エリック・カール展 The Art of Eric Carle

1_『はらぺこあおむし』_軽量化s

エリック・カール、『はらぺこあおむし』関連作品原画、制作年不詳、
エリック・カール絵本美術館 © Eric Carle

すべての子どもたちと、かつて子どもだったおとなたちに

だっこした赤ちゃんに「シカさん、シカさん、なに みているの?」と原画を見ながらお話を読んでいるお母さん、お気に入りの絵本なのか、原画に見入る小さな女の子、自分たちが親しんだ絵本に新しい発見があったのか絵について語り合う高校生のカップル、原画の一部を指して「この色はここには置けないよね」とちょっと専門的な話題の若い二人連れ、ずっと昔に子どもに読み聞かせをしたのか、なつかしそうな眼差しの高齢の女性・・・。

エリック・カール、『こぐまくん こぐまくん なに みているの?』表紙原画、2006年、
エリック・カール絵本美術館 © 2007 Eric Carle

いつもの美術館より明るめの照明の会場は、普段の展覧会ではあまり見かけない人たちが展示に見入っています。来館者の幅広い世代を見ると、どれだけエリック・カールさんの絵本が、長く、広く愛されてきたのかがわかります。誰もが幸せになる豊かな色彩とお話は、50年経っても変わらない魅力です。

エリック・カール、『とうさんは タツノオトシゴ』最終原画、2003年、
エリック・カール絵本美術館 © 2004 Eric Carle

代表作の『はらぺこあおむし』は、1969年にアメリカで出版されて以来、63の言語に翻訳され、累計発行部数は4400万部にのぼるそうです。日本では1976年からこれまでに750万部が発行され、いまも年間25万部以上が売れているそうですから、異例のロングセラーです。

エリック・カール、『はらぺこあおむし』別案原画、1984年、
エリック・カール絵本美術館 © 1969 and 1987 Eric Carle

『はらぺこあおむし』はりんごやいちご、アイスクリーム、ソーセージにカップケーキと毎日おいしいものをたくさん食べますが、その食べたあとに穴が開いています。絵本におなじみのこういう仕掛けも、『はらぺこあおむし』出版当初はアメリカではコストが高くなるため引き受ける会社がなく、英語版でありながら日本で印刷・製本されました。『パパ、お月さまとって!』には高い空に届く長ーいハシゴのために折り畳んだページがあります。

エリック・カール、『パパ、お月さまとって!』最終原画、1985年、
エリック・カール絵本美術館 © 1986 Eric Carle

エリック・カールさんのマサチューセッツ州にある美術館、The Eric Carle Museum of Picture Book Art は現在、アメリカで唯一の絵本美術館ですが、80年代に来日した際に絵本美術館があることにインスパイアされて建てた美術館です。13,000点の収蔵品があり、2002年の開館以来、750,000人の来館者を数える本格的な美術館です。また、いわむらかずおさんとの絵本の共作など、絵本を介してエリック・カールさんと日本には広く長い交流があります。

エリック・カール、『1, 2, 3 どうぶつえんへ』最終原画、1986年、
エリック・カール絵本美術館 © 1968 and 1987 Eric Carle

会場一角にカールさん自身の人生を伝えるコーナーがあります。色彩のアンリ・マティスらの影響を受け、パウル・クレーを敬愛するカールさん。ヒトラーが、ピカソやこれら芸術家たちの表現を「退廃芸術」として抑圧したことは知られていますが、現在87歳のカールさんにとってはドイツで過ごした青少年時代に当たります。芸術への抑圧や戦争の悲惨さを体験するカールさんにとっては、明るい色や幸せなお話が踊るような絵本は、暗い時代を乗り越えたからこその平和と自由のシンボルなのでしょう。

エリック・カール、『うたがみえる きこえるよ』最終原画、1972年、
エリック・カール絵本美術館 © 1973 Eric Carle

会場にはベビーカーでも入れます。また2Fの講義室を乳幼児休憩室としてご利用いただけます。お子さん連れで展覧会に行くのをためらわれていた方はぜひこの機会に!

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<エリック・カール プロフィール>
1929年、ニューヨーク州の町シラキュースでドイツ人の両親のもとに生まれる。6歳の時、家族と共にドイツに移住。16歳でシュトゥットガルト州立芸術アカデミーに入学し、グラフィック・デザインを学ぶ。卒業後、ポスターを手がけるなどドイツでの活動を経て、1952年にニューヨークに渡り、レオ・レオニとの出会いをきっかけに、ニューヨーク・タイムズのグラフィック・デザイナーとして働き始める。フリーランスのグラフィック・デザイナーとして働いていたとき、ビル・マーチンの子ども向けテキスト用に挿絵を頼まれたことがきっかけで、絵本作家の道を歩み始める。

展覧会WEBサイト

美術館ホームページ

エリック・カール、『どこへいくの? To See My Friend !』最終原画、2000年、
エリック・カール絵本美術館 © 2001 Eric Carle


開始日2017/04/22
終了日2017/07/02
エリア東京都
時間午前10時~午後6時 入場は午後5時30分まで
休日毎週月曜日休館
その他備考一般 1,200円、65歳以上 1,000円、大高生 800円、中小生 500円 ※価格はいずれも税込。
※未就学児は無料。団体は20名以上で200円引き。
※障害者の方は500円。ただし小・中・高・大学生の障害者は無料、介助者(当該障害者1名につき1名)は無料。
※リピーター割引:会期中、本展有料チケットの半券をご提示いただくと、2回目以降は200円引きにてご覧いただけます。
開催場所世田谷美術館
アクセス〒157-0075 東京都世田谷区砧公園1-2
東急田園都市線「用賀」駅、美術館行バス「美術館」下車 徒歩3分、または「用賀」駅より徒歩17分。くわしくは美術館ホームページをご覧ください。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/mguide/access.html