特別展「古代ギリシャ ―時空を超えた旅―」A Journey to the Land of Immortals: Treasures of Ancient Greece

「アルテミス像」s

アルテミス像 前100年頃 アテネ国立考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑小さな頭部と長い首と細い肩、小さな胸。装飾的な編み込みの髪。矢筒の痕跡がある
ことから狩りの女神のアルテミスとわかりますが、勇ましさや力強さはなく、ヘレニズ
ム後期に特有の優美でなよやかな女性像です。《ミロのヴィーナス》のどっしりとした
体躯と雰囲気は異なりますが、同じ頃に、同じキュクラデス諸島でつくられたものです。

「なんと!」いうスケールの展覧会です。古代ギリシャは紀元前6800年ころの新石器時代から始まり、展示されている中でもっとも古い作品は紀元前6000年ごろのもの。つまりわたしたちが西暦で知っている歴史を4倍くらいさかのぼった頃ということです。そこから紀元前後のヘレニズムからローマ時代の始めの、ため息のでるような美しい大理石の人体像がつくられた時代(もっとも新しい作品は5世紀ですから日本の歴史がようやく始まろうとする頃)までの、古代ギリシャ世界を代表する多様な作品325件が並びます。

ギリシャ国内の40ヶ所以上の国立博物館群の収蔵作品ということですから、現地でそれぞれの博物館に行かずとも、約7000年間を一度に展観できるというのはありがたい。まさに時間と空間を旅する展示です。9割以上が日本初公開という、古代ギリシャ、つまりは現在の近代化した世界の根元である西欧の始まりを語るには見なくてはならない展覧会です。

Exhibition homepage of Tokyo National Museum (English)

(いなむらはつこ)

スペドス型女性像 初期キュクラデスⅡ期、(前2800~前2300年) キュクラデス博物館蔵
©Nicholas and Dolly Goulandris Foundation- Museum of Cycladic Art, Athens, Greece

↑初期青銅器時代のキュクラデスに特有の大理石小像です。腕を胸の下
で組み、両脚を閉じて伸ばすという典型的なポーズを取っています。
胸とデルタ地帯がはっきりと表されています。白いのっぺらぼうが
印象的ですが、当初は目や口や髪が顔料で描かれていました。

リシャには古代、時代や地域によりさまざまな美術が花開きました。その中心は一貫して神々と人間の姿と物語でした。大理石を削って作った小さなキュクラデス偶像、幾何学様式の壺絵からマケドニアの美しい金製品、ほぼ等身大のヘレニズムの神像まで、歴史の変遷とともに見事なまでの多様性を目にすることができます。本展は、ギリシャ国内40か所以上の国立博物館群から厳選された300件を超える古代ギリシャの貴重な作品を展示する、日本でかつてない規模の試みです。青きエーゲ海の美しい島々からはじまるギリシャ最古のエーゲ海文明やヘレニズム時代など、西洋文化の源である古代ギリシャ文明の黎明から最盛期に至るその壮大な歴史の流れを総合的に紹介します。

牛頭形リュトン 後期ミノスⅠB期(前1450年頃) イラクリオン考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑黒い緑泥石を彫りぬいてつくられており、牛の毛並みや斑点模様が、浮彫りや毛彫り
で丁寧に彫られています。クノッソスの小宮殿で出土した類例と同じように、おそらく
このリュトンにも首の上と顎の部分に小穴があり、顎から液体が流れ出るようにつくら
れていたのでしょう。宴会用の酒杯というよりは、宗教儀式用の祭具と考えられます。

* * * * * 展覧会公式サイト * * * * *

漁夫のフレスコ画 前17世紀 テラ先史博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑たくさんの魚を両手にぶら下げる若者が、大きく生き生きと描かれています。彼は単
なる漁師ではなく、神に豊漁を感謝するために捧げものを持ってきた少年なのでしょ
う。この絵が描かれてしばらくした頃、テラ島の火山は大爆発を起こし、アクロティリ
は灰に埋もれました。そのおかげでこうしたフレスコ画が現在にまで伝わったのです。

―時空を超えた旅―
古代ギリシャは驚くほどに変化に富んだ世界でした。時代により、地域により、さまざまに異なった美術が花開きました。今日の西洋文化の原点となった古代ギリシャ世界。その源ともいえるエーゲ海文明からギリシャ本土のアルカイック時代、クラシック時代、アレクサンドロス大王のマケドニア、ヘレニズム時代、そしてローマ時代までを「時空を超えた旅」と見立てて紹介します。

―究極に美しい―
キュクラデス文明のシンプルかつ美しく謎めいた像、クレタ島やテラ(サントリーニ島)の豊かで開放的な海洋文明。幾何学様式の壺絵や人間をより自然に表現するアルカイック時代の彫刻。そしてクラシック期には「人間」を尺度の基準とした精緻なプロポーションを持つ理想美が追求されました。その後、アレクサンドロス大王がもたらしたマケドニア王国の洗練された宮廷美術は、やがて人間味に溢れるヘレニズム文化へと花開き、ギリシャの美はローマへと継承されていくのです。

—神話は生きている―
古代ギリシャという多神教世界にもスポットを当てます。たくさんの神々がそれぞれの自然現象や領域を司っていました。ある時は人間を守護し、ある時は罰する神々に対し、人々は折々に宗教儀礼を捧げていました。そうした儀礼や死生観は、実は多神教の世界に生きる日本人にこそ理解しやすいのかもしれません。遠いようで近い、古代ギリシャの神々と人間の関わりを紹介します。

戦士の象牙浮彫り 前14~前13世紀 デロス考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑猪の兜をかぶり、8の字の盾を持った戦士が浮彫りされています。ギリシャ最
古の文学であるホメロスの『イリアス』は、ミュケナイ時代から何百年も語り継
がれてきたトロイア戦争を詩文にして詠ったものですが、そこでは英雄オデュッ
セウスが猪の牙の兜をかぶり、まさにこの浮彫りのような姿で登場します。

【関連事業】
詳細および最新情報は展覧会ホームページをご覧ください。

<講演会・講座>
記念講演会(1)「ギリシャ美術を巡る旅-神々と人間の出会うところ-」―終了しました
平成館 大講堂  2016年6月25日(土)   13:30~15:00

クーロス像 前520年頃 アテネ国立考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑アルカイック時代の男性裸体立像をクーロスと呼びます。女性像にオリエントの影
響が濃いのに対し、クーロスが両手を腿につけて直立し、片足を前に踏み出すポーズ
を取るのは、明らかにエジプトの影響です。この作品はアルカイック後期のもので、
筋肉表現に自然さが増し、両腕も腿から離れて、動きと力強さが加わっています。

<イベント>
古代ギリシャ キッズデー
子どものための特別な鑑賞日です。未就学児やベビーカーでの鑑賞も大歓迎!キッズデー限定のギャラリートーク、ワークショップのほか記念撮影コーナーも設置。お子さんのミュージアムデビューや夏休みの自由研究にぴったりです。
2016年7月25日(月)10:00~15:00 (入館は14:30まで)
会場  東京国立博物館 平成館
対象  中学生以下、および同伴の保護者・付添者(小・中学生だけでの参加も可)
参加費 中学生以下無料、高校生以上は本展覧会の観覧券が必要(友の会・パスポートも可)、半券不可
ご注意 当日は、総合文化展(平常展)はご覧いただけません。常設ミュージアムショップ、レストランはご利用いただけません。

テミストクレスの名前が書かれたオストラコン(陶片)
前472年のオストラシズム(陶片追放) 古代アゴラ博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑紀元前510年、アテネは僭主政(せんしゅせい)を排し、民主政に移行していきます。再び
僭主が生まれないようにと彼らが導入したのが、陶片追放です。僭主となる恐れがある者の
名を陶片に書いて投票し、6千票に達すると、1名が10年間アテネ外への追放となります。
この陶片には、紀元前472年に陶片追放となったテミストクレスの名が書かれています。

<イベント>
古代ギリシャ ナイトミュージアム —申込を締め切りました
東京国立博物館 平成館 大講堂  2016年7月7日(木)   17:30~20:30(受付17:00~)
展覧会特別観覧 17:30~18:55
トークと音楽 19:00~20:30

赤像式パナテナイア小型アンフォラ  ボクシング 前500年頃 アテネ国立考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑古代ギリシャのボクシングはこぶしに革ひもを巻き付け、どちらかが倒れるか
降参するまで殴り合います。抱え込み、蹴り、急所へのパンチは禁止されていま
した。試合に時間制限はなく、決着がつかない時は、防御せずに交互に顔を殴り
合い、長く耐えた方が勝者になったといいます。パナテナイア型アンフォラはア
テネの競技祭での優勝者への賞品ですが、これはそれを模した小型版です。

ジュニアガイド
特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」の鑑賞の手引きとして、ジュニアガイドを制作しました。PDFをダウンロードし、プリントアウトしてご活用ください。

ギンバイカの金冠 前4世紀後半 テッサロニキ考古学博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑マケドニアのテッサロニキ近郊にあるデルヴェニ墓地では、紀元前4世紀末の墓
がいくつか見つかっています。B墓はその中でもっとも豪華なもので、中には
壮年の男性と、それよりも若い女性の遺骨が納められていました。アフロディ
テの聖樹であるギンバイカの冠は女性の死者のためのものと思われます。

【巡回予定】
長崎県美術館    2016年10月14日(金)~12月11日(日)
神戸市立博物館   2016年12月23日(金・祝)~2017年4月2日(日)

アレクサンドロス頭部 前340~前330年 アクロポリス博物館蔵
©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

↑フィリッポス2世は紀元前338年にギリシャ連合軍を破った後、オリンピアに円堂を建
てて自分の家族の肖像を奉納しました。一方、アテネ人たちは、王の機嫌を取ろうと、
彼と息子のアレクサンドロスの肖像を自分たちのアゴラに立てたといいます。アクロポ
リス出土のこの肖像は、王子時代のアレクサンドロスではないかと考えられてます。

東京国立博物館ホームページより)

開始日2016/06/21
終了日2016/09/19
エリア東京都
時間9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)。 ただし、会期中の土・日・祝休日は18:00まで、金曜日および7・8月の水曜日は20:00まで開館。
休日月曜日。ただし7月18日(月・祝)、8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館、7月19日(火)は休館。
その他備考観覧料金: 一般 1600円 (1300円)、大学生 1200円 (900円)、高校生 900円 (600円)、中学生以下無料
* ( )内は20名以上の団体料金
* 障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
* 日韓国交正常化50周年記念 特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」(2016年6月21日(火)~7月10日(日) 本館特別5室)、特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」(2016年9月13日(火) ~ 2016年12月11日(日)、本館5室)は別途観覧料が必要です。
* 特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」相互割引
特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―」(2016年6月21日(火)~7月10日 (日)、本館特別5室、*古代ギリシャ展と開館日・閉館時間が異なります)の観覧 券(半券可)を古代ギリシャ展の会場入口または正門チケット売場(窓口のみ)にお持ちいただくと、本展の観覧料が当日料金の100円割引となります。半券1枚につき各展覧会1人1回限り、ほほえみの御仏展会期中のみ有効です(7月10日まで)。(ただしパスポート、友の会特別展観覧券は観覧済(使用済)の日付印があるものに限ります。また、他の割引サービスとの併用はできません。
* 東京都美術館「ポンピドゥー・センター傑作展」相互割引
本展会期中、「ポンピドゥー・センター傑作展」(2016年6月11日(土)~9月22日(木・祝))観覧券半券(使用済み可)を東京国立博物館正門のチケット売場にてご提示いただくと、本展の観覧料が当日料金の100円割引となります。 また本展観覧券半券(使用済み可)を、東京都美術館の観覧券売場でご提示いただくと「ポンピドゥー・センター傑作展」の観覧料が当日料金の100円割引になります。いずれも半券1枚につき各展覧会1人1回限り有効です(他の割引サービスとの併用はできません)。
* 「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1600円を1500円(100円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にてお申し出ください。
* 東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1000円(200円割引)でお求めいただけます。正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
開催場所東京国立博物館 平成館(上野公園)
アクセス・JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
・東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
お問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 東京国立博物館
電話番号:03-3822-1111(代表)
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