茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術 THE COSMOS IN A TEA BOWL : TRANSMITTING A SECRET ART ACROSS GENERATIONS OF THE RAKU FAMILY

① 初代 長次郎 銘 大黒(おおぐろ)s

初代 長次郎 黒樂茶碗 銘 大黒 重要文化財 桃山時代(十六世紀) 個人蔵

まず思ったのは「次はお茶碗!?」。みなさんも、伝統バリバリの、限られた人のみが賞玩するお茶碗を、なぜ近現代の美術館で展示するのか、と思われたのではないでしょうか。

その答えは見れば納得できるだろうと思います。感じることは観る人それぞれだと思いますが、お茶碗も彫刻と同じ造形芸術だと思いました。特に樂焼は、轆轤や電気を使わず、一点一点手捏ね、小さな焼窯で一点ごと備長炭で焼成するという特異な手法で作られます。初めて見た本物の長次郎は想像していたよりずっと小振りで、すっぽり手の中に収まり温かみが残っていそうです。あまたの歴史上の人物の手を渡ったイメージと違って、素朴で威張らない印象でした。利休の時代、樂焼という名はまだなく「今焼」と呼ばれていたそうです。今焼かれたお茶碗、当時の最先端の造形、ということでしょう。

一子相伝と言うので、親から代を継ぐ一人の子にのみ技が伝えられているのかと思っていましたが、ご当代の樂吉左衞門氏によれば「何も教えない」のだそうです。継承されるのは、伝統と変わらない手法であって、歴代がその時代に、その時代の、当代独自の世界の「今焼」を作ろうとしていたことが、それぞれの作品に表れています。

三代 道入 黒樂茶碗 銘 青山 重要文化財 江戸時代(十七世紀) 樂美術館蔵

利休が愛した長次郎から現在の吉左衞門氏まで15代、それぞれの「今」に挑戦しつつも450年間一貫して続くものがあるというのは類がなく、それが樂焼であり樂家なのでしょう。

樂吉左衞門氏が「私が生きている間にこれほどの展覧会はもうできない」と言われるほど、重要文化財を含む名碗が並びます。国立近代美術館ならではの、世界的な名画もお茶碗も、本物をナマでみることのできる貴重な機会であることは同じです。

これまで勝手に想像していたことを、正しく知ることができる展覧会でした。イヤホンガイドにはご当代の吉左衞門氏も、初代・長次郎や利休について、また自身の制作について語られています。やわらかな声で、引き受けた伝統の重みを感じさせない、やさしい語り口が素敵です。

十四代 覚入 赤樂茶碗 銘 杉木立 昭和47年(1972) 個人蔵

<樂焼とは>
樂焼は、織田信長、豊臣秀吉によって天下統一が図られた安土桃山時代(16世紀)に花開いた桃山文化の中で樂家初代長次郎によってはじめられました。

樂焼の技術のルーツは中国明時代の三彩陶といわれています。この時代には京都を中心に色鮮やかな三彩釉を用いる焼きものが焼かれはじめていましたが、長次郎もその技術をもった焼きもの師の一人であったと考えられています。

長次郎の残した最も古い作品は、本展に出品される二彩獅子、天正2年(1574)春につくられました。おそらく樂茶碗がつくられるのはそれより数年後、天正7年(1579)頃ではないかと考えられています。 (展覧会ホームページより)

初代 長次郎 二彩獅子 重要文化財 天正2年(1574) 樂美術館蔵

展覧会ホームページ

Exhibition Homepage (English)

特設サイト

樂家歴代の系譜

出品リスト

<イベント>
特設サイトのイベントページをご覧ください。

十五代 吉左衞門 焼貫黒樂茶碗 銘 暘谷 平成元年(1989) 個人蔵

所蔵作品展 「MOMATコレクション」(2−4階)は、この季節だけの展示となる水面に散る桜を描いた重要文化財作品 川合玉堂《行く春》や、菊池芳文《小雨ふる吉野》はじめ、今回も盛りだくさん!こちらも5月21日までです。

また、2Fのギャラリー4では「マルセル・ブロイヤーの家具」を開催中です。こちらは5月7日まで。

MOMAT Collection (English) (2-4F, until May 21, 2017)

Marcel Breuer’s Furniture: Improvement for good (English) (Gallery 4/2F, until May 7, 2017)


開始日2017/03/14
終了日2017/05/21
エリア東京都
時間10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) *入館は閉館30分前まで
10:00-17:00 (Friday 10:00-20:00 ) *Last admission : 30 minutes before closing.
休日月曜(3/20、3/27、4/3、5/1は開館)、3/21(火)
Mondays(except March 20, 27, April 3 and May 1, 2017 ); and March 21, 2017
その他備考観覧料: 一般 1,400(1,200)円 大学生 1,000(800)円 高校生 500(300)円
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
*本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」「マルセル・ブロイヤーの家具:improvement for good」、工芸館所蔵作品展「動物集合」もご覧いただけます。
■『茶の湯』・『樂』共通チケット 東京国立博物館での特別展「茶の湯」4/11(火)~6/4(日)との共通チケット。当日券2展で3,000円のところ2,600円。
Adults ¥1,400 (¥1,200 ) College and university students ¥1,000 (¥800 ) High school students ¥500 (¥300 )
* Including the admission fee for Marcel Breuer's Furniture: Improvement for good and MOMAT Collection.
*The price in brackets is for the group of 20 persons or more.
*All prices include tax.
*Junior High school age and under are free of charge.
*Persons with disability and one person accompanying them are admitted free of charge.
開催場所東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
The National Museum of Modern Art, Tokyo.
アクセス〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
http://www.momat.go.jp/am/visit/
■東京国立博物館×東京国立近代美術館 コラボ企画
4/11(火)~5/21(日)の開館中、東京国立近代美術館と特別展「茶の湯」が開催される東京国立博物館の間を無料シャトルバスが運行(乗客定員約50名)
*乗車にはどちらかの観覧券または招待券(使用済可)をご提示ください。
運行区間 : 東京国立博物館(東博)正門⇔東京国立近代美術館(東近美)正門(所要時間約30分)
運行時間(東近美発): 11:00 / 12:00 / 14:00 / 15:00
*運行状況により時間がずれる可能性があります。
3-1 Kitanomaru-koen, Chiyoda-ku, Tokyo 102-8322
http://www.momat.go.jp/english/am/visit/