黒川古文化研究所+泉屋博古館連携企画特別展「名刀礼賛 — もののふ達の美学」

1.国宝 短刀 無銘(名物 伏見貞宗)

国宝 《短刀 無銘(名物 伏見貞宗》 鎌倉時代 黒川古文化研究所蔵

泉屋博古館(分館)では6月1日より「名刀礼賛 — もののふ達の美学」と称して、太刀、刀、刀装具等の展覧会を催している。兵庫県西宮市にある黒川古文化研究所は、東洋古書画、考古遺物だけでなく刀剣のコレクションでも有名であるが、その中から国宝・重文を含む約30口の名刀を、泉屋博古館のコレクションと合わせて展示し、東京ではほぼ初めてとなる刀剣美ワールドが展開している。

太刀、刀、脇差とはどう違うのかと素朴な疑問があったが、黒川古文化研究所発行の「刀剣」によれば、まず長さで2尺(約60㎝)以上の物を太刀や刀といい、2尺から1尺の物を脇差、1尺(約30cm)以下を短刀と言っている。 太刀と刀については、刃を下にして腰につるす形式を太刀、刃を上にして腰に差す形式を刀と呼ぶようだ。他の資料では、多少長く反りが深いのが太刀で、刀は馬上の戦いから足軽の戦いとなる上で少し短く、抜きやすいよう腰に挿す、とある。刀剣に関する用語(地肌、地文等)を説明した映像があるので、最初にそれを見ることを推奨したい。

館内入って左側の展示室は、照明を若干落とした中、左右の壁沿いにズラリと刀身が並ぶのは圧巻で、一度に魅せられてしまう。右側の展示室は刀装具が主で、しかも珍しく侍が描いた絵も展示されている。

Ⅰ 刀剣

一つ一つが美しく、その輝きは妖しいまで、と言い古された言葉で陳腐かもしれないが、本当に魅入ってしまう。

冒頭の写真の国宝「短刀 無銘(名物 伏見貞宗)」は、誰もが一度は聞いたことがある正宗の息子、貞宗の作である。この刀を入れる「黄繻子地三葉葵紋繍刀袋」も展示されているので合わせてみたい。また重要文化財「刀 無銘(伝長谷部国重)」には折紙がついている。

重要文化財《刀 無銘(伝長谷部国重)》 南北朝時代 黒川古文化研究所蔵

国宝「短刀 銘 来国俊」、重要文化財「太刀 銘 備前国長船住景光」、重要文化財「太刀 銘 国光」の他にもたくさんの重文が並んでいる。

国宝《短刀 銘 来国俊》 鎌倉時代 黒川古文化研究所蔵

二つの展示室をつなぐホールに展示されている越前康継の「刀 銘『葵紋』以南蛮鉄於武州江戸越前康継 本多飛騨守所持『立葵紋』二ツ胴落末世剣是也」の「二ツ胴落」とは、二人分重ねた死体を試し斬りして胴が二つになった業物(わざもの)、という怖い刀もある。

Ⅱ 拵えと鐔・刀装具

こちらでは武士が育んできた美意識の一端を垣間見ることになる。溜息がでるような緻密で精工な鐔や刀装具が並んでいる。

重要文化財 土屋安親「豊干禅師図鐔 銘安親」、岡本尚茂「鈍太郎図目貫 銘鉄元堂正楽」やあまりにも有名な後藤一乗の「瑞雲透鐔 銘天保六未年長月応需作之」はすごい!透かし彫りである。他にもじっくり見たい物ばかりである。

重要文化財 土屋安親 豊干禅師図鐔 江戸時代中期 黒川古文化研究所蔵

岡本尚茂 鈍太郎図目貫 江戸時代中期 黒川古文化研究所蔵

Ⅲ 絵画 - 武士が描いた絵画

絵心があった武士が沢山いたようで、ここに展示されているのは素晴らしい絵ばかりである。

本物を見なければ良さがわからないと実感できる展覧で、かの徳川綱吉が柳沢吉保に下げ与えた短刀、刀装具を見ると目の前に歴史が広がっていくようだ。ゆっくり刀剣の美を味わうのに最高である。

先着20名ではあるが館から単眼鏡の貸し出しをしているので是非試して欲しい。 刀身の美、細工の緻密さが良く見えて息をのむ。

関連イベントにつきましては泉屋博古館ホームページをご覧ください。

開始日2017/06/01
終了日2017/08/04
エリア東京都
時間10:00-17:00(入館は16:30まで)
休日会期中の月曜日(祝日開館、翌平日休館)
その他備考一般 800円、大高校生 600円、中学生以下は無料
開催場所泉屋博古館(分館)
アクセス〒106-0032
東京都港区六本木1-5-1
☎03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅下車すぐ
https://www.sen-oku.or.jp/tokyo/access.html