Re: play 1972/2015 ー「映像表現 ’72」展、再演 Re: play 1972/2015 ー Restaging “Expression in Film ’72”

会場風景3

「映像表現 ’72」展(1972 年、京都市美術館)会場風景 photo: 松本正司

「残響に耳澄まし、残像に刮目せよ!」

1972年、京都市美術館で開催された「映像表現’72」展は、映画館ではなく美術館で、美術家による複数の映像作品を一堂に展示した、世界的に見ても先駆的かつ画期的な展覧会でした。43年の時を経た2015年、東京国立近代美術館でこの「映像表現’72」展を再び開催します。

本展の趣旨は、過去の展覧会を懐古的に「再現」するのではなく、「再び舞台にのせる」こと、つまり「再演 (replay)」し、そして「再生(replay)」することです。43年前の残響に耳を澄まし、残像に眼をとめながら行われるこの「展覧会=上演」によって、ノスタルジーでもアナクロニズムでもなく、2015年という「いま、ここ」におけるその現代的意味を捉え直します。

■「映像表現’72」展について
正式名称は「第5回現代の造形<映像表現‘72>もの、場、時間、空間-Equivalent Cinema-」。1972年10月、京都市美術館でわずか6日間だけ開催された展覧会は、大陳列室約400㎡を使用し、映画館やホールでの上映ではなく、展覧会形式で複数の作家の映像作品を発表した国内初の試みでした。薄暗がりの中、16名の美術家による映像作品がそこかしこの壁やモニターに映し出され、映写機やビデオデッキ、スライドプロジェクターの機械音が響く会場には、エンドレス上映するためにフィルムが蜘蛛の巣のように張り巡らされた、かつてない不思議な空間が作り出されました。出品作家の一人は、そこに「新たな時代の幕開けの音を聴いた」と言います。

暗闇で終始着席したまま映像に没頭する映画館から美術館へと場所を変え、複数の作品が同時に上映される中を観客は動き回り、どこから見るのも、どれだけ見るのも自由という展示(上映)形式は、国内初であると同時に世界的に見ても先駆的な試みでした。

「第5回現代の造形<映像表現’72>もの、場、時間、空間 -Equivalent Cinema-」出品作家:
石原薫、今井祝雄、植松奎二、植村義夫、柏原えつとむ、河口龍夫、庄司達、長澤英俊、野村仁、彦坂尚嘉、松本正司、宮川憲明、村岡三郎、山中信夫、山本圭吾、米津茂英

■いま、なぜ1972年か?
学生運動の激化や大阪万博の熱狂など、1960年代後半から1970年代前半の日本は熱い時代を迎えていました。同時に既成のジャンルを再考し、新たに世界を拡張しようという熱気が、様々なカウンターカルチャーを生み出した時代でもあります。ヒッピー、フォークソング、和製ヌーベルバーグ、アングラ演劇、劇画、(万博に対する)反博・・。この時代に人々が描いた、時にアナーキーで、時にオルタナティブな夢や理想は(やがて70年代半ばに挫折がやってくると知っていても)、現代の私たちが振り返ると熱気にあふれ輝いてみえます。

トレンドは繰り返すと言われるように、ファッションや音楽、映画など様々な文化やライフスタイルが過去の流行を繰り返します。しかし、それは決して懐古的に「再現」するのではなく、「replay(再演)」することによって当時の良さを取り入れつつ、現代にあったものへと進化させるプロセスと言えます。熱気にあふれた1972年に開催された展覧会を、現代によみがえらせる今回の試みは、そうしたプロセスの一つなのかもしれません。

■二つの会場が重なりつつ、ズレる、工夫に満ちた空間構成
昨今、1960-70年代の展覧会の再現、再構成が世界的に行われています。この関心は、この時代の美術において周囲の空間や状態、環境などを重要な構成要素とする作品が激増したことと関係しています。またこれは、展示や展覧会という枠組み・存在が極めて重要になっていく時期であったことも意味します。

今回の「再演」にあたっては、会場図面や記録写真、カタログ、展評、出品作家の記憶などから会場面積や機材の種類、配置など、あらゆる要素をできる限り正確に割り出しました。また現在では極めて困難な8ミリフィルムの複製にも挑戦し、実際に8ミリフィルムでの上映を行うなど、1972年の展覧会をディテールにこだわって追求しています。

また今回の会場には、72年の会場が入れ子状にすっぽり収まり、その外側に当時は存在しなかった壁の裏側と外周空間が存在することになります。内側の会場と外周空間を行きつ戻りつするうちに、1972年と2015年、京都市美術館と東京国立近代美術館という時間と空間が重なりつつズレていくような、不思議な感覚にとらわれ、刺激に満ちた魅力的な体験となることでしょう。

【イベント】

詳細および最新情報については美術館ホームページをご覧ください。

●「FILM NOW 3 日間の映画会」再演
「映像表現 ’72」展の会期中に関連イベントとして行われた実験映画の上映会を再演。スタン・ヴァンダービーク、アルド・タンベリーニ、ヴィルヘルム&ビルギット・ハイン、松本俊夫、安藤紘平ほかの作品を上映します。
※上映日時、プログラムの詳細は、美術館ホームページでご確認ください。
場所|講堂(地下1階)参加無料、申込不要、要観覧券

●アーティストトーク
出品作家によるトークを開催します。
※開催日時ほかの詳細は、美術館ホームページでご確認ください。
場所|いずれも企画展ギャラリー(1階)
参加無料、申込不要、要観覧券

●ギャラリートーク
10 月31 日(土) 14:00-15:00
西澤徹夫(西澤徹夫建築事務所・本展会場構成担当)+三輪健仁(東京国立近代美術館主任研究員・本展企画者)

11 月15 日(日) 14:00-15:00
石川亮(実験映画作家・東京国立近代美術館フィルムセンター技能補佐員・本展技術協力)+三輪健仁(同上)
場所|いずれも企画展ギャラリー(1階)
参加無料、申込不要、要観覧券

画像はすべて、「映像表現 ’72」展(1972 年、京都市美術館)会場風景 photo: 松本正司

美術館ホームページより)

開始日2015/10/06
終了日2015/12/13
エリア東京都
時間10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
休日月曜日(ただし10 月12 日、11月23日は開館)、10月13日(火)、11月24日(火)
その他備考一般900(600)円  大学生500(250)円
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
本展の観覧料で入館当日に限り、「MOMATコレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」(4F-2F)、「コレクションを中心とした小企画 てぶくろ|ろくぶて」(2Fギャラリー4)もご覧いただけます。
リピーター割引: 本展使用済み入場券をお持ちいただくと、2 回目は特別料金(一般 430 円、大学生130 円)でご覧いただけます。
開催場所東京国立近代美術館 企画展ギャラリー
アクセス〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
http://www.momat.go.jp/am/visit/