東京アートミーティング(第5回) 新たな系譜学をもとめて – 跳躍/痕跡/身体

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シャロン・ロックハート《Five Dances and Nine Wall Carpets by Noa Eshkol》2011年
© Sharon Lockhart, 2011 Photo: Jens Ziehe, Berlin
Courtesy the artist, neugerriemschneider, Berlin, Gladstone Gallery,
New York and Brussels, and Blum & Poe, Los Angeles. [参考図版]

先の見えにくい不安な時代、人は確かなものとしてまず自分の身体を確認しようとします。この身体にある感覚や記憶、知恵がどこからきたのか痕跡をたどろうとするのです。

ダンス、能・狂言や歌舞伎などの伝統芸能、演劇、スポーツ、武道などの身体表現は、言語を超えたコミュニケーションとして、あるいはローカルなトポスや文化の記憶として、私たちの精神生活に深くかかわってきました。にもかかわらずそれらの多くは、アートの歴史において、モダニズムの価値観からとりこぼされてきたのです。

本展「新たな系譜学をもとめて」は、身体に残された記憶や知の痕跡が、それぞれの時代の表現にとりいれられ、新たな創造を産み出してきた系譜をたどり、現在の表現を見直すことを意図しています。今回は狂言師であり、現代演劇やパフォーマンスへの出演や演出でも活躍する野村萬斎を総合アドバイザーにむかえます。その身体は600年にわたる伝統の型を継承しながら、現代まで一気に跳躍して、さまざまな現代の表現と交わることで、新しい創造の遺伝子をつくりだしています。例えば、極限まで簡潔化された能の動きは、言葉を排して、ミニマルな形の反復を特徴としたダムタイプとつながり、新たな系譜学の可能性を示唆します。

本展は、絵画、映像、インスタレーション、50年代以降の能や舞踏など前衛とのかかわりをたどる資料展示や、会場内で行なわれるパフォーマンスとあわせて構成されます。従来のアートにおけるパフォーマンス展にはなかった、新しい展示の試みとなります。

総合アドバイザー
野村 萬斎 のむら まんさい
狂言師。1966年生。人間国宝・野村万作の長男。祖父故6世野村万蔵及び父に師事。重要無形文化財総合指定者。

東京芸術大学音楽学部卒業。「狂言ござる乃座」主宰。国内外の狂言・能公演はもとより、現代劇や映画の主演、古典の技法を駆使した作品の演出、NHK『にほんごであそぼ』に出演するなど幅広く活躍。現代に生きる狂言師として、あらゆる活動を通し狂言の在り方を問うている。世田谷パブリックシアター芸術監督。

チェルフィッチュ「スーパープレミアムソフトWバニラリッチ」2014年
© Christian Kleiner [参考図版]

本展のみどころ

1)アートにおける従来のパフォーマンス展にはなかった、自在な時空間の移動によって系譜学をたどる旅があなたを待っています。600年分のワープ、あるいは現代から過去へ逆行する旅。室町時代、19世紀、50年代―そして現在へ。

2)時間芸術であるパフォーマンスを空間的な展示としても体験できる様々なハイブリッドな試みが展開されます。チェルフィッチュ、岡田利規による”見出された”コレオグラフィが、観客が立つ位置によって、 「ダンス」にも「演劇」にもみえる新作インスタレーション。加速するデジタルイメージと生身の身体を重ね、鋭い社会批評を展開してきたダムタイプ。彼らの過去から現在の創造が一つの空間に集約され、観客がその中を旅する新作インスタレーションとなります。

*ダムタイプの新作展示期間は9/27~11/16

3)身体の動きが絵画表現につながった「具体」や、抽象表現主義の画家たちの作品の流れを、デジタル時代に継承した、今最も注目されている現代画家の一人、ジュリー・メーレトゥ。都市や建築の緻密なドローイングの上に大胆なストロークを重ねた、水墨画にも表現主義にもみえるメーレトゥの絵画を展示します。

4)優れたパフォーマーの妙技、美技の秘密を視覚的に分析するアーティストのアプローチ。
天才プレイヤー、ジダンをとらえた17台のカメラ。この映像を中田英寿が独自の視点で分析解説。
野村萬斎の狂言から多様なジャンルへの取り組みまでをヴィジュアルアーカイブとして構成、一人の身体に刻まれた系譜学をたどります。
他者の身体記憶を再現―シンガポールのチョイ・カファイによる歴代の名パフォーマーの動きを電気信号におきかえ、伝達するプロジェクト。

5)インバル・ピントが初めて美術館用に制作した新作ダンスパフォーマンス「ウォールフラワー」-森山未來をはじめとする10人のダンサーが、壁から滑り出し空間に飛散する色とりどりの花を、身体を通して描き出します。画家でもあるインバルが描く、ダンスイメージのもとになった、幻想性とあたたかみにあふれたドローイング、本作の元となった初期ダンス作品「DIO-CAN」の記録をあわせて展示します。
*インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニー「ウォールフラワー」の動画はこちら

6)野村萬斎と高谷史郎のコラボレーションによるライブ―伝統と最先端クリエイションの出会い。野村が「三番叟」「ボレロ」を天井高20 mのアトリウムを舞台に舞います。伝統を革新し続ける野村の身体が、高谷のハイパーデジタルセンシビリティによって構築された舞台装置の中で、未来にむけてさらなるワープをします。三番叟の舞が日食の闇から光を呼び覚まします。(東京都現代美術館開館20周年記念事業として実施します。)

ダムタイプ「Voyage」2002年 Photo: Kazuo Fukunaga [参考図版]

出品作家

チェルフィッチュ|チョイ・カファイ|ダムタイプ|
ダグラス・ゴードン&フィリップ・パレーノ|金氏徹平 |
シャロン・ロックハート、ノア・エシュコル|アンリ・マティス |
ジュリー・メーレトゥ|村上三郎|エルネスト・ネト |
野村萬斎|大植真太郎+森山未來+平原慎太郎 |
インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニー|
ジャクソン・ポロック|Dentsu Lab Tokyo & Rhizomatiks |
白髪一雄|田中敦子 | サイ・トゥオンブリー|吉原治良

*ダムタイプの新作展示期間およびアンリ・マティスの展示期間は9/27-11/16
*出品作家の詳細は「アーティスト」ページをご覧ください。

パフォーマンスプログラムA キュレーター:中村茜
パフォーマンスプログラムB キュレーター:塚原悠也(contact Gonzo)

特別協力:中田英寿

インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニー
「ウォールフラワー」2014年7月 Photo: Rotem Mizrahi

公演プログラム
最新情報につきましては美術館ホームページをご覧ください。

会場: 東京都現代美術館 企画展示室B2Fアトリウム

インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニー 「ウォールフラワー」
日時: 10月24日(金)19:00開演|25日(土)14:00/ 19:00開演|26(日)11:00/ 15:00開演
料金:別途公演チケットが必要となります。
※チケットの発売時期、購入方法等の詳細につきましては決まり次第随時美術館HPにてお知らせします。

野村萬斎+高谷史郎 「三番叟」、「ボレロ」
日時: 「三番叟」2014年12月3日(水)、 「ボレロ」12月17日(水)
料金:別途公演チケットが必要となります
※公演日時、チケットの発売時期、購入方法等の詳細につきましては決まり次第随時美術館HPにてお知らせします。

岡田利規「ポストラップ」
日時:2014年12月23(火・祝)12:00/14:00/16:00開演
料金:本展チケットでご覧いただけます。
岡田利規インタビュー動画はこちら(YouTubeへ移動します

上記公演に加え、会期中、国内とアジア地域の若手アーティストを紹介するパフォーマンスプログラムを開催します。本プログラム・キュレーターとして、これまでパフォーミングアーツ企画を数多くプロデュースしてきた中村茜と、アーティストユニットcontact Gonzoのメンバーとして美術とダンスの分野を横断的に活動する塚原悠也を迎え、国内外で活躍する二人の視点からアートとパフォーマンスのもう一つの系譜をたどります。

「プログラムA」(企画:中村茜):10月開催予定
「プログラムB」(企画:塚原悠也):12月開催予定
※企画詳細や公演プログラムのチケットの発売時期、購入方法につきましては美術館HPにてお知らせします。

金氏徹平《「家電のように解り合えない」のための舞台美術》2011年
(あうるすぽっと、東京)撮影:青木司

【関連イベント】

出品作家によるアーティスト・トーク
日時:2014年9月27日(土)
15:00~チョイ・カファイによるレクチャー&デモパフォーマンス
15:30~高谷史郎(ダムタイプ)
会場:東京都現代美術館企画展示室地下2階アトリウム
*要当日有効の本展チケットをお持ちの上、会場へお集まりください。

渡邊守章 講演会
日時:2014年11月22日(土)13:00開始
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2Fアトリウム
要当日有効の本展チケット

中田英寿 トークイベント
日時:2014年11月30日(日)15:00開始
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2Fアトリウム
要当日有効の本展チケット

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東京藝術大学における関連プログラム

野村萬斎公開ワークショップ
日時: 10月27日(月)10:30~
会場: 東京藝術大学音楽学部 能ホール
定員:100名
入場料:無料

最新情報につきましては美術館ホームページをご覧ください。

(美術館ホームページより)

エルネスト・ネト《hene yube rio jiboia gente é um sopro que atravessa a gente》2014年
Installation view at CCBB Brasilia Photo: Joana França

開始日2014/09/27
終了日2015/01/04
エリア東京都
時間10:00〜18:00*入場は閉館の30分前まで
休日月曜日(10/13、11/3、11/24は開館)、 10/14、11/4、11/25、12/28- 2015/1/1
その他備考一般1,200円(960円)/ 大学生・専門学校生・65歳以上900円(720円)/ 中高生600円(480円)
小学生以下無料(保護者の同伴が必要です)
*( )内は20名以上の団体料金
*身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付き添いの方(2名まで)は無料です。
*毎月第3水曜日は65歳以上の方は年齢を証明できるものを提示していただくと無料になります。
*本展チケットで「MOTコレクション」もご覧いただけます。
同時開催の「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展との2展セット券 一般1,600円、大学生・65歳以上1,300円、中高生900円
開催場所東京都現代美術館 企画展示室1F、B2F
アクセス〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
03-5245-4111 (代表)
03-5777-8600 (ハローダイヤル)
東京メトロ半蔵門線・清澄白河駅B2番出口より徒歩9分
都営地下鉄大江戸線・清澄白河駅A3番出口より徒歩13分
http://www.mot-art-museum.jp/museuminfo/access.html