20日(日) 21日間

菅亮平は、今や世界各所に存在するようになった美術館やギャラリーに特有の展示スペースである「ホワイトキューブ」をモチーフとして作品を制作します。当然そこにあるものだと想定される美術作品が消し去られた空虚な空間が展示スペースの壁を越えて、際限のないイメージとして連続していきます。こうした虚構の「ホワイトキューブ」のイメージが「ホワイトキューブ」の空間を歩きまわる観者の視点によって立ち現れ、ギャラリー空間いっぱいに投影されます。巨大な「ホワイトキューブ」のイメージは、実在するギャラリー空間の中に迷路のような錯覚を出現させ、そこで美術作品を見るという我々の視覚体験を揺さぶることでしょう。

1983 愛媛県生まれ、ミュンヘン/東京在住
2016 東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻博士後期課程修了
主な活動
2013 個展「White Cube」トーキョーワンダーサイト本郷
2015 「野村美術賞」 受賞

「White Cube‐06」 2013 インクジェットプリント 100 × 150cm
東京藝術大学大学美術館蔵

展覧会ページ

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開始日2017/06/2
終了日2017/08/20
エリア東京都
時間平日 11:00~19:00 日・祝 11:00~18:00
休日毎週月曜休(祝日が月曜にあたる場合も休館)
その他備考入場無料
開催場所資生堂ギャラリー
アクセス〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
tel.03-3572-3901 fax.03-3572-3951
地下鉄銀座駅 A2出口から徒歩4分
地下鉄新橋駅 1番出口から徒歩4分
JR新橋駅 銀座口から徒歩5分
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/access/access.html