菅 木志雄 置かれた潜在性

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菅木志雄《捨置状況》1972/2013年 Collection: GLENSTONE  撮影:佐藤毅

「置かれた潜在性」
ものは、つねに<現在>である。
ものの現在性は、意識しなければ見えないものである。
だから、ものを見ようとするとき、ものの現在性を直視しなければならない。
ものの隠れたリアリティーを見ることは、世界の成り立ちを知ることでもある。

菅 木志雄 2014

《界律》1974/2006年 作家蔵  撮影: 菅木志雄
Courtesy of Tomio Koyama Gallery

このたび東京都現代美術館では、当館のコレクションを代表する美術家、菅木志雄(1944年-)の待望の個展を開催することとなりました。1968年に多摩美術大学を卒業した菅は、「もの派」と呼ばれるこの時代の美術動向を牽引してきた作家であり、概念的思考と物質を結びつけた70年代的な試みは近年、再び注目を集め、半世紀に及ぶその一貫した活動は内外で高い評価を受けています。

石や木、金属板などを素材として空間の中に形成される菅のインスタレーションは、物質と物質を一つの空間に共に存在させることによって立ち上ってくる「風景」の生成といえます。物質が集合して存在すること、そこから生まれる相互の連関性を感性豊かに制御することで空間や物質が変容を始めます。創作行為という介入の結果により空間を活性化すること、それが菅の作品の本質にはあると言えます。

菅の作品は、現代のヴァーチャルなネットワーク社会にあってフィジカルな複雑さと実感を伴った世界との接触を求める私たちの内的欲求を反映しており、それが今日の評価に結びついています。本展は物質と身体、空間について菅作品が内包する多くの示唆に富んだ視点を、菅のコンセプトが先鋭的にあらわれた1970年代を中心に紹介するものです。新作を含むインスタレーションや平面作品、そして初公開となる制作ノートや記録映像を通して、今日、重要性を増すその思考と創造の独創的なありかたが明らかになることでしょう。

<展覧会のみどころ>

新たな空間で展開するインスタレーション
小石や木片だけでなく、工業素材であるワイヤーやアルミ、可変性のある水やワックスなど、身近な素材を用いて菅は、もののあり方や空間をめぐる本質的な問いを主題として、それぞれの展示空間のもつ固有の特質を感じ取り、これらのものを置いていきます。たてかけたり、よりかかりあったり、完結しないもの同士の依存関係によって成り立つ作品はいずれも、新たな空間ごとにその質は更新され続けていくのです。本展では、菅のインスタレーションが孕む、瞬間、瞬間の連なりにより、ものが存在していくことの意味にふれ、再考する機会となるでしょう。

《依存差》1973/2013年 作家蔵 撮影:撮影:佐藤毅

思考の航跡をあきらかにする制作ノート
1967年より菅は制作ノートと題して、ものや空間をめぐる様々な思考を徹底的に突きつめ、日々、それを言語化し、ノートに記す行為を継続してきました。それは、これまでの美術のあり方を根底から問い直し、独自の創造を追求するものでした。本展では、作品の制作と同等の意味をもつこれらノートをまとめて公開します。作品の構造や意味を示す、独創的なタイトルなどが、どのような思考の航跡を経て生まれてきたのか、あきらかになるでしょう。

空間を活性化するアクティヴェイション
菅の活動は、画廊やアトリエの外で作品を置いた段階で完結するのではなく、それらのものを新たに置きかえ、空間を活性化させるアクティヴェイションと呼ぶ行為によって展開してきました。本展では、1974年から本格化するアクティヴェイションの記録映像の数々を上映します。初公開となる多くの映像を通して、70年代の美術をめぐる状況が、写真とは別のかたちで浮かび上がってくるはずです。

《地為論》1977年 撮影:安齊重男

<作家略歴>

1944   岩手県に生まれる
1964   多摩美術大学絵画科に入学、その後、斎藤義重教室に進む
1967  「第11回シェル美術賞展」で1等賞受賞
1968 アトリエ近くで野展「積層空間」、その後70年代に数多くの野展を実施画廊での初個展「転位空間」(東京、椿近代画廊)、以後現在まで、東京、京都、盛岡等の画廊で毎年複数回の新作個展を行う
1969 『美術手帖』の「芸術評論」募集に「転位空間<未来のノートから>」(桂川青の筆名)を応募、佳作入選
1970  「第5回ジャパン・アート・フェスティバル」で大賞受賞、世界一周旅行
1971 宇部の「第4回現代日本彫刻展」で湖水に《状況律》を展示
1973  アクティヴェイションを本格的に開始、翌年からヴィデオ・インフォメーション・センターによる映像での記録が行われる
「第8回パリ青年ビエンナーレ」(パリ国立近代美術館、パリ市立近代美術館)
1976  「第2回シドニー・ビエンナーレ」(ニューサウス・ウェールズ美術館)
1978  「第38回ヴェネツィア・ビエンナーレ」(ジャルディーニ 日本館)
1981  「第16回サンパウロ・ビエンナーレ」(パルケ・イビラ・プエラ)
1984  「現代美術の動向Ⅲ 1970年以降の美術-その国際性と独自性」(東京都美術館)
1986 「前衛芸術の日本1910-1970」(パリ国立近代美術館)
1987  「もの派とポストもの派の展開 1969年以降の日本の美術」(西武美術館)
1988  「モノ派」(ローマ大学付属現代美術実験美術館)
1989  「第20回ビエンナーレ ミデルハイム・ジャパン」(ミデルハイム野外彫刻美術館)
1992 「70年代日本の前衛 抗争から内なる葛藤へ」(ボローニャ市立近代美術館他巡回)
1995  「1970年-物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」(岐阜県美術館他巡回)
1997  個展「菅木志雄展」(広島市現代美術館他巡回)
1998  個展「対話篇 菅木志雄」(山口県立美術館)
1999  個展「菅木志雄-スタンス」(横浜美術館)
2001  「Mono-ha」展(ケンブリッジ、ケトルス・ヤード・ギャラリー)
2005  個展「揺らぐ体空 菅木志雄 インスタレーション」(岩手県立美術館)
「もの派-再考」(国立国際美術館)
2014  個展「菅木志雄 配置された潜在」(コルマール、旧警備館)

菅木志雄《状況律》1971年 撮影:菅木志雄

<関連イベント>

*関連イベントに関しての追加、最新情報は美術館ホームページをご覧ください。

■対談 菅 木志雄 × 長谷川祐子■
日時|1月25日(日) 14:00‐   −終了しました−
開場|13:30
会場|東京都現代美術館 B2F講堂
参加費|不要 (但し、本展のチケットの提示が必要です。)
定員|200名様 (先着順となります)

■ アクティヴェイション 菅 木志雄 ■
菅 木志雄によるアクティヴェイション
日時|3月7日(土) 14:00‐
会場|東京都現代美術館
参加費|不要 (但し、本展のチケットの提示が必要です。)

■ 菅 木志雄 展 ガブリエル・オロスコ展 共同企画 ■
松井みどり(美術批評家)によるレクチャー
日時|1月31日(土) 15:00‐   −終了しました−
開場|14:30
会場|東京都現代美術館 B2F講堂
参加費|不要 (但し、本展もしくはガブリエル・オロスコ展のチケットの提示が必要です。)
定員|200名様 (先着順となります)

■ トーク 「1970年代をめぐって」 ■
手塚一郎(ヴィデオ・インフォメーション・センター代表) × 前山裕司(埼玉県立近代美術館学芸員)によるトーク
日時|2月14日(土) 14:00‐
開場|13:30
会場|東京都現代美術館 B2F講堂
参加費|不要 (但し、本展のチケットの提示が必要です。)
定員|200名様 (先着順となります)

*関連イベントに関しての追加、最新情報は美術館ホームページをご覧ください。

菅木志雄《Protrusion HZ-87》1987年 東京都現代美術館寄託

美術館ホームページより)

開始日2015/01/24
終了日2015/03/22
エリア東京都
時間10:00-18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休日月曜日
その他備考一般1,100円(880円)/ 大学生・専門学校生・65歳以上800円(640円)/ 中高生600円(480円)
小学生以下無料(保護者の同伴が必要です)
*( )内は20名以上の団体料金 *身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)は無料です。

*毎月第3水曜日は65歳以上の方は年齢を証明できるものを提示していただくと無料になります。

*本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。

* 同時開催の「菅 木志雄」「未見の星座」との2展、3展セット券もございます。 http://www.mot-art-museum.jp/museuminfo/
開催場所東京都現代美術館 (企画展示室地下2F)
アクセス〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
03-5245-4111(代表)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅B2番出口より徒歩9分

都営地下鉄大江戸線・清澄白河駅A3番出口より徒歩13分
http://www.mot-art-museum.jp/museuminfo/access.html