【市川孝典】CLOCK MOVEMENT WATCH

ichikawa kosuke 201305

土曜日の夕方観に行きました。
少しずつ暗くなる時間、ナディッフ・ギャラリー地下へたどり着くと、壁一面の時計の作品と、時計の中身と言える歯車の作品がありました。
壁一面の時計の一つ一つははっきりとした輪郭のもの、ぼやけたもの、針の位置もみなばらばらで、遠くから見ても圧巻ですが、近くで一つの時計をじっと見て焦げ具合をみると焦げ色にもバリエーションがあることに気がつきます。

私が市川さんの作品をいいなあと思うのは、自分の知っている描くということではないからかもしれません。遠くからみて、どうやって描いたのかわからない感じ、近くで見て、その焦げの一つ一つを眺めて、その焦げ穴をみつめていると時計の絵を見ているということを忘れて、その細部に集中してしまうせいかもしれません。

(以下 ギャラリ−ホームページより)

この度、ナディッフ・ギャラリーでは2度目となる市川孝典の作品をご紹介いたします。

市川孝典が国内で発表してきた作品は、線香の微かな炎の焦げ跡で仕立て上げる絵画スタイルで、近年では〈線香画〉とも称され注目を浴びています。自 分の記憶を辿って線香の焦げ跡で描き出される無数の穴は、触れただけで崩れてしまいそうな緊張感と大胆に濃淡をつけて紡ぎ出された作品世界です。

この度の新作は、同様の技法をベースにしながら、初めて彩色をほどこし、切り貼りをした非常に手の込んだ作品となります。線香の焦げ跡が描出する微 細な陰影は、市川の手で切り刻まれたのち再構築され、精緻な内部構造をもつ時計のmovement に見立てたコラージュ作品、「CLOCK MOVEMENT WATCH」となりました。ナディッフ・ギャラリーにて、合計約85点の新作が初お目見えとなります。

特殊加工で仕上げられた額装も含めて、市川孝典のユニークな美学の深化形を、是非ご高覧ください。

Artist Statement

時計のこと

幼い頃祖父の時計や機械を分解してめちゃくちゃに組み直していた。
しかしバラバラになった歯車や部品は翌日には魔法のように直っていた。
祖父は技術者だった。
祖父の机においてある図面が好きだった。
図面の中のそれは幼い自分にとってキラキラしたガラクタ箱のように写っていた。
幼い自分が組み立て直した機械は動かないし、歯車もガチガチ。
けれど、めちゃくちゃに組み立てられた歯車は、宇宙や星屑、月、草原の草花の様に見えていた。

作品のこと

紙を煙にして、記憶の中の映像を定着させる。
それは記憶が消え行くことへの恐怖をなくすための行為である。
人の体温、温度、音、におい、湿度、光など、
ふとしたときに勝手に甦る記憶の映像
それのすべては、何の感情も感動もなくただ目や頭の片隅で見ていただろう、
もしくは感じていたであろうなにげない場面や物、景色。または、絵画、写真、映画。
そんなカラダに染み付いていないものなど、すぐに消え去りもう二度と思い出さないであろう。
そして、そのことがとても怖い。
記憶が甦ったらまずその映像を大事に何ヶ月も頭の中で隅々まで確認する。
そして、紙に映るくらいに思い浮かべたら、右上から左下へなぞるように描く。
描き終わった紙は見もしないで、ストックボックスにしまう。
そして恐怖が安心にかわるという繰り返しだ。
今回の作品群はそれらの記憶の断片を切り刻んで解体し、
再構築して作り上げています。
そこに浮かび上がる時計のmovement。
時間の中をうつろう色彩。

【ギャラリートーク】

市川孝典 × 山下裕二(美術史家)

日時:2013年6月7日[金] 19:30 − 21:00
会場:NADiff a/p/a/r/t店内

http://www.nadiff.com/gallery/ichikawakosuke2013.html


開始日2013/05/10
終了日2013/06/16
エリア東京都
時間12:00 - 20:00
休日月曜定休(月曜が祝日の場合は翌日)
その他備考入場無料
開催場所NADiff
アクセスNADiff a/p/a/r/t
150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 1F
Tel:03-3446-4977 Fax : 03-3446-4978
http://www.nadiff.com/shopinfo/shoplist/map_apart.html