森鷗外記念館で現代アートVol.3「『刹那』よ『止まれ、お前はいかにも美しいから』」

富岡直子 resonance-2 WEB用 sRGB

富岡直子 「resonance-Ⅱ」 2008年 アクリル・麻布・パネル 72.7×91cm

本企画は、鴎外の仕事や作品を現代的価値や意味に繋げる試みとして、現代美術の作品をエントランスや、カフェ、図書室等の無料(パブリック)スペースで展示するもので、今回で3回目となります。本年は、倉林靖氏(美術評論家)のディレクションのもと、富岡直子氏(絵画)、佐野陽一氏(写真)のお二人の作品を約30点、パブリックスペースで展覧いたします。

本展のタイトル「『刹那』よ『止まれ、お前はいかにも美しいから』」は、大正2年(1913)に刊行された森鴎外訳・ゲーテ『ファウスト』の中のファウストのセリフを引用したものです。

長大な詩劇『ファウスト』全体を貫く重要なキーワードであるこの台詞が、単に瞬間の外見の美について語ったものではないことは明らかです。人生の経験の蓄積を通じて、生の充実のなかのある瞬間の感覚が、内面的な充溢とともに新たな光を発しはじめ、永遠のものとも感じられてくる、恩寵のような稀有な時間について語った言葉なのではないでしょうか。文学者で医学者でもある鴎外は、ゲーテの作品を翻訳しながら、この言葉に、人間が癒され、より充実した存在になるところの根源的な状態を見、あるいはそこに、人間の理想への希望と憧憬を込めたのかもしれません。

今回出品いただく二人のアーティスト、富岡直子氏と、佐野陽一氏は、絵画、写真と手法は異なりますが、どちらも外界の光を映しながらも内的な光をもそこに滲み出させようとし、瞬間が永遠に繋がるような、恩寵のような知覚と経験、空間感覚と時間感覚を現出させることを試みている作家です。今回は二人の作品を通じて、鴎外がファウストのセリフにこめた、瞬間と永遠をめぐる知覚と感覚を、現代につなぎます。

富岡直子は、一貫して「光」を追究し、「光」が観る者を包み込むような絵画作品を制作している作家です。本展では、近作「resonance」2点の他、ドローイングを10余点出品します。今回初めての公開となるドローイングは、作家の作品へのアプローチを垣間見ることができ、必見です。

佐野陽一は、「世界を知覚する手がかりとしての写真」をテーマに、ピンホール・カメラの手法で作品を制作している作家です。本展では、水辺をモチーフとした「flow」「reservoir」シリーズ、分厚いアクリルでマウントし自立する小さな写真作品「vessel」シリーズなど、約15点を出品します。通常の美術館では見ることができない展示手法にもご期待ください。

このほか音楽ライブ、空間映像インスタレーション、ダンスパフォーマンス等、11月には秋の夜長を楽しむイベントが盛りだくさんです。芸術の秋のひと時、森鴎外の旧居跡で、お過ごしください。

◆同時開催◆

特別展「ドクトル・リンタロウ―医学者としての鴎外」

観覧料:一般500円(20名以上の団体:400円)が必要です。
※中学生以下無料、障がい者手帳ご提示の方と同伴者1名まで無料。文京ふるさと歴史館入館券他、各種割引あり。

生の果物は口にしない。風呂に入らない。こうした鴎外の好みや行動は、何に由来するものなのでしょう。明治の文豪・森鴎外は、その出発点においては、自然科学を志した医学者・森林太郎でもありました。本展では、医学者としての足跡をたどるとともに、医学の視点から鴎外作品の再読を試みます。

森林太郎は、文久2(1862)年、代々津和野藩(現・島根県津和野町)の御典医を務めた森家の長男として生まれました。明治14(1881)年、東京大学医学部卒業後、留学への期待と家族の意に沿って陸軍に入り、明治17(1884)年からドイツで軍陣衛生学や陸軍衛生制度を学びます。帰国後は、衛生学を専門とした医事行政に関わり、明治40(1907)年には、陸軍軍医総監、陸軍省医務局長に就任、大正5(1916)年に辞任するまで務めました。

今日、林太郎の医業(衛生学)について、「脚気論争」以外あまり知られていません。しかし、現代の私たちにとっては“あたりまえ”の都市計画や予防医学などにおける公衆衛生の必要性を発信したのは、他でもない林太郎でした。林太郎の言葉を借りれば、〈衛生学〉とは、私たちが健康に暮らすための環境を整備する身近な学問です。

新しい医療体制の整備が急速に動き始めた時代に、林太郎が何を学び、何に取り組んだのか、また、それが現代の生活とどのように関わっているのかを、医学生時代・留学時代の自筆ノート、医学論文の自筆原稿、医学関係者との書簡などで紹介します。そして、文豪・鴎外として何を書き遺したのか、『仮面』『渋江抽斎』『伊沢蘭軒』等の作品を周辺資料とともに読み解いていきます。

林太郎の軌跡を追うことで、鴎外の意外な行動の理由、あるいは、その思想の根底にあるものが見えてくるかもしれません。近代医学発展の地、文京区で、ドクトル・リンタロウの解剖がはじまります。

<イベント情報>
*イベントの詳細、最新情報につきましては記念館ホームページをご覧ください。

○ギャラリートーク
展示室にて当館学芸員が展示解説を行います。
日時:10月14日、28日、11月11日、25日(いずれも水曜日)14時~
申込不要(展示観覧券が必要です)
所要時間は30分程度を予定しています。

○講演会「『魔睡』の時代―催眠術から霊術へ」
日 時 10月31日(土)14時~15時半
講 師 一柳廣孝氏(横浜国立大学教授)
料 金 無料
申込締切 10月16日(金)必着 —申込は締切ました。
※申込はこちらをご覧ください。

○空間映像インスタレーション「Landscape of Illusion and Colors 夢幻と色彩の風景」
金大偉氏の美しい映像が、夜の記念館外壁を彩ります。
日時:11月6日(金)~8日(日) 17:00-20:00(この3日間は20時まで開館)
映像:金大偉
会場:森鴎外記念外壁

○音楽ライブ「Dream of Neo Asia」
エントランスにバンドネオン、サランギー、キーボードによる音楽ライブをお楽しみいただきます。
日時:11月6日(金)    18:30-19:30 無料
会場:森鴎外記念館エントランス
演奏:金大偉
無料!申込み不要!

○音楽ライブ「リコーダーとチェンバロのデュオ~ドイツ・バロック音楽から明治まで」
夜のエントランスにて、チェンバロ、リコーダーによるバロック音楽の演奏をエントランスでお楽しみいただきます。
日時: 11月7日(土) 18:00-19:30
演奏:倉林靖(リコーダー)、渡辺玲子(チェンバロ)
会場:エントランス
無料!申込み不要!

○森鴎外記念館でコンテンポラリーダンスVOL.3「鷗外Girls」
歳の差ダンスユニット「おやつテーブル」によるダンスパフォーマンス。鴎外と鴎外をめぐる女性たちの団子坂界隈の日々がテーマです。会場は館内各所。あちこちで行われるパフォーマンスを観客も移動しながら鑑賞します。BCS賞を受賞するなど、高い評価を受けている当館の建築も堪能いただけるパフォーマンスです!!是非ご参加ください。★事前申込制!10月30日締切!!。
日時:11月13日(金) 18:30-19:30
ダンス:おやつテーブル
会場:館内各所
定員:40人(応募者多数の場合抽選)
料金:1500円
申込〆切:10月30日(金)

<申込方法>
◆往復はがき
往信に参加希望プログラム名・氏名(ふりがな)・住所・電話番号を、返信用には、住所・氏名を明記の上、〒113-0022 東京都文京区千駄木1‐23‐4 文京区立森鴎外記念館「展示関連講演会」受付係までご応募ください。

◆Eメール
件名に参加希望プログラム名、本文に氏名(ふりがな)・電話番号・Eメールを明記の上、bmk-event@moriogai-kinenkan.jpにご応募ください。

○講演会「鴎外とその時代の医療」
日 時 11月14日(土)14時~15時半
講 師 酒井シヅ氏(順天堂大学特任教授)
料 金 無料
申込締切 10月30日(金)必着
※申込はこちらをご覧ください。

森鷗外記念館ホームページより)

開始日2015/10/3
終了日2015/12/06
エリア東京都
時間10時~18時(最終入館は17時30分) 
*11月6日(金)~8日(日)は20時まで開館(最終入館は19時30分)
休日第4火曜日(10月27日、11月24日)
その他備考無料(同時開催特別展「ドクトル・リンタロウ―医学者としての鴎外」観覧の場合は観覧料500円必要)
開催場所文京区立森鴎外記念館
アクセス〒113-0022 東京都文京区千駄木1-23-4
東京メトロ千代田線「千駄木」駅1番出口徒歩5分
東京メトロ南北線「本駒込」駅1番出口徒歩10分
都営三田線「白山」駅A3番出口徒歩15分
JR山手線「日暮里」駅西口徒歩15分
http://moriogai-kinenkan.jp/modules/contents/index.php?content_id=38