挿絵本の楽しみ ~響き合う文字と絵の世界〜 A fantastic world of illustrations. Enjoy a blissful harmony between letters and pictures!

170310_Seikado_PressRelease

『本草図譜』[桃] 岩崎灌園撰 江戸時代・天保15年(弘化元年・1844)頃写 静嘉堂文庫蔵

***日本で作られた最初の本格的な彩色植物図譜です。本草学者である著者
自ら観察した植物約2,000種を忠実に写生したもの。20年余りの歳月をかけて
完成しました。園芸種や外国産の植物も掲載されています。丁寧で詳しい
解説付き。完成品は多くの大名家に納められました。(美術館HPより)

閑静な場所にある静嘉堂文庫美術館で4月15日から展覧されている挿絵本の世界が面白い。

人に物を伝えるために文字が生まれたが、さすがにそれだけでは中々伝えたい事象が解らないので挿絵が生まれたのであろう。絵があることで容易に理解し、判断の補助になったりしたであろうことは現在も同じである。経であれ、学術書であれ、図鑑であれ挿絵があることで簡単に解り理解できることがこの展覧で頷ける。

もともと文庫美術館なので豊富な本がある中、本邦初公開の「妙法蓮華経変相図」や辞書参考書の挿絵本は興味深い。

5つの分野で、いかに挿絵が有効で、よく使われたかがわかる展示となっている。

Ⅰ 神仏をめぐる挿絵
Ⅱ.辞書・参考書をめぐる挿絵
Ⅲ.解説する挿絵
Ⅳ.記録する挿絵
Ⅴ.物語る挿絵

Ⅰ 神仏をめぐる挿絵

本邦初公開の「妙法蓮華経変相図」中国南宋時代前期(12世紀)には法華経を楽しくわかりやすく絵解きをしている。ドラマティックな場面、比喩もたくさんある。

『妙法蓮華経変相図』 中国・[南宋時代前期(12世紀)]写 静嘉堂文庫蔵

Ⅱ 辞書・参考書をめぐる挿絵

中国の科挙は過酷な試験のため、様々な参考書が作成されたことをこの展覧で知った。「纂図互註礼記」は儒教の経典の一つで、礼に関するものだが、礼装や帯がどうとか、こういうものは挿絵がなければ理解するのは難しいだろう。

『纂図互註礼記』 中国・漢鄭玄注  唐陸徳明釈文 南宋時代(12世紀前半~13世紀後半)刊
静嘉堂文庫蔵

Ⅲ 解説する挿絵

「程氏墨苑」製墨師である程大約がデザインした墨の図柄のカタログには「竹林七賢」などが挿絵として載っている。そしてこれらのデザインが施された墨の一部は現存している。その見事さに、これは墨をするにはもったいなくて使えない、という感じでこのままで現代まで残されてきたのではないだろうか。

また、からくり人形の仕組みが書いてある「機功図彙」は精巧に書かれていて、今の工学科の大学生はこれを読めばからくり人形が作れるとのことである。

『程氏墨苑』 中国・程大約撰 明時代・万暦34年(1606)刊 静嘉堂文庫蔵

『機巧図彙』 細川頼直撰 江戸時代・寛政8年(1796)刊 静嘉堂文庫蔵

Ⅳ 記録する挿絵

「環海異聞」は江戸時代の漂流記で、いわゆる異人たちの装いをも詳しく書いてあり、世界を知る手がかりとしたであろう。

『環海異聞』 大槻玄沢編 江戸時代後期(19世紀)写 静嘉堂文庫蔵

***寛政5年(1793)、米と木材を積んで石巻から江戸に向かった船が難破し、
アリューシャン列島に漂着。乗組員4名がロシアから帰国したのは、11年後の文化
元年(1804)でした。本書はその記録です。彼らを送って長崎に来たロシア使節
レザーノフが日本に通商を求め、幕府は拒絶しましたが、この一件を契機に、
幕府の北方への関心が急速に強まりました。(美術館HPより)

Ⅴ 物語る挿絵

「羅生門」やら源氏物語はしばしば目にしたことがあるのではないだろうか。なじみがある場面がでてきてその文を読むと納得がいく。

『羅生門』(奈良絵本) 江戸時代前期(17世紀)写 静嘉堂文庫蔵

他に重要文化財の渡辺崋山筆『芸妓図』は、実際に崋山の想い人である芸妓を描き、しかも文には「簪をはずし化粧もせず豪華な着物もまとわないその姿は雨に濡れた蓮の蕾のようだ」とべたぼれ状態を呈している、それが少し笑える。

展覧されている印籠には挿絵本が描かれていたり、入口の浮世絵新版錦絵当世美人合の杜若きどりには、‘’コマ絵‘’と称する、小さな絵なり文なりで書かれた当人のつぶやきやセリフめいたものが書かれているのが興味深い。一コマとか、コマ送りとかはここからきてるのだろうか。

<関連イベント情報>
詳細および最新情報につきましては美術館ホームページをご覧ください。

▼講演会 中国挿絵本の世界
日時:2017年5月13日(土)午後1時30分より
講師:小林 宏光氏(上智大学名誉教授)

▼館長のおしゃべりトーク 渡辺崋山と「芸妓図」-その魅力を読み解く-
日時:2017年4月29日(土・祝)午後1時30分より
講師:河野元昭(静嘉堂文庫美術館長)

※ どちらも地下講堂にて先着120名(当日、午後12時30分より整理券配布。整理券はお1人様につき1枚)
※ 午後1時15分開場、整理券の番号順に入場。

▼列品解説
展示内容・作品について担当司書による解説(展示会場にて)
午後2時から  4月20日(木)・5月25日(木)
午前11時から  5月6日(土)・5月20日(土)

美術館ホームページ


開始日2017/04/15
終了日2017/05/28
エリア東京都
時間10:00~16:30
休日毎週月曜日
その他備考入館料:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料
開催場所静嘉堂文庫美術館
アクセス〒157-0076
東京都世田谷区岡本2-23-1
TEL.03-5777-8600 (ハローダイヤル)
東急田園都市線二子玉川駅より
●バス
・二子玉川駅から
二子玉川駅バスターミナル4番のりばから東急コーチバス「玉31・32系統」 「静嘉堂文庫」下車(所要時間は通常8~10分。運行本数1時間に約3本)。 案内標識に沿って徒歩約5分。
・成城学園前駅から
小田急線成城学園前駅下車、南口バスのりばから二子玉川駅行きバスにて「吉沢」下車。大蔵通りを北東方向に徒歩約10分。
●タクシー
・二子玉川駅から美術館入口前まで約10分、料金は約800円。
・成城学園前駅から美術館入口まで約20分、料金は約1,250円。
http://www.seikado.or.jp/guide/access.html