奈良原一高 「王国」

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《「王国」より沈黙の園》1958年 ©Narahara Ikko Archives

戦後を代表する写真家のひとり、 奈良原一高が1958年に発表した シリーズ「王国」。
北海道の修道院と、和歌山の女性刑務所という、極限状況を生きる人間をテーマにしたこの初期の代表作を、プリント全87点によって紹介します。

人間の限界状況を描いた奈良原一高の「王国」展は、おそらく本年度最高の
写真展であろう。常に問題意識をたずさえて対象に喰い込んでゆく
この新人には、これからも大いに期待がかけられる。
―『芸術新潮』1958 年12 月号 「ことし活躍した写真家」

戦後新世代の台頭を印象づけた重要作、全体像の紹介は東京では56年ぶり

奈良原一高(1931年生まれ)は、戦後に登場した世代を代表する写真家の一人として知られます。彼が1958(昭和33)年に発表した「王国」は、北海道の修道院と、和歌山の女性刑務所という、それぞれ外部と隔絶された空間に生きる人間存在を見つめた作品です。ほぼ無名の新人の個展としては例外的な反響を呼び、鮮やかなデビューとなった1956年の個展「人間の土地」に続いて、極限状況を生きる人間というテーマを深化させた本作は、日本写真批評家協会賞新人賞を受賞するなど、奈良原の評価を確立するものでした。

今回の展覧会は、2010(平成22)年度に株式会社ニコンより寄贈を受けたプリント全87点により、この初期の代表作「王国」を紹介するものです。

《「王国」より沈黙の園》1958年 ©Narahara Ikko Archives

■「王国」について

「王国」は、1958年に個展(富士フォトサロン、東京および大阪)と雑誌グラビアページ(『中央公論』1958年9月号)において、女性刑務所に取材した「王国(その1)壁の中」と、修道院を舞台とする「王国(その2)沈黙の園」の二部構成で発表されました。

その後、1971年に中央公論社から「映像の現代1」として刊行された写真集『王国』(英題はMan and his Land)では、当初の第一部と第二部を入れ替え、さらに1956年発表の「人間の土地」シリーズより、長崎沖の炭鉱の島、通称“軍艦島” に取材したシリーズを第三部とする構成へと変更されます。そして1978年、朝日ソノラマからソノラマ写真選書第9巻として刊行された写真集『王国 ―沈黙の園・壁の中―』では、再び「沈黙の園」60点、「壁の中」30点、全90点からなる二部構成へと編み直されています。この1978年版では、Domainsという英題が与えられました。

今回展示する、株式会社ニコンから寄贈を受けた87点は、1978年版写真集での構成をほぼ踏襲するものです。

《「王国」より壁の中》1956-58年 ©Narahara Ikko Archives

■ 奈良原一高 ならはら いっこう(1931- )

福岡県に生まれる。中央大学法学部卒業後、早稲田大学大学院で美術史を専攻。在学中の1956年に開いた個展「人間の土地」(松島ギャラリー、東京)で注目される。58年個展「王国」(富士フォトサロン、東京・大阪)により日本写真批評家協会賞新人賞を受賞。59年、東松照明、細江英公らとセルフ・エージェンシーVIVOを結成(61年解散)。62年から65年まで滞欧。帰国後出版した写真集『ヨーロッパ・静止した時間』(鹿島研究所出版、1967)により日本写真批評家協会賞作家賞(1967)、芸術選奨文部大臣賞(1968)受賞。70年から74年まで滞米、帰国後滞米中の作品を写真集『消滅した時間』(朝日新聞社、1975)としてまとめる。86年、写真集『ヴェネツィアの夜』(岩波書店、1985) により日本写真協会賞年度賞。96年紫綬褒章受章。2005年日本写真協会賞功労賞受賞。

奈良原一高《「王国」より壁の中》1956-58年 ©Narahara Ikko Archives

<イベント情報>
■講演会
増田玲(東京国立近代美術館主任研究員/本展企画者)
日程: 2014年12月13日(土)
時間: 14:00-15:30
場所: 地下1階講堂
13:30開場、聴講無料、申込不要(先着150名)

■ギャラリー・トーク
小林美香(東京国立近代美術館客員研究員)
日程: 2015年1月16日(金)
増田玲(東京国立近代美術館主任研究員/本展企画者)
日程: 2015年2月6日(金)
いずれも18:00-19:00、会場にて。参加無料(要観覧券)、申込不要

最新情報、詳細につきましては美術館ホームページをご覧ください。

《「王国」より壁の中》1956-58年 ©Narahara Ikko Archives

美術館ホームページより)

開始日2014/11/18
終了日2015/03/01
エリア東京都
時間10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
休日月曜日(11月24日、2015年1月12日は開館)、11月25日(火)、年末年始(12月28日(日)-2015年1月1日(木・祝))、1月13日(火)
その他備考観覧料:一般 430円 (220円)、大学生 130円 (70円)
*高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
*それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。
*キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。
*本展の観覧料で、当日に限
り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます。
無料観覧日: 12月7日(日)、2015年1月2日(金)、1月4日(日)、2月1日(日)、3月1日(日)
開催場所東京国立近代美術館
ギャラリー4 (2F)
アクセス〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1
東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
美術館には駐車場がございませんので,以下の公共の交通機関をご利用ください。