【福住廉】限界芸術百選プロジェクト第2弾「関係性の美学」

SONY DSC

《吉村大星「希望は捨てない」素材:パネル、紙、色鉛筆》

関係性の強調と錯綜

思想家の鶴見俊輔さんは限界芸術を「原始的なもの」であると言います。それは純粋芸術でも大衆芸術でもなく、しかし純粋芸術にも大衆芸術にもなりうるような、ある種の「母胎」であると。だとすれば限界芸術は現代美術と明確に峻別できる一ジャンルではなく、一見するとわかりにくいかもしれませんが、現代美術の基底にも隠されているはずです。

本展は、このような限界芸術と現代美術の関係性を探り出そうとするものです。どのような手段によって? もちろん、限界芸術の担い手と現代美術のアーティストによって。しかも、今回はこの関係性をより際立たせるために、もうひとつの関係性に重ね合わせてみました。

それは親子の関係性です。

<参加アーティスト>
小野田賢三+小野田藍(前橋)
小野田賢三さんは映像やサウンドアートを制作するベテランのアーティストで、ベルリンをはじめヨーロッパでも発表しています。息子の藍くんは美大を卒業した後、「ART NOW JAPAN」というフリーペーパーを発行しながら、最近になって作品を発表しはじめました。

西尾純一+西尾美也(奈良)
西尾美也さんは衣服をもとにさまざまなコミュニケーションとクリエーションを生み出す、気鋭のアーティスト。父親の西尾純一さんはミシンの部品をつくる職人でしたが、リタイアした今は自宅にF1サーキットのミニチュア盤を自作したり、オリジナルの映像作品をYOU TUBEに大量に投稿したり、精力的に制作活動を繰り広げています。

吉村芳生+吉村大星(山口)
吉村芳生さんは、鉛筆で自画像を毎日描いたり、新聞紙や金網を丸ごと描き写したり、誰もやらなかったことを延々とやり続けてきた驚異のアーティスト。その一人息子である大星くんは、芳生さんと同じ手法によって、彼が愛する野良猫を正確無比に描き出しています。

はたして、これらの親子たちは、どちらが限界芸術でどちらが現代美術なのか? この問いに厳密に答えることがバカバカしくなるほど、限界芸術と現代美術の関係性は、親と子の濃密な関係性によって上書きされつつも、同時に大いに錯綜されるでしょう。そのとき、いったいどんな「芸術」が浮かび上がってくるのか? 90年代以降に現れた観客参加型のアートの系譜をではなく、このきわめて実験的なプロジェクトをこそ、文字どおりの意味で「関係性の美学」と呼びたいと思います。

(福住廉)

展覧会チラシ − 表
(クリックすると拡大します)

<関連イベント>
小野田賢三さん・藍さん 親子と行く!越後妻有

展覧会出品作家の小野田さん親子と一緒に、豪雪地の越後妻有の冬を体験しましょう。

作家とのワークショップはもちろん、地元の名物おじいちゃんの家をたずね、古民家に宿泊する豪華な内容です。展覧会キュレーター福住廉さんも登場します。

日程:2015年2月21日(土)~22日(日)
集合:2月21日(土)13:00 まつだい「農舞台」
解散:Aコース=2月21日(土) 18:00 まつだい駅
Bコース=2月22日(日)9:30 まつだい駅
Cコース=2月22日(日)13:00 十日町駅

詳しくはこちら

大地の芸術祭ホームページ:
http://www.echigo-tsumari.jp/calendar/event_20141115_0329

Facebook:
https://www.facebook.com/satoyamanogenkaigeijutsu?fref=ts

大地の芸術祭ホームページより)

開始日2014/11/15
終了日2015/04/19
エリア新潟県
時間10:00-17:00(最終入館16:30)
休日水曜日、12月29日〜1月3日
その他備考大人600円、こども(小中学生)300円
開催場所まつだい農舞台ギャラリー
アクセス新潟県十日町市松代3741−1
お問い合わせ
「大地の芸術祭の里」総合案内所
TEL 025-761-7767
まつだい「農舞台」
TEL 025-595-6180
JR上越新幹線越後湯沢駅にて北越急行ほくほく線もしくはJR上越線特急乗り換え→まつだい駅徒歩3分