企画展 「はじめての古美術鑑賞 ―紙の装飾―」

【2】百人一首帖ss

百人一首帖 智仁親王筆 1帖 彩箋墨書 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

根津美術館では、昨年好評だった「はじめての古美術鑑賞―絵画の技法と表現―」に続いてシリーズの2回目「―紙の装飾―」を5月25日(木)から7月2日(日)まで開催している。

古美術、特に書は読めないということで敬遠されがちなところを、書を書くための紙―料紙の装飾にスポットを当てて展示している。8世紀から19世紀までの60点が展示され、それぞれが趣向を凝らし、その時代の技術を駆使していて、とても繊細で美しい。

さて展示品に多い「切」<読:きれ>とは断簡のこと。もともと写経や贈答用の歌集などは冊子本や巻子本の形であったが、そのほんの一部分であっても鑑賞に値するものであったために切り取られて掛物に改装されたりした。それを切と言う。切も名前があり、たとえば「八幡切」は、石清水八幡宮の滝本坊住職であった松花堂昭乗(1584~1639)のコレクションであったためにそう呼ばれる。一つ一つの切の名前だけでも興味をそそるが、とにかく料紙そのものが美しいので是非足を運んで欲しい。

料紙の装飾は1.雲母(きら) 2.染め 3.金銀 4.様々な装飾と4分野に分かれて展示されている。

1. 雲母 尾形切 伝藤原公任筆 ~絵を入れる

鉱物である白雲母はその粉末が古くから紙の装飾に用いられ「きらら」と呼ばれた。金銀に比べると輝きが弱いが、今回展では、照明器具を工夫してきららの砂子や文様、その見え隠れがわかるように展示している。

尾形切 伝藤原公任筆 1幅 彩箋墨書 日本・平安時代 12世紀 根津美術館蔵

2. 染め 紫紙金字華厳経と八幡切 伝飛鳥井雅有筆 ~2枚絵を入れる

はじめは防虫を兼ねていた染めも、装飾の為にバリエーションが増え、染料に浸ける浸染め、刷毛で塗る(引く)引染め、紙漉きの途中で色のついた繊維を漉き込む漉染め、などがある。装束の襲(かさね)の色目に通じているとのこと。こちらは奈良時代の「紫紙金字華厳経」から江戸時代の「三十六歌仙短冊貼交屏風」まで幅広い時代の作品があり、特に国宝である「無量義経」は必見。

国宝 無量義経 1巻 彩箋墨書 日本・平安時代 11世紀 根津美術館蔵

3. 金銀 百人一首帖智仁親王筆 ~絵を入れる

金銀の料紙装飾には、金や銀を薄く延ばして小さく切った箔を撒いたものと、金銀の粉を膠で溶いて絵具として使う金泥、銀泥がある。平安時代の伝光明皇后筆の「蝶鳥下絵経切」は可憐な料紙に書かれた優美な経文を光明皇后の筆に見立てたとある。また江戸時代の「勅撰集和歌屏風」(静嘉堂文庫蔵)は緑の地に金の大小様々な切箔と砂子、銀の砂子を撒き、ゆるやかな山並みと小さな丘を表し、色紙形、短冊形に残した素地をさらに箔や砂子で装飾した、とても豪華な屏風で見とれてしまう。

4. 様々な装飾  ~絵を入れる

荼毘紙(漉き込まれた檀の表紙の粉末を釈迦の骨粉とみなす所以)の「大聖武」、蝋箋の藤原定実筆「筋・通切」、墨流しの冷泉為㤗筆「相生橋図」、重ね継の「本願寺本三十六人家集」(模本)や「平家納経」(模本)など、美しいものが連なって展示されているのは圧巻である。

 

同時開催で展示室5 焼き締め陶の中の「蹲花入」、展示室6 涼一味の茶の中の「祥瑞瑠璃釉瓢型徳利」なども是非見て頂きたい。

蹲花入 信楽または伊賀 1口 無釉陶器 日本・室町〜桃山時代 16世紀 根津美術館蔵

祥瑞瑠璃釉瓢形徳利 景徳鎮窯 2口 施釉磁器 中国・明時代 17世紀 根津美術館蔵

関連イベントにつきましては展覧会ホームページをご覧ください。

根津美術館ホームページ

開始日2017/05/25
終了日2017/07/02
エリア東京都
時間開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで) 
休日毎週月曜日
その他備考一般1100円 学生800円 20名以上の団体、または障害者手帳提示者および同伴者1名は200円引き、中学生以下は無料
開催場所根津美術館
アクセス〒107-0062
東京都港区南青山6-5-1
☎03-3400-2536
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線 〈表参道〉駅下車
A5出口(階段)より徒歩8分
B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分
B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/access/index.html