蔡國強展:帰去来 Cai Guo-Qiang: There and Back Again

Print

《壁撞き》2006年、 狼のレプリカ(99体)・ガラス、 サイズ可変、
ドイツ銀行によるコミッション・ワーク The Deutsche Bank Collection
Photo by Jon Linkins, courtesy: Queensland Art Gallery | Gallery of Modern Art

本展は、ニューヨークを拠点に、現代美術界で最も活躍しているアーティストのひとり、蔡國強(ツァイ・グオチャン、1957年中国福建省泉州市生まれ)による、日本国内では7年ぶりとなる大規模な個展です。

上海戯劇学院で舞台美術を学んだ蔡は、1986年末に来日し、筑波大学、河口龍夫研究室に在籍。東京そして、取手やいわきに滞在しながら創作活動を開始しました。日本滞在中に、実験を重ねて火薬の爆発による絵画を発展させ、一躍、内外の注目を浴びるようになります。日本での約9年にわたる創作活動を経て、1995年以降はニューヨークに拠点を移し、世界を舞台に、創作活動を続けています。2008年の北京オリンピックでは、開会式・閉会式の視覚特効芸術監督として花火を担当し、その様子は世界中に中継され注目を集めました。

蔡は、中国の文化・歴史・思想から着想を得ながら、火薬の絵画、独創的な花火、ランドアート、インスタレーションなど、多義的な視点による作品で、現代社会へ一石を投じてきました。例えば戦争や武器に用いられる火薬の爆発を、絵画や花火という美術作品へ転じることにより、火薬の破壊力と平和利用の有効性の双方の視点を、蔡は私たちにしなやかに提示します。また、彼は人々の感性に訴えるダイナミックな視覚的表現と柔軟なコミュニケーション力により、美術界だけではなく幅広く多くの人々を魅了してきました。近年は、子どもや自然、エコロジーなどにも、より意識を高めています。

タイトルの「帰去来(ききょらい)」は、中国の詩人、陶淵明(とうえんめい)*(365-427)の代表作「帰去来辞(ききょらいのじ)」から引用しています。官職を辞して、故郷に帰り田園に生きる決意を表したこの詩は、現実を見つめ、己の正しい道に戻り、自然に身をゆだねる自由な精神を謳っています。泉州から日本を経てニューヨークへ渡り、華々しい活動を続ける蔡が、アーティストとして自由な創作を開始した日本という原点に戻るという意味が、タイトルに示されています。また、同時に人間としての原点への問いも含まれています。

《藤蔓》2014年、火薬・陶・鉄、サイズ可変、作家蔵(参考図版)
Photo by Wen-You Cai, courtesy Cai Studio

本展では、日本初公開となる近年の代表作《壁撞き(かべつき)》のほか、横浜などに取材した大規模な火薬による平面作品と、テラコッタによるインスタレーションが新たに制作され展示されます。蔡の作品は、動植物に象徴される自然と人間との共生、複雑な社会における人間性への問いかけなどの様々な読み方を促してくれます。それは、紛争や対立が絶えない現代にあって、示唆に富んだものとなるでしょう。

老若男女にかつてない驚きと発見をもたらしてくれる蔡國強の世界。今年の夏、見逃すことができない展覧会です。

*陶淵明(365-427)は中国、六朝期の詩人。著作に、ユートピアを描いた「桃花源記」「五柳先生伝」など。自らを五柳先生と称した。

横浜、越後妻有、代官山。蔡國強(ツァイ・グオチャン)の夏!

日本では7年ぶりの大規模個展を開催する蔡國強ですが、今年は、5月10日に閉幕したPARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015、7月26日から開幕する大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015での越後妻有里山現代美術館[キナーレ]特別企画展「蓬莱山」、そして7月28日からの代官山のアートフロントギャラリーでの個展と、国内で話題の展示が相次ぎます。

◎越後妻有里山現代美術館[キナーレ]特別企画展
「蔡國強 蓬莱山—Penglai / Hõrai」:2015年7月26日(日)~9月27日(日)
大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015のプロジェクトとして開催

◎東京展 於アートフロントギャラリー
「蔡國強 アート・アイランド」展:2015年7月28日(火)~9月6日(日)
オープニング 7月27日(月)18時より

<作家略歴>

蔡國強 Cai Guo-Qiang、Photo by Wen-You Cai

近年の主な個展とプロジェクト:
「透明モニュメント」メトロポリタン美術館、ニューヨーク(2006年)、「アイ・ウォント・トゥ・ビリーブ」ソロモン・グッゲンハイム美術館、ニューヨーク、中国美術館、北京(2008年)、グッゲンハイム美術館、ビルバオ(2009年)、「蜃気楼」アラブ近代美術館、マトハフ(2011年)、「スカイ・ラダー」LAMOCA、ロサンゼルス(2012年)、「農民ダヴィンチ」ブラジリア、サンパウロ、リオ・デ・ジャネイロ巡回(2013年)、「Falling Back to Earth/帰去來兮」クイーンズランド州立美術館、ブリスベン(2013年)、「九級浪」上海当代芸術博物館(2014年)ほか。また、2008年の北京オリンピック・パラリンピック開閉会式で視覚特効芸術監督を務める。

受賞歴:
第48回ヴェネチア・ビエンナーレ「国際金獅子賞」(1999年)、「アルパート芸術賞」(2001年)、第7回「ヒロシマ賞」(2007年)、第20回「福岡アジア文化賞受賞」(2009年)、第24回「高松宮殿下記念世界文化賞」(2012年)、「米国国務院芸術勲章」(2012年)など。

アーティストウェブサイト

《春夏秋冬》より(部分)2014年、火薬・磁器、作家蔵
Commissioned by the Power Station of Art, Shanghai.
Photo by Zhang Feiyu, courtesy Cai Studio

<関連イベント>

関連イベントに関して詳細、最新情報は美術館ホームページをご覧ください。

■アーティスト・トーク
蔡國強が自作について語ります。(日本語のみ)
日程       2015年7月11日(土)
時間 15時~16時30分(14時30分開場)
会場 横浜美術館レクチャーホール
参加料    無料
定員     240名 – 定員に達したため申込みを締切ました
*当日はライブストリーミングを実施予定です。

■学芸員によるギャラリートーク
日程       2015年7月17日(金)、7月31日(金)、9月4日(金)、9月11日(金)、9月16日(水)、9月18日(金)
時間 いずれも14時~14時30分
※9月16日(水)、9月18日(金)のみ18時~18時30分
会場 蔡國強展展示室(展示室入口にお集まりください)
参加費 無料(事前申込不要、当日有効の観覧券が必要)

■夜の美術館でアートクルーズ
閉館後の美術館で、解説つきで展覧会をゆったり鑑賞するプログラム。本展では館長の逢坂恵理子がナビゲートいたします。
日程 ①2015年8月29日(土)②2015年9月9日(水) ※①②は同内容
時間 いずれも19時~21時
講師 逢坂恵理子(当館館長)
会場 蔡國強展展示室
対象・定員 18歳以上・各回30名(抽選)
参加費 3,000円
申込方法 参加希望日を選んで、申込フォームからお申込みください
①2015年8月29日(土):申込フォーム
②2015年9月9日(水):申込フォーム
申込締切 ①2015年7月30日(木) ②2015年8月13日(木)

■横浜美術館・森美術館コラボレーション 中高生プログラム
体験しよう!伝えよう!アート -蔡國強展とディン・Q・レ展をめぐるワークショップ-
中高生のための現代アートを体験する長期プログラムです。
横浜美術館「蔡國強展:帰去来」と森美術館「ディン・Q・レ展:明日への記憶」。二つの美術館で開催される展覧会をみたり、実際にアーティストに会ったりして、現代アートを体験しましょう! そして、夏休みには小学生に蔡國強展をたのしんでもらうためのツアーやワークショップを自分たちで企画し、実施します。全9回。
【導入】2015年6月28日(日)10時~12時
【蔡國強編】 7月5日(日)、7月19日(日)10時~12時
7月26日(日)、8月9日(日)10時~14時
8月19日(水)10時~15時30分
8月30日(日)10時30分~14時
【ディン・Q・レ編】 9月13日(日)10時30分~14時30分
【まとめ】 10月4日(日)10時~12時
会場 横浜美術館 ※9月13日は森美術館
対象・定員 中学生と高校生・18名程度(事前申込、抽選)
参加費 無料(ワークショップ参加中の観覧料も無料)
申込締切 6月14日(日)− 受付終了しました

森美術館「ディン・Q・レ展」ウェブサイト

■蔡さんと子どもたち 親子講座「カラーテープで昼間の花火を描(えが)こう」
蔡國強さん(ツァイ・グオチャン)は、2008年の北京オリンピックの開会式・閉会式で、視覚特効芸術監督として花火を担当するなど、花火を作品にすることで知られています。その蔡さんの花火作品にちなみ、布地に花火を描きましょう。
材料は色とりどりのカラーテープ。作業はとてもかんたんです。それぞれのアイディアを活かして、蔡さんといっしょに楽しく花火づくりに挑戦しよう!
* 出来上がった作品は、美術館前のグランモール公園工事壁に展示されます。

講師 蔡國強、子どものアトリエスタッフ
日程 2015年7月11日(土)
時間 10時~12時
会場 横浜美術館子どものアトリエ
対象 小学校1~6年生と保護者
定員 30組(1組最大子ども3名、保護者2名まで、抽選)
参加費 無料
申込締切 2015年7月3日(金)− 締め切りました

火薬ドローイング《遠行》(2010年、火薬・和紙・木製パネル、42枚組、作家蔵)の
爆破(参考図版)Commissioned by the Museum of Fine Arts, Houston for the Ting Tsung
and Wei Fong Chao Arts of China Gallery.  Photo by I-Hua Lee, courtesy Cai Studio

美術館ホームページより)

開始日2015/07/11
終了日2015/10/18
エリア神奈川県
時間10時~18時(入館は17時30分まで)
※夜間開館:2015年9月16日(水)、9月18日(金)は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休日木曜日
その他備考一般 1,500円(団体1,400円) 高校・大学生 900円(団体800円) 中学生 600円(団体500円) 小学生以下 無料
※団体は有料20名以上(要事前予約)
※毎週土曜日は、高校生以下無料(要生徒手帳、学生証)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※観覧当日に限り「蔡國強展:帰去来」の観覧券で横浜美術館コレクション展も観覧可
開催場所横浜美術館
アクセス〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目4番1号

TEL:045-221-0300(代表)
 FAX:045-221-0317
みなとみらい線(東急東横線直通)「みなとみらい」駅〈3番出口〉から、マークイズみなとみらい〈グランドガレリア〉経由徒歩3分、または〈マークイズ連絡口〉(10時~)から徒歩5分。
JR(京浜東北・根岸線)・横浜市営地下鉄「桜木町」駅から〈動く歩道〉を利用、徒歩10分。
http://yokohama.art.museum/visit/access.html