高松次郎「ミステリーズ」

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高松次郎《遠近法の椅子とテーブル》1966-67年 東京国立近代美術館蔵 撮影:上野則宏
© The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

高松次郎(1936-1998)とは何者か!? こんがらがったヒモ、光と影のたわむれ、おかしな遠近法の椅子やテーブル、たわんだ布、写真を撮った写真、そして単純さと複雑さをあわせもつ絵画…。1960年代から90年代まで、現代美術の世界をクールに駆け抜けた男のミステリーを、この冬MOMATが解明します。

高松の作品は、時期によって見かけも素材もばらばらです。そして、そのことが「高松次郎」というアーティストを少しわかりにくくしてきました。しかし、ばらばらな作品をくわしく見ていくと、いくつかの形や考え方が繰り返し現われることに気づきます。背後に一貫したつながりがひそんでいるのです。

この展覧会は、約50点のオブジェや彫刻、絵画、および約150点の関連するドローイングによって、近年、世界的な評価をますます高める高松の制作をご紹介するものです。アーティストの広大な思考世界を追体験しながら、作品に込められた謎を解くわくわく感を、どうぞ会場で味わってみてください。

【章の構成】
1. 「点」、たとえば、一つの迷宮事件 1960-1963
伝説のアーティスト・グループ、ハイレッド・センター(高松次郎+赤瀬川原平+中西夏之)の活動と並行して制作された初期のシリーズ、60年代初頭の〈点〉と〈紐〉をご紹介します。
(担当:桝田倫広)

高松次郎《誕生》1960年 三鷹市美術ギャラリー蔵
© The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

2. 標的は決してその姿を現さない 1964-1970s
高松を代表するシリーズ〈影〉から、木や鉄による立体のシリーズ〈単体〉〈複合体〉まで、60年代半ばから70年代後半の作品をご紹介。ヴェネチア・ビエンナーレ日本館への出品(1968年)など、高松の制作が大きく加速する時期です。
(担当:蔵屋美香)

高松次郎《No.273(影)》1969年 東京国立近代美術館蔵
© The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

3.それは絵画ではなかった 1970s-1998
70年代後半、高松は「絵画」に回帰します。しかしそれはふつうに言う「絵画」とはかなり異なる考え方に基づくものでした。 最晩年の知られざるシリーズ〈異食材〉も一挙公開!
(担当:保坂健二朗)

高松次郎《形 No.1202》1987年 国立国際美術館蔵
© The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

【高松次郎年譜】
1936(昭和11)年 2月20日、東京に生まれる。
1958(昭和33)年 東京藝術大学卒業。「第10回読売アンデパンダン」展(東京都美術館)に出品(以後、59, 61, 62, 63年に参加)。1963(昭和38)年 赤瀬川原平、中西夏之とハイレッド・センターを結成。
1964(昭和39)年  〈影〉の作品の制作を開始。
1967(昭和42)年 新宿のサパークラブ・カッサドール(インテリアデザイン:倉俣史朗)に〈影〉の壁画を制作。
1968(昭和43)年 第34回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館出品。
1970(昭和45)年 日本万国博覧会日曜広場に《遠近法の日曜広場》を設置。 第10回日本国際美術展「人間と物質」(コミッショナー: 中原佑介/東京都美術館他)に出品。「1970年8月:現代美術の一断面」展(東京国立近代美術館)に出品。
1972(昭和47)年 第8回東京国際版画ビエンナーレ(東京国立近代美術館他)に《THE STORY》を出品し国際大賞を受賞。
1977(昭和52)年 第6回ドクメンタ(カッセル、ドイツ)に出品。 国立国際美術館(大阪)に〈影〉の壁画を制作。
1980(昭和55)年 「現代の作家2 高松次郎・元永定正」展(国立国際美術館)開催。
1989(平成元)年 名古屋駅地下に壁画《イメージスペース・名古屋駅の人々》 を制作。
1996(平成8)年 個展「高松次郎の現在」(新潟市美術館、三鷹市美術ギャラリー)開催。
1998(平成10)年 6月25日に死去(享年62)。

【「ミステリー」に関する高松次郎の言葉】
私を強くひきつけるのは、例えば迷宮入り事件のように、未解決性、未決定性、可能性などの「空虚」を充満した事物であります。…いまだ姿をあらわさない魚は、大きさについてばかりでなく、釣るべき魚として完璧です。不可解な事件を警察は解明してはいけないのです。どうして探偵作家は、せっかく築きあげたみごとな空虚に、結末でもってスクラップをぎっしりつめてしまうのでしょう。 —高松次郎「精神的量子論(その一)」『美術史評』創刊号、1972年8月、p.22

《紐》を制作中の高松次郎 1963年頃
© The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

【関連イベント】

最新情報については美術館ホームページでご確認ください。

【担当キュレーターによるリレートーク】
2014年12月7日(日) 14:00-15:30
2015年1月23日(金) 18:00-19:30
2015年2月14日(土) 14:00-15:30
桝田倫広・蔵屋美香・保坂健二朗
場所:1階企画展ギャラリー
*申込不要、要観覧券

【講演会】
2014年12月6日(土) 14:00-15:30
「高松次郎を知る人々」
高島直之(美術評論家、武蔵野美術大学教授)、堀浩哉(美術家、多摩美術大学教授)
場所:地下1階 講堂
*聴講無料、申込不要、先着140名
*開場は開演30分前

【スピンオフ企画 座談会】
2014年12月20日(土) 14:00-15:30
「展覧会をつくる」
鈴野浩一・禿真哉(トラフ建築設計事務所)、菊地敦己
聞き手:保坂健二朗
場所:地下1階 講堂
*聴講無料、申込不要、先着140名
*開場は開演30分前

【高松次郎バースデー記念ミステリーイベント】
公演『台本』
原作:高松次郎『台本』(1970-74年、本展出品作はエディション版、1980年)
演出:神里雄大(作家、舞台演出家/岡崎藝術座主宰)
出演:上蓑佳代、遠藤麻衣(二十二会)、酒井和哉、吉岡亜美
日時:2月20日(金)18:00-19:30、2月21日(土)15:00-16:30
上演場所:1Fエントランスホール
事前申し込み:不要
観覧料:無料
*「高松次郎ミステリーズ」展観覧には別途料金が必要です。

本展に出品された高松次郎の作品の中に、動きの指示だけが断章的に書かれた『台本』というものがあります。『台本』は、寺山修司率いる天井桟敷が初の海外公演を行なった際、当初、演目予定の候補のひとつに挙げられていました。しかし、結局、上演されることはなかったようです。この幻とも言うべき高松の『台本』を、気鋭の舞台演出家・神里雄大が読み解き、高松の誕生日である2月20日(金)および21日(土)に上演いたします。

公演案内PDF

神里雄大
作家、舞台演出家/岡崎藝術座主宰。
岡崎藝術座は、東京都・神奈川県を拠点に活動する日本の演劇団体。作家でもある神里雄大が、自身の演出作品を上演する目的で2003年に結成。団体名の由来は、結成時に神里が友人の岡崎誠二に借金をしていたため。そのまま岡崎誠二が座長となった。
ペルー生まれ川崎育ちの神里の演出による作品は、色彩・言語感覚ともに、南米の<上から押さえつけられるような>太陽のイメージとともに、ニュータウンの無機質さ、神経質さも同時に兼ね揃えている。昨今は、政治や社会情勢への態度を積極的に作品に反映させながら、わかりあえない他者との共時性をテーマとした作品を発表している。2010年から2012年にかけ、3年連続でフェスティバル/トーキョーに参加。2011年より、セゾン文化財団ジュニア・フェロー。2012年には、Taipei Arts Festival2012 に正式招待され、初の海外公演を成功させた。2013年に発表した『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』は、岸田國士戯曲賞の最終候補に選ばれた。現在、新作『+51 アビアシオン, サンボルハ』による国内5都市のツアー公演を目前に控えている。
公式ページ

最新情報については美術館ホームページでご確認ください。

美術館ホームページより)

開始日2014/12/02
終了日2015/03/01
エリア東京都
時間10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
休日月曜日(2015年1月12日は開館)、年末年始(12月28日(日)- 2015年1月1日(木・祝))、1月13日(火)
その他備考観覧料:一般 900円 (600円)、大学生 500円 (250円)
*高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
*それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。
*キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。
*本展の観覧料で、当日に限り、同時開催の「奈良原一高 王国」と所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます。
開催場所東京国立近代美術館
アクセス〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
美術館には駐車場がございませんので,以下の公共の交通機関をご利用ください。