ホイッスラー展 James McNeill Whistler Retrospective

13)白のシンフォニー No.3(バーバー美術館)

《白のシンフォニー No.3》 1865-67年 バーバー美術館(バーミンガム大学附属)
The Barber Institute of Fine Arts, University of Birmingham

19世紀後半の欧米画壇において、最も影響力のあった画家の一人であるホイッスラーは、ロンドンとパリを主な拠点として活躍し、クロード・モネなど印象派の画家たちとも親交がありました。また、構図や画面空間、色彩の調和などに関して、日本美術からインスピレーションを得て独自のスタイルを確立したジャポニスムの画家として世界的に知られています。

本展は、新たな芸術誕生の牽引者となったジャポニスムの巨匠・ホイッスラーの全貌を紹介する、日本では四半世紀ぶりとなる大規模な回顧展です。

“美の物語は、パルテノンの大理石が刻まれ、北斎が、扇の富士山の麓に鳥の刺繍をした時にすでに完成している”

アメリカ人画家のジェームズ・マクニール・ホイッスラーは、このように述べて、美の規範を西洋の古典と日本美術に求めました。

《ノクターン:青と金色ーオールド・バターシー・ブリッジ》 1872-75年 テート美術館
©Tate, London 2014

ヴィクトリア朝の英国では、道徳主義を反映した、教訓的意味が含まれる絵画が隆盛を極めていましたが、ホイッスラーは、絵画は教訓を伝えるために存在するのではないと考え、「芸術のための芸術」を唱えた唯美主義を主導しました。

“音楽が音の詩であるように、絵画は視覚の詩である。そして、主題は音や色彩のハーモニーとは何のかかわりもないのである”

ホイッスラーはこう語り、1865年以降“ シンフォニー”、“ ハーモニー”、“ ノクターン” といった音楽用語を用いて、絵画の主題性や物語性を否定しました。同時代の潮流である、レアリスム(写実主義)、ラファエル前派、古典主義、象徴主義、ジャポニスムなど、さまざまな要素を取り入れて、唯美主義者として独自のスタイルを確立し、同時代、そして次世代の芸術家たちに広く影響を与えました。

《灰色と黒のアレンジメント No.2:トーマス・カーライルの肖像》 1872-73年
グラスゴー美術館 © CSG CIC Glasgow Museums Collection

ホイッスラー

ジェームズ・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)は、アメリカ・マサチューセッツ州に生まれ、幼少期をロシアで過ごした後、1855年、21歳の時に画家になることを志しパリに渡りました。パリでは、シャルル・グレールのアトリエに通う一方で、ギュスターヴ・クールベと出会い、レアリスム(写実主義)に感銘を受けます。そのため、ホイッスラーの初期の油彩画やエッチングなどの主題の選択や表現には、クールベの影響が色濃く表れています。

1859年には、彼の初期代表作のモデルともなった異母姉のデボラ・ヘイデンと彼女の家族が住むロンドンへ移住します。フランス語が堪能であったホイッスラーは、以降「クロス・チャンネル(英仏海峡を往来する)」の画家として、英国とフランスを中心に活動しました。

ロンドン移住後は、ラファエル前派の画家たちとも親交を深め、芸術は芸術のために存在するべきであるという理念に従い、唯美主義のリーダー的存在として英国の画壇において重要な役割を果たしました。また、日本美術との出会いは、彼の唯美主義者としての信条をもっともよく表している一連の風景画「ノクターン」を描くうえでも重要でした。ホイッスラーは、ジャポニスムの代表的画家として世界的に知られています。

“ダンディ“なホイッスラー
19世紀、ロンドンやパリを闊歩したのは、粋で皮肉屋、知的でエレガント、自らの美学に殉じる伊達男たち。人は彼らを「ダンディ」と呼びました。黒のフロックコートに身をつつみ、一房の白い前髪を上向きに整えた洒落た風貌のホイッスラーは、当時のダンディの代表的人物でもあり、自らモデルの衣装をデザインするなど、ファッションにもその美意識を発揮しました。また、ウィットに富むシニカルな弁舌や、結果的には破産に至ってしまったほどの、美術批評家ジョン・ラスキンとの徹底した裁判に代表される芸術論争も、当時の画壇やメディアの注目を集めました。

ホイッスラーと蝶
ホイッスラーは日本の家紋から着想を得て、自分のイニシャル「JW」を蝶の形に図案化し、サインとして花押のように作品に描きこみました。このサインもホイッスラーのジャポニスムを象徴するものです。本展出品作品にも、蝶のサインのある作品が多数あります。ぜひ会場で探してみてください。

《灰色のアレンジメント:自画像》 1872年 デトロイト美術館
© Detroit Institute of Arts, USA / Gift of Henry Glover Stevens /
The Bridgeman Art Library

<関連イベント>

最新情報については、美術館ホームページおよび特設サイトをご覧ください。

■記念講演会(ホイッスラー展)
(1)2014年12月6日(土) ※終了しました
(2)2015年1月17日(土)
14時~15時30分 ※13時30分開場
テーマ
(1)ホイッスラー その生涯と画業 ※終了しました
(2)ホイッスラー テムズ川の浮世絵師
講師
(1)小野 文子(本展監修者、信州大学学術研究院准教授 [教育学系])※終了しました
(2)馬渕 明子(国立西洋美術館 館長)
会場 横浜美術館レクチャーホール
定員 240名、事前申込不要
※当日11時より、レクチャーホール前で整理券を配布します。
入場料 無料

■学芸員によるギャラリートーク(ホイッスラー展)
(1)2015年1月9日(金)※終了しました
(2)2015年1月23日(金)
(3)2015年2月6日(金)
16時~16時30分
会場  企画展展示室
参加料 無料(当日有効の観覧券が必要です)
申込み 不要

■夜の美術館でアートクルーズ(ホイッスラー展)※受付は終了しました
閉館後の美術館で、学芸員の解説つきで展覧会をゆったり鑑賞できる人気のプログラム。
(1)2015年1月14日(水)
(2)2015年1月24日(土)
各回19時~21時
講師 ホイッスラー展担当学芸員
対象  18歳以上
定員  各回30名
参加費 おひとり3,500円
申込方法
参加希望日を選んで、美術館ホームページにある申込みフォームからのお申込みください(抽選)
3名様まで連名でお申込みいただけます
(1)2015年1月14日(水): ●受付終了
(2)2015年1月24日(土): ●受付終了
申込締切
(1)2014年12月11日(木)
(2)2014年12月25日(木)

《チェルシーの通り》 1888年頃 イェール英国芸術センター
Yale Center for British Art, Paul Mellon Collection

■親子で「ホイッスラー展」を見よう ※受付は終了しました
19世紀末のジャポニスムの画家、ホイッスラーの人物画を、親子で鑑賞しよう!
アトリエで画材に触れるコーナーもあります。
日程  2015年1月12日(月・成人の日)
時間  10時~12時
対象  小学校1年~6年生と保護者
定員  15組(1組3名まで) ※要事前申込、抽選
参加費 親子2名で1,000円(お1人追加で+500円)
申込方法
往復はがき ※受付は終了しました
締切 2014年12月26日(金)(必着)

《ライム・リジスの小さなバラ》 1895年 ボストン美術館
Museum of Fine Arts, Boston, Warren Collection-William Wilkins Warren Fund, 96.950.
Photograph ©2014 MFA, Boston

■ホイッスラー展関連ワークショップ 書でつくるオリジナルサイン ※受付は終了しました
講師: はなてる(書道家・絵描き)
ホイッスラーは自分のイニシャル「JW」を蝶の形に図案化し、サインとして作品に描き込みました。日本の家紋や花押(かおう)から着想を得たもので、ホイッスラーのジャポニスムを象徴する一つでもあります。
このワークショップでは、ホイッスラーに倣い、書道家のはなてるさんと“書”という方法でオリジナルサインづくりに挑戦します。まずは自分の名前を楷書で練習しながらイメージを膨らませ、徐々に線や点、心も踊る自由な“書”へ。その中からあなただけのサインを探し出していきましょう。
また、ワークショップ冒頭には、本展覧会担当学芸員が様々なエピソードを交えながら出品作の見どころを紹介します。
コース番号・日程 [51] 2015年1月25日【日曜、1回】
時間 10時30分~15時30分(昼休含む)
対象・定員 12歳以上、15名 ※要事前申込(抽選)
参加費 3,000円 ※材料費含む
申込方法
(1) 申込みフォーム
(2) 往復はがき
申込締切
2015年1月6日(火)(必着)●受付終了

講師プロフィール
はなてる
大阪府出身。大阪芸術大学芸術学部専攻科卒業。2004年 京都祇園にて初の書画展を開催し、以降、書・画・印を織り交ぜたスタイルで作家活動を開始。絵本、イラスト、ロゴデザイン、ライブペイントをはじめ書道教室や親子書画ワークショップなど多方面で活躍している。2014年7月に初の絵本『ありがとうのかぜ』を出版。

http://www.hanateru.net/

講師から:
人生最初の贈り物でもある「名前」には沢山の願いが込められています。
そして「書は人なり」という言葉が伝えるように「点・線・カタチ」にも人それぞれの表情や個性が映し出され、その移ろいゆく書の表現の一枚一枚に感動と発見があります。私は其処に書の真髄や面白さを感じています。
墨をすりながら、文字が持つ本来の意味やカタチからインスピレーションを受け取り五感の扉を少しずつ開けてゆくと、まっ白な紙の上に自ずと表現したいリズムやシルエットが浮かんできます。字の上手下手という概念を超えた、点と線のあそびから生まれる「新感覚の書」の時間を楽しんで頂けたら幸いです。

美術館ホームページおよび特設サイトより)

《肌色と緑色の黄昏:バルパライソ》 1866年 テート美術館
© Tate, London 2014

詳細、および最新情報については、美術館ホームページおよび特設サイトをご覧ください。

開始日2014/12/06
終了日2015/03/01
エリア神奈川県
時間10:00-18:00
※入館は17:30まで
※夜間開館:12月22日(月)~24日(水)は20:00まで開館 (入館は19:30まで)
休日木曜日、12月29日(月)~1月2日(金)
※ただし、12月25日(木)は開館
その他備考一般 1,500円(前売1,300円、団体1,400円)
高校・大学生 1,100円(前売900円、団体1,000円)
中学生 600円(前売400円、団体500円)
小学生以下 無料
開催場所横浜美術館
アクセスアクセス
■みなとみらい線(東急東横線直通)「みなとみらい駅」下車、3番出口からマークイズみなとみらい〈グランドガレリア〉経由、徒歩3分。または〈マークイズ連絡口〉(10:00~)徒歩5分。
■JR線、横浜市営地下鉄線「桜木町駅」下車、【動く歩道】を利用、徒歩10分。
■バス 「桜木町駅」から、市営バス156、292系統で「横浜美術館」下車。
http://yokohama.art.museum/visit/access.html