映画をめぐる美術 ―マルセル・ブロータースから始める

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アナ・トーフ《偽った嘘について》2000年[2007年、アントワープ現代美術館での展示風景]
アントワープ現代美術館蔵
Courtesy Museum of Contemporary Art, Antwerp (M HKA) © photo: Ana Torfs

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映画をめぐる美術。「映画」そのものではなく、映画をめぐる「美術」。このタイトルが指し示す展覧会とは、いったいどんなものか。まずは英語のタイトル「Reading Cinema, Finding Words (映画を読む、言葉を探す)」が、ひとつのヒントになるかもしれません。映画とは視る(そして聴く) ものだ、というのが普通だとして、この展覧会では、映画を「読む」ことが問題になります。
では、ここで言う「映画を読む」とはどのような行為か。次にヒントになるのが、サブタイトルの「マルセル・ブロータースから始める」です。マルセル・ブロータースとはベルギー出身の芸術家の名です。オブジェや写真・短編映画の制作、著述活動など幅広い創作を展開したブロータースは、1960年代半ばから70年代半ば、戦後美術の転換期に唯一無二の存在感を示しました。
この展覧会がブロータースから始まるのは、彼が、自身の映画を言語の拡張として捉えていたことによります。もともと詩人として出発したブロータースが最終的に映画に行き着いたのは、映画の「動く像(moving image)」という特質を、言語にないものとして重視したからではないようです。ブロータースの映画の特徴は、普段は当たり前すぎて気にも留めない言葉やイメージが、不透明で見慣れぬ、ノンセンスなものとして立ち現れてくることにあります。そのような事態を前に私たちは、言葉とイメージの間、言葉と言葉の間、そしてイメージとイメージの間を跳躍し、自らそこに接続線を引くような行為、すなわち映画を「読む」ことへと誘われていきます。
本展覧会は、ユーモラスかつエレガントな振る舞いで、言葉とイメージの関係を浮かび上がらせるブロータースの実践を手がかりに、現在、国際的に活躍する美術家13名のフィルム、写真、ヴィデオ、インスタレーション等の作品を読み解いてみようという試みです。
美術館で映画を読む、それはきっと刺激的な体験になることでしょう。

出品作家:

マルセル・ブロータース(1924−1976)
シンディ・シャーマン(1954−)
アイザック・ジュリアン(1960−)
ダヤニータ・シン(1961−)
アナ・トーフ(1963−)
ピエール・ユイグ(1962−)
ドミニク・ゴンザレス= フォルステル(1965−)
アクラム・ザタリ(1966−)
ミン・ウォン(1971−)
やなぎみわ(1967−)
エリック・ボードレール(1973−)
アンリ・サラ(1974−)
田中功起(1975−)

<イベント情報>

* 最新情報については美術館ホームページをご覧ください。

▶連続ギャラリー・トーク

「映画をめぐる美術」という展覧会タイトルからは、映画についての美術、映画と美術、映画ではなく美術、映画vs美術など、二つのジャンルをめぐってさまざまなテーマが引き出されてきます。この「連続ギャラリー・トーク」では、美術の側から2名、映画の側から2名をお招きし、作品を前に語っていただきます。

深田 晃司(映画監督)

日程:2014年4月26日(土)

牧口 千夏(京都国立近代美術館研究員・本展企画者)

日程:2014年5月3日(土)

ダヤニータ・シン(出品作家)

日程:2014年5月10日(土)

「緊急企画|建築家が語る、会場構成のこれから」

日程:2014年5月17日(土)

本展をはじめ、当館の所蔵品ギャラリーリニューアルや数々の展覧会で会場デザインを手掛けられている建築家の西澤徹夫さんに、建築家の視点からみる展覧会の会場デザインの可能性についてお話いただきます。

出演:西澤徹夫(建築家・本展会場デザイン担当)、 日埜直彦(建築家)
司会:三輪健仁(当館主任研究員)

朗読イベント

日程;2014年5月24日(土)

本展のチラシにもある「映画を“読む”、言葉はどこかしら?」というフレーズ。言葉を「聞く」朗読を通して、言葉を探す旅に出ましょう。出演は、気鋭の作家温又柔さんと音楽家の小島ケイタニーラブさん。台湾語、中国語、日本語そしてエスペラントと、複数の言語をまたぐ小説を書かれている温さんの朗読と、朗読劇「銀河鉄道の夜」でも音楽を担当している小島さんのコラボレーションによる今回のための特別プログラム。お楽しみに。

出演:温又柔(小説家)、小島ケイタニ―ラブ(音楽家)

岡田 秀則(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員)

日程:2014年5月31日(土)

いずれも14:00-15:00、企画展ギャラリー(1 階)にて
参加無料、申込不要、要観覧

▶金曜の夕べの特集上映

13名の出品作家のうち、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、ミン・ウォンの特集上映を催します。いずれも、この企画のために作家本人がプログラムを組んでくれた特別版。お見逃しなく。

特集|ドミニク・ゴンザレス=フォルステル

日程:2014年4月25日(金)、2014年5月9日(金)、2014年5月23日(金)

上映作品|「最初から[De Novo]」(2009 年)/ 「ノーリターン[No Return]」(2009 年) / 「ロミリー[Romilly]」(2012 年) / 「Belle comme le jour」[トリスタン・ベラとの共作](2012年)/ 「アトミック・パーク [Atomic Park]」(2004 年)

いずれも18:30-19:30、企画展ギャラリー(1 階)にて
無料、申込不要、要観覧券

特集|ミン・ウォン

日程:2014年5月25(金)、2014年5月16日(金)、2014年5月30日(金)

上映作品|「不安を食いつくす[Angst Essen / Eat Fear ]」(2008年) /「ペトラ・フォン・カントとドイツ語を学ぼう[ Learn German with Petra Von Kant]」(2007年)/ 「明日、発ちます[Devo partire. Domani / I must go. Tomorrow.]」より「母」(2010年)/ 「コンタクトホープ[Kontakthope]」(2010年)/「メイキング・チャイナタウン[Making Chinatown]」より抜粋(2012年)

いずれも18:30-19:30、企画展ギャラリー(1 階)にて
無料、申込不要、要観覧券

ダヤニータ・シン《ファイル・ルーム》2013年  © Dayanita Singh

ピエール・ユイグ《第三の記憶》1999年
© Pierre Huyghe, courtesy Marian Goodman Gallery, Paris/New York

アクラム・ザタリ《明日にはすべてうまくいく》2010年
Courtesy of Thomas Dane Gallery, London © Akram Zaatari

エリック・ボードレール《重信房子、メイ、足立正生のアナバシス、そして映像のない27年間》2011年
カディスト美術財団蔵
Courtesy of Kadist Art Foundation © Eric Baudelaire

アンリ・サラ《インテルヴィスタ》1998年  © Anri Sala

オーディオ・コメンタリー配信中!

本展の出品作のうち7つの映像作品について、展覧会スタッフがおしゃべりをしている音声をYoutubeで配信中。下記展覧会HPの最下部から聞くことができます。

http://www.momat.go.jp/Honkan/readingcinema/index.html#event

本展「映画をめぐる美術――マルセル・ブロータースから始める」は、「視る」ではなく、「読む」がキーワード。そんな本展を「聞く」サービスとして、オー ディオ・コメンタリーを配信します。最近の映画のDVDには必ずと言ってよいほどついてくるオーディオ・コメンタリー。監督や関係者が本編を見ながら撮影 秘話などのよもやま話をしてる、あれです。そこで、映像作品が多数出品されている本展をより多くのみなさんに身近に感じていただくべく、いくつかの出品作 にコメンタリーをつけてみました。いずれも、映画のDVDに習って本編とリアルタイムでお話しています。再生可能な端末機器をお持ちの方は、会場で映像が 始まると同時に再生ボタンを押せば、同時進行でお楽しみいただけます(音が他の方の鑑賞の妨げにならないよう、イヤフォン/ヘッドフォンでお聞きください ね)。お持ちでない方はごめんなさい、でも、ぜひ展覧会を観る前/観た後に、ご自宅でラジオを聞く感覚で音声をお楽しみください。
展覧会の内容をより深く知ることのできる音声ガイドではありません。そして、作品を解説するギャラリートークよりもユルいです。でも、そんな雰囲気だから出てきたちょっとしたエピソードや作品への気づき(つっこみ?)がいろいろ収録されています。ぜひ聞いてみてください。

話している人:
岡田秀則|東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員
西澤徹夫|建築家/本展会場デザイン設計者
牧口千夏|京都国立近代美術館研究員/本展企画者
三輪健仁|東京国立近代美術館主任研究員/本展担当者
柴原聡子|東京国立近代美術館広報
番外編《コーヒーと旅》:小島ケイタニ―ラブ|音楽家/本オーディオ・コメンタリー サウンドテクニカル担当

聞く方法:
1) 作品ごとに、当館のYoutubeチャンネルにアップしております。下記からも視聴(音声のみのファイルとなります)いただけます。会場でも各 Youtubeファイル先にリンクしたQRコードがプリントされた配布物をご用意しております。Youtubeの再生が可能な端末機器をお持ちの方は、こ ちらを読み取ってリンク先にアクセスし、視聴することが可能です。

2) 下記のリンク先から音声ファイル(ファイル形式:mp3)を試聴/ダウンロードいただけます。展覧会場では部分的に携帯の電波が入りづらい場所もございま すので、会場で確実にお楽しみいただきたい方は、事前にご自身のスマートフォンやタブレット等の端末機器にダウンロードの上、再生されることをおすすめし ます。リンクをクリックすると試聴、右クリックで保存が選択できます。

【お願い】
本展は撮影禁止です。会場でのカメラ/カメラ機能のついた携帯端末による撮影はご遠慮ください。

美術館ホームページより)

開始日2014/04/22
終了日2014/06/01
エリア東京都
時間10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) *入館は閉館30分前まで
休日月曜日(5 月5 日は開館)、5 月7 日(水)
その他備考一般850(600)円 大学生450(250)円
*高校生以下および18歳未満、障害者手帳などをご提示の方とその付添者(1名)は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*上記料金で入館当日に限り、同時開催の「MOMATコレクション」、「特集 地震のあとで:東北を思うⅢ」および、工芸館で開催の所蔵作品展「花」もご覧いただけます。
2 回目はお得!
本展使用済入場券をお持ちいただくと、2 回目は特別料金(一般430 円、大学生130 円)でご覧いただけます。
開催場所東京国立近代美術館
アクセス東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
〒102-8322 千代田区北の丸公園3-1