海野貴彦 12年ぶりの個展 「生きてる限り吐き出しやがれ」

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海野貴彦、12年ぶりの個展となります。どうぞご高覧ください。

【大きく吸って吐き出された絵画】 楠見 清

海野貴彦の絵画の特徴ともいえるアブストラクトでリズミカルなパターンは同様の傾向をもつ音楽(たとえばアブストラクト・ヒップホップ)を思わせたりもするし、ダイナミックな構図や強いコントラストは3D-CGグラフィック(たとえばディジタル・グラフィティ)など同時代のポップ・カルチャーを背景にもつもののように見える。自作ドゥローイングを施した一点もののベースボール・キャップをかぶった作者の出で立ちも相まって海野を21世紀東京のキース・へリングやジャン?=ミシェル・バスキアになぞらえることもできなくはない。だが、その印象や状況とは裏腹に海野自身はストリート文化の喧噪ではなく絵画史の大きな流れの中に自らを立たせてきた。

初期から現在に至るまで一貫して、海野の絵画は幾何学的な立体図形が増殖するイメージで構成されている。直方体、三角錐、円錐、円柱といった構成要素が積み木のように重なり連なる光景は、透視図法で描かれた三次元空間でありながら製図的ではなくフリーハンドで描かれている。重層的な空間はよく見ると複数の消失点によって宙づりにされている。かといってそれは不均衡なのではなく、緊迫したテンションの糸で張り詰められ、キュビスム的な多次元性を蓄えている。百年前のキュビストやシュルレアリストたちが試みた絵画のもつイリュージョンの機能拡張がいまもこうして継続されているという静かな事実。

さらにグラフィティ的なダイナミズムによってイメージは増殖し、溢れんばかりに画面を覆い尽くす。視座が単一でないオールオーヴァーな平面は全体的に壁紙のように平坦な様相にある。複数のカメラ・アイを同時にもつことでパースペクティヴのドグマから解放されたスーパーフラット絵画をさらに遡って、半世紀前のアブストラクト・エクスプレッショニストたちが展開したイメージの平面性と絵具の物質性による両義的な皮膜がこんなところまで延伸されている。

絵画史上のいくつもの事件が終わることなくいまなおここに引き継がれているというのは観る者の深読みで必ずしも画家自身が企図するところではないかもしれない。だが、海野の絵画にはこれまでのさまざまな画家のパッション──それは情熱であると同時に受難でもある──がつまっている。いや、海野は自らを強く画家にするために──“強い画家になる”のではなくもっと大きな何かのために──己を突き放して律する試みとして絵画が強く絵画であるために、必要とするものすべてを全身で思い切り吸引してきた結果のように僕には見えるのだ。

海野が画室での絵画制作と並行してステージ上でのライヴ・ペインティングを観客の前に提示する理由もそこにあるといっていいだろう。スポットライトを浴びながら画家は深く息を吸い込み、次の瞬間、絵筆のストロークとともに内側に蓄えてきたものすべてを一気に吐き出す。画家がいま画家であるために、かつて絵画であったものがいまこれからも絵画であり続けるために、海野は昨日の世界を吸引し明日の世界を吐瀉してみせる。

[くすみきよし=美術評論家・首都大学東京准教授]

【作家略歴】

画家。東京都生まれ。

生きてる事を謳歌、無限と再生を画面に全力で注ぐ。

他の活動は、舞台美術、デザイナー、パフォーマンス、小説執筆、等

行動の理念は

「供に行動している者が無敵な気分になる。その為には、俺は楯にも鉾にもなる事を厭わない。」

作品を通じて“強く”生きていくことを注入することが任務。

http://www.gakaya.com

〔主なグループ展等〕

2011  沖の島アートプロジェクトvol.3「るくる島黄金伝説」参加(高知)

2011 7月23日ライブパフォーマンス「生きてる実感vol.3」 企画

2011 「1枚の絵の力」3331Arts Chiyoda(東京)

2011 3月26日「生きてる実感vol.3」緊急チャリティトーク 企画

2011 本郷芸術スター誕生〈チャンピオン決定戦・第一回チャンピオン〉AiCOLORS FACTORY(東京)

2010 アサヒアートフェスティバル すみだ川アートプロジェクト『隅田川いまみらい郷土資料館』

今未来調査隊すみだリバーサイドホール・ギャラリー(東京)

2009 〈別府現代芸術祭 混浴温泉世界〉 わくわく混浴アパートメント(大分)

2002  ポール・ヴィリリオ著[情報エネルギー化社会](新評論)装画

2001 [鞍馬天狗]舞台美術・パンフレット

2000 [情報と政治](新評論)装画

1998 [ノマドの時代](大村書店) 装画

1997 juicer(bar・渋谷)作品納品

〔個展〕

1999 「趙州狗子」展(日本橋) 8月22日~8月28日

「OK!ナーム・ニック」展(青山) 8月17日~8月29日

【作家ステイトメント】

いつも心がけているのは、画面構成をする際、画面内でどれだけ響かせて制圧できるか。

その後は展示した先でその絵でどれだけ空間を制圧出来るかです。
将棋の駒のように一手打ってその画面内、空間の均衡が取れて、振動して共鳴し音の重なりのようにメロディーが視覚から入ってハーモニーになる瞬間があります。
一手打って空間全体が詰むのが究極です。
逆に言うと100万手打っても一手に見える必要があります。

この度の展示では絵画の羅列に留まらず、会場全体を作家の「現在」「過去」「未来」のパートに分けお見せいたします。

米を握り固めて「おにぎり」として変換させて存在するように、

物を何処からか何処かまで運んで新たな価値が生まれるように、

あ、から、んまでの音で伝わる言葉があるように、

絵の具を変換させて画面におさめ空間全てを掌握する物質に変換させることのできる魔法があります。

その様に信じて制作、展示しています。

開始日2011/12/10
終了日2011/12/15
エリア東京都
時間2011年12月10日(土)オープニングパーティー 18:00~20:00 2011年12月11日(日)~15日(木) 11:00~19:00
休日会期中無休、入場無料
その他備考■ゲスト出品:金 理有 Kim Riyoo (courtesy of neutron http://www.galleryneutron.jp ) ※ 2012年、陶芸家 金理有と画家 海野貴彦による対決展示を  行います!!会場にて、予告編映像をご覧いただけます。 ■ 詳細: http://blog.gakaya.com/?eid=1446347
開催場所TURNER GALLERY  http://www.turner.co.jp/gallery/
アクセス1710052 東京都豊島区南長崎6-1-3  1階 ターナー色彩株式会社 tel:03-3953-5161 西武池袋線東長崎駅より徒歩5分、 都営大江戸線落合南長崎駅より徒歩7分